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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む

第二十四話 神殺し、再び(57)

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 キーラの助力は戦況を大きく変えるものであった。
 防御に割かざるを得なかった手数を攻撃に使えるからだ。
 注意すべきは爆発魔法のみ。
 イカの触腕の火炎放射をキーラの精霊が受け止め、爆発魔法をアルフレッドが討ち落とす。
 一か所には踏みとどまらない。常に動き続けてキーラの精霊の魔力消費をおさえる。
 そして空いた手数でアルフレッドが繰り出すのは、

「破ァッ!」

 やはりあの技。クラリスから学んだ墓荒らし。
 地面に二刀を突き立て、魔力を込める。
 刃に込められた魔力と地中に注がれた魔力が反発し合い、刀身が暴れ始める。
 その振動が抑えきれなくなる寸前にアルフレッドはその力を開放した。
 地面を鞘と見立てた居合の要領で刃が抜き放たれる。
 地中から噴き出す魔力が土砂を巻き上げ、石つぶての散弾となる。
 さらにアルフレッドは一工夫を加えた。
 地中から抜き放した直後に、二刀を×字に交差。
 銀色の刃の軌跡がそのまま飛び道具となって放たれる。
 その軌道は斜め下。
 ゆえに放たれた十字は直後に地面に激突。
 激突した十字は瞬時にねじれ、光の刃の濁流に転じた。
 光の嵐が地を這うように進みながらさらに土砂を巻き上げる。
 石つぶてを巻き込み、白い土砂の濁流となって押し迫る。
 この暴力に対してのヨグ=ソトースが取れる選択肢は一つだけであった。
 爆発魔法での相殺。
 しかし爆発魔法は連射がきかない。
 それを防御に使わされるゆえに、アルフレッドの攻め手が弱まらない。
 アルフレッドは回避行動を取り続けながら墓荒らしを連射。
 熊の精霊の守りをはがせば状況を逆転させられる、そう考えたヨグ=ソトースは自前の人魂を大量放出。
 だが、その行動は読めていた。
 ゆえに、その動きと同時にルイスがアルフレッドの真横に並ぶように後方から飛び出してきた。
 準備しておいた大量のムカデを一斉放射。
 ヨグ=ソトースが放った人魂の群れをかたっぱしから食い潰していく。
 これに、ヨグ=ソトースは思念を放った。
 こっちに戻ってきて援護をしろ、と、アリスに命じた。
 だが、アリスはデュランに動きを封じられていた。
 デュランは積極的には手を出していない。
 だが、常にアリスの行く手を遮るように位置取っている。
 そしてその思考は単純であり、隠されていなかった。
 寄らば大剣で斬る、または大盾で打ち払う、という迎撃の思考。
 大盾の守りは硬く、アリスは光の刃をぶつけ続けているが、まったく崩れる気配が無い。
 完全に待ち、後の先に徹した構え。
 なのでアリスはイラついたままであった。
 この棒立ちの木偶の棒にいつまでも付き合ってはいられない、と。
 アリスがそんな思いを隠さずに発した直後、対峙するデュランは口を開いた。

「気が合うな。同意見だ」

 化け物が生み出した歪んだ人形遊びに長く付き合う気は無いと、デュランは隠さずに思念を響かせた。
 これにアリスは当然のようにイラついた。
 守りに徹している貴様がそんなことを言えるのか、と。
 これに対し、デュランは再び口を開いた。

「違うな。俺は待っているんだ」
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