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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む

第二十四話 神殺し、再び(58)

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 何を? アリスがそう思った瞬間、

(!! 上?!)
 
 それの到着を感じ取ったアリスはそれを見上げた。
 いや、感じ取れたというよりは、隠れる必要が無くなったから出てきたという感じであった。
 デュランが唯一隠して進めていたそれは、すぐに視界に入った。
 大量の精霊だ。
 しかしどれもとても小さい。
 ゆえに精霊というよりは虫。
 小さな虫の群れが大きな精霊の気配に隠れ、上空から接近してきていたのだ。
 魔力を宿しているゆえに、まるでホタル。
 ホタルの群れは四方八方から現れ、デュランのもとに集合し、密度を増していった。
 その密度が視界に支障をきたすほどになった頃、デュランは思いを漏らし始めた。

(これが俺が一番上手く出来ることであり、俺にとって向いていることだ)、と。

 そこから先は独り言のようであり、感知することが困難な小さな波であった。
 最初は映像から、他人に精霊に関しての技術を賞賛されたシーンから始まった。
 映像には言葉が含まれていた。
 ルイスは自分の能力に一目置いてくれている。それをはっきりと感じる、と。
 だが、俺にはアルフレッドほどの繊細な技術は無い。断言できるほどに自覚している。
 しかし、そんな俺にも自信を持って勝っていると言えることがある。
 そこから先の思いは大きく響いた。
 繊細に積み上げていくことはアルフレッドほど上手くできないが、大きな力を扱うことに関しては自分のほうが上だと断言できる、と。
 これらの言葉が読み上げられていくのと同時に、その自信ははっきりと形になっていった。
 背負うように右肩に担がれていた大剣が上段に振り上げられ、その無骨な刃に虫が集まっていく。
 刀身に魔力が満ち、虫が宿している魔力と反応し始める。
 大剣に纏わりついている虫は刃を中心とした回転を始め、光の渦を描き始める。
 既に凄まじい力。魔力の渦の勢いがアリスの身にはっきりと伝わるほど。
 だが、それではまだデュランにとって足りなかった。
 まだいける、いけるところまで、そんな思いが一瞬アリスに伝わった。
 虫が集まり続け、魔力の収束が高まっていく。
 渦が嵐に転じ、魔力の風が吹きすさぶ。

(これは!)

 これは止めなくては危険! そう判断したアリスは二刀を構えた。
 これまでと同じ光の嵐では止められない可能性が高い。
 そしてデュランは大技をタメている最中。
 ならばこちらも大技を繰り出す時間がある! そう判断したアリスはあの技を練って響かせた。

“十字奔流・無間阿鼻地獄!”(じゅうじほんりゅう・むけんあびじごく)
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