458 / 545
最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む
第二十四話 神殺し、再び(58)
しおりを挟む
何を? アリスがそう思った瞬間、
(!! 上?!)
それの到着を感じ取ったアリスはそれを見上げた。
いや、感じ取れたというよりは、隠れる必要が無くなったから出てきたという感じであった。
デュランが唯一隠して進めていたそれは、すぐに視界に入った。
大量の精霊だ。
しかしどれもとても小さい。
ゆえに精霊というよりは虫。
小さな虫の群れが大きな精霊の気配に隠れ、上空から接近してきていたのだ。
魔力を宿しているゆえに、まるでホタル。
ホタルの群れは四方八方から現れ、デュランのもとに集合し、密度を増していった。
その密度が視界に支障をきたすほどになった頃、デュランは思いを漏らし始めた。
(これが俺が一番上手く出来ることであり、俺にとって向いていることだ)、と。
そこから先は独り言のようであり、感知することが困難な小さな波であった。
最初は映像から、他人に精霊に関しての技術を賞賛されたシーンから始まった。
映像には言葉が含まれていた。
ルイスは自分の能力に一目置いてくれている。それをはっきりと感じる、と。
だが、俺にはアルフレッドほどの繊細な技術は無い。断言できるほどに自覚している。
しかし、そんな俺にも自信を持って勝っていると言えることがある。
そこから先の思いは大きく響いた。
繊細に積み上げていくことはアルフレッドほど上手くできないが、大きな力を扱うことに関しては自分のほうが上だと断言できる、と。
これらの言葉が読み上げられていくのと同時に、その自信ははっきりと形になっていった。
背負うように右肩に担がれていた大剣が上段に振り上げられ、その無骨な刃に虫が集まっていく。
刀身に魔力が満ち、虫が宿している魔力と反応し始める。
大剣に纏わりついている虫は刃を中心とした回転を始め、光の渦を描き始める。
既に凄まじい力。魔力の渦の勢いがアリスの身にはっきりと伝わるほど。
だが、それではまだデュランにとって足りなかった。
まだいける、いけるところまで、そんな思いが一瞬アリスに伝わった。
虫が集まり続け、魔力の収束が高まっていく。
渦が嵐に転じ、魔力の風が吹きすさぶ。
(これは!)
これは止めなくては危険! そう判断したアリスは二刀を構えた。
これまでと同じ光の嵐では止められない可能性が高い。
そしてデュランは大技をタメている最中。
ならばこちらも大技を繰り出す時間がある! そう判断したアリスはあの技を練って響かせた。
“十字奔流・無間阿鼻地獄!”(じゅうじほんりゅう・むけんあびじごく)
(!! 上?!)
それの到着を感じ取ったアリスはそれを見上げた。
いや、感じ取れたというよりは、隠れる必要が無くなったから出てきたという感じであった。
デュランが唯一隠して進めていたそれは、すぐに視界に入った。
大量の精霊だ。
しかしどれもとても小さい。
ゆえに精霊というよりは虫。
小さな虫の群れが大きな精霊の気配に隠れ、上空から接近してきていたのだ。
魔力を宿しているゆえに、まるでホタル。
ホタルの群れは四方八方から現れ、デュランのもとに集合し、密度を増していった。
その密度が視界に支障をきたすほどになった頃、デュランは思いを漏らし始めた。
(これが俺が一番上手く出来ることであり、俺にとって向いていることだ)、と。
そこから先は独り言のようであり、感知することが困難な小さな波であった。
最初は映像から、他人に精霊に関しての技術を賞賛されたシーンから始まった。
映像には言葉が含まれていた。
ルイスは自分の能力に一目置いてくれている。それをはっきりと感じる、と。
だが、俺にはアルフレッドほどの繊細な技術は無い。断言できるほどに自覚している。
しかし、そんな俺にも自信を持って勝っていると言えることがある。
そこから先の思いは大きく響いた。
繊細に積み上げていくことはアルフレッドほど上手くできないが、大きな力を扱うことに関しては自分のほうが上だと断言できる、と。
これらの言葉が読み上げられていくのと同時に、その自信ははっきりと形になっていった。
背負うように右肩に担がれていた大剣が上段に振り上げられ、その無骨な刃に虫が集まっていく。
刀身に魔力が満ち、虫が宿している魔力と反応し始める。
大剣に纏わりついている虫は刃を中心とした回転を始め、光の渦を描き始める。
既に凄まじい力。魔力の渦の勢いがアリスの身にはっきりと伝わるほど。
だが、それではまだデュランにとって足りなかった。
まだいける、いけるところまで、そんな思いが一瞬アリスに伝わった。
虫が集まり続け、魔力の収束が高まっていく。
渦が嵐に転じ、魔力の風が吹きすさぶ。
(これは!)
これは止めなくては危険! そう判断したアリスは二刀を構えた。
これまでと同じ光の嵐では止められない可能性が高い。
そしてデュランは大技をタメている最中。
ならばこちらも大技を繰り出す時間がある! そう判断したアリスはあの技を練って響かせた。
“十字奔流・無間阿鼻地獄!”(じゅうじほんりゅう・むけんあびじごく)
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる