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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む

第二十四話 神殺し、再び(54)

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 それはやはり何度考え直しても無茶苦茶な指示であるように思えた。
 しかし誰も異論は唱えない。
 恐怖が無いわけでは無い。
 が、体が勝手に正しく動く。
 いくら怖くとも、逃げるという選択肢は無い。
 そして正しく動かなければ死ぬということを、恐怖を発している本能自身がそれをよくわかっていた。 
 なので隊列は即座に自然と整えられた。
 大盾兵が前に立ち、銃兵と魔法使いがその隙間から焦点を奥に合わせる。
 隊列に関してはもはや言うべきことは無かった。
 ゆえにルイスは別のことについて声を上げた。

「魔法使い達は精霊に魔力を充填させろ! いつでも大技を撃てるようにしておけ!」

 その指示から間も無く、後方に下がり始めた精霊使い達が生み出した新たな精霊が次々と前に送られてきた。
 魔法使い達がその精霊に手を当て、魔力を注ぎ込む。
 精霊達の体が光の魔力で銀色に輝き、魔法使い達の体を同じ色で照らし包む。
 だが、その輝きも前方から迫ってくる絶望の前では色あせていた。
 アザトースの体も同じ輝きで満ちており、その眩しさは圧倒的であった。
 しかし眩さという点ではナチャが操る巨大ドラゴンも負けてはいなかった。
 そして神々しい二体の怪物は、直後にその輝きを吐き出した。
 太陽のような巨大な光弾を生み出し、放つ。
 規模はやはり互角。
 相殺し、空を銀色の雷で埋め尽くす。
 その眩さの中でアザトースは次弾の準備を開始。
 突進の勢いは緩まない。
 そして双方の距離はかなり縮まっている。
 このまま待てば、ほぼ密着と言っていい間合いで撃ち合うことになる。
 それがアザトースを操作しているヨグ=ソトースの狙いであった。
 ゼロ距離で撃ち合えば相殺の余波でダメージを受ける。
 が、体格ではアザトースのほうが上。
 耐久力の差を利用した相討ち狙い。
 その狙いをルイスは読めていた。
 だからルイスは声を上げた。

「次弾を撃たせるな!」

 声にせずともルイスとナチャの心は繋がっている。ゆえにナチャは、巨大ドラゴンは声が響く直前に突進を開始していた。
 声を上げた理由は周囲の味方にナチャの行動理由をはっきりと伝えるため。
 そしてナチャが前に出る以上、やらなければならないことがあった。
 ルイスは続けてそれを叫んだ。

「前二列突撃! ナチャを援護するぞ!」

 その声に、最前列の大盾兵達と、銃兵と魔法使いの混成部隊である二列目が走り始める。
 走り始めた直後にフレディが叫ぶように尋ねた。

「狙うべきは爆発魔法が使える大神官だな?!」

 ルイスは即答した。

「ああ、他は無視してもいい! 大神官に攻撃を集中させて徹底的に抑え込め!」
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