454 / 545
最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む
第二十四話 神殺し、再び(54)
しおりを挟む
それはやはり何度考え直しても無茶苦茶な指示であるように思えた。
しかし誰も異論は唱えない。
恐怖が無いわけでは無い。
が、体が勝手に正しく動く。
いくら怖くとも、逃げるという選択肢は無い。
そして正しく動かなければ死ぬということを、恐怖を発している本能自身がそれをよくわかっていた。
なので隊列は即座に自然と整えられた。
大盾兵が前に立ち、銃兵と魔法使いがその隙間から焦点を奥に合わせる。
隊列に関してはもはや言うべきことは無かった。
ゆえにルイスは別のことについて声を上げた。
「魔法使い達は精霊に魔力を充填させろ! いつでも大技を撃てるようにしておけ!」
その指示から間も無く、後方に下がり始めた精霊使い達が生み出した新たな精霊が次々と前に送られてきた。
魔法使い達がその精霊に手を当て、魔力を注ぎ込む。
精霊達の体が光の魔力で銀色に輝き、魔法使い達の体を同じ色で照らし包む。
だが、その輝きも前方から迫ってくる絶望の前では色あせていた。
アザトースの体も同じ輝きで満ちており、その眩しさは圧倒的であった。
しかし眩さという点ではナチャが操る巨大ドラゴンも負けてはいなかった。
そして神々しい二体の怪物は、直後にその輝きを吐き出した。
太陽のような巨大な光弾を生み出し、放つ。
規模はやはり互角。
相殺し、空を銀色の雷で埋め尽くす。
その眩さの中でアザトースは次弾の準備を開始。
突進の勢いは緩まない。
そして双方の距離はかなり縮まっている。
このまま待てば、ほぼ密着と言っていい間合いで撃ち合うことになる。
それがアザトースを操作しているヨグ=ソトースの狙いであった。
ゼロ距離で撃ち合えば相殺の余波でダメージを受ける。
が、体格ではアザトースのほうが上。
耐久力の差を利用した相討ち狙い。
その狙いをルイスは読めていた。
だからルイスは声を上げた。
「次弾を撃たせるな!」
声にせずともルイスとナチャの心は繋がっている。ゆえにナチャは、巨大ドラゴンは声が響く直前に突進を開始していた。
声を上げた理由は周囲の味方にナチャの行動理由をはっきりと伝えるため。
そしてナチャが前に出る以上、やらなければならないことがあった。
ルイスは続けてそれを叫んだ。
「前二列突撃! ナチャを援護するぞ!」
その声に、最前列の大盾兵達と、銃兵と魔法使いの混成部隊である二列目が走り始める。
走り始めた直後にフレディが叫ぶように尋ねた。
「狙うべきは爆発魔法が使える大神官だな?!」
ルイスは即答した。
「ああ、他は無視してもいい! 大神官に攻撃を集中させて徹底的に抑え込め!」
しかし誰も異論は唱えない。
恐怖が無いわけでは無い。
が、体が勝手に正しく動く。
いくら怖くとも、逃げるという選択肢は無い。
そして正しく動かなければ死ぬということを、恐怖を発している本能自身がそれをよくわかっていた。
なので隊列は即座に自然と整えられた。
大盾兵が前に立ち、銃兵と魔法使いがその隙間から焦点を奥に合わせる。
隊列に関してはもはや言うべきことは無かった。
ゆえにルイスは別のことについて声を上げた。
「魔法使い達は精霊に魔力を充填させろ! いつでも大技を撃てるようにしておけ!」
その指示から間も無く、後方に下がり始めた精霊使い達が生み出した新たな精霊が次々と前に送られてきた。
魔法使い達がその精霊に手を当て、魔力を注ぎ込む。
精霊達の体が光の魔力で銀色に輝き、魔法使い達の体を同じ色で照らし包む。
だが、その輝きも前方から迫ってくる絶望の前では色あせていた。
アザトースの体も同じ輝きで満ちており、その眩しさは圧倒的であった。
しかし眩さという点ではナチャが操る巨大ドラゴンも負けてはいなかった。
そして神々しい二体の怪物は、直後にその輝きを吐き出した。
太陽のような巨大な光弾を生み出し、放つ。
規模はやはり互角。
相殺し、空を銀色の雷で埋め尽くす。
その眩さの中でアザトースは次弾の準備を開始。
突進の勢いは緩まない。
そして双方の距離はかなり縮まっている。
このまま待てば、ほぼ密着と言っていい間合いで撃ち合うことになる。
それがアザトースを操作しているヨグ=ソトースの狙いであった。
ゼロ距離で撃ち合えば相殺の余波でダメージを受ける。
が、体格ではアザトースのほうが上。
耐久力の差を利用した相討ち狙い。
その狙いをルイスは読めていた。
だからルイスは声を上げた。
「次弾を撃たせるな!」
声にせずともルイスとナチャの心は繋がっている。ゆえにナチャは、巨大ドラゴンは声が響く直前に突進を開始していた。
声を上げた理由は周囲の味方にナチャの行動理由をはっきりと伝えるため。
そしてナチャが前に出る以上、やらなければならないことがあった。
ルイスは続けてそれを叫んだ。
「前二列突撃! ナチャを援護するぞ!」
その声に、最前列の大盾兵達と、銃兵と魔法使いの混成部隊である二列目が走り始める。
走り始めた直後にフレディが叫ぶように尋ねた。
「狙うべきは爆発魔法が使える大神官だな?!」
ルイスは即答した。
「ああ、他は無視してもいい! 大神官に攻撃を集中させて徹底的に抑え込め!」
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる