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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む

第二十四話 神殺し、再び(53)

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 多くの者が同じような思いを抱いていた。
 あの巨大な怪物に対抗する力は自分には無い。
 だけど、この人は違う。
 そんな思いと視線がシャロンとキーラに集まっていた。
 ルイスも同じだった。シャロンとキーラに期待していた。
 ゆえにその思いに共感したルイスは声を上げようとした。
 中央の部隊は後退せよ、と。
 が、それよりも先にアルフレッドの声が割り込んだ。

「待ってください! 奴も、大神官も向かって来ています!」

 その声でルイスも気付くことが出来た。感じ取れた。
 確かに、奴の気配を感じる。
 デカブツの少し前、先頭を走っている。
 ゆえに、ルイスは指示の内容を少し変えざるを得なくなった。
 奴は爆発魔法の使い手。
 精霊は爆発による衝撃波に対しての防御能力を持たない。霧のように吹き散らされる。
 つまり誰かが援護しなければナチャはあっさりと吹き飛ばされ、我々は成す術も無くデカブツに飲み込まれるだろう。
 誰かがこのまま最前列に残って大神官を抑えなければならない。
 その誰かのうちの一人は確定している。自分だ。自分以上にナチャと連携が取れる人間はいない。
 他に残ってほしい人間は――
 直後、候補に浮かんでいた戦士の一人は自発的に声を上げた。

「奴が来るなら自分はここに残ります!」

 アルフレッドのその声に触発されたのか、

「ならば俺も残ろう」

 デュランも続けて志願し、

「敵の銃持ちも一緒に突っ込んでくるんだろう? なら俺達は必須だな」
  
 いつの間にか斜め後ろにいたフレディが声を響かせ、

「ならば我々大盾兵も必要でしょうな」

 大盾兵の隊長も名乗りを上げた。
 隊長のその声に反対する大盾兵はいなかった。
 声は響かなかったが、魔法使い達も同じ思いのようであった。
 それは奇妙な連帯感であった。
 前方から迫ってくるのはかつてない規模の異形。
 勝ち目があるのかどうかなど想像すら出来ない。
 しかし立ち向かわなければならないという思いが沸き上がってくる。
 こいつらはこの場で叩き潰さねばならない、そんな思いがはっきりと自覚できた。
 これは人類の未来のための戦い、そんな思いがいつの間にか共有されていた。
 その思いをルイスは汲み取り、ゆえに少し指示の内容を変えて叫んだ。

「精霊使いは後退! 他の者は全員この場に残って敵の突撃を食い止めるぞ!」
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