Iron Maiden Queen

稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)

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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む

第二十四話 神殺し、再び(52)

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 その指示が響くと同時にアザトースはその巨体を前に進ませ始めた。
 それはその巨体に見合ったゆっくりとした前進に見えた。
 が、それは急速に加速し、

(速い!)

 ルイスが驚きの声を響かせるほどの速さに至った。
 真っすぐに中央の部隊に、こちらに向かってきている。
 飲み込まれたらどうなるかは想像に難くない。
 ゆえにルイスは声を上げようとしたが、それよりも先にナチャの心の声が届いた。

(時間を稼ぐ! その間に出来るだけ部隊を後退させて!)

 その言葉と共に、ナチャは巨大ドラゴンの巨体を前進させ始めた。
 そしてルイスは言われるまでも無くそうするつもりだった。
 後退しながら精霊を展開し続け、迫る巨体にぶつけ続ける、それしか無い。それくらいしか対抗策が浮かばない。
 いや、直後にもう一つ浮かんだ。
 浮かぶと同時に感じとれた。
 指示を出す必要が無いことを。
 シャロンは既にルイスの期待通りに動き始めていた。
 サイラスの部隊を引き連れ、アザトースのほうに向かっている。
 それが感じ取れた直後、シャロンの心の声が届いた。
 
(デカブツの側面に突撃するわ! キーラにもそうするように指示を出して!)

 シャロンはそう言ったが、その必要も無いように感じられた。
 既にキーラも同じ行動を取っていた。大盾兵と銃兵を引き連れ、突撃を開始していた。
 その中にはベアトリスの姿もあった。
 アルフレッドが危ない。ベアトリスを走らせている思いはそれだけであった。
 アルフレッドは一人でもアレを食い止めようとしてしまう。みんなを守るために盾になろうとするだろう、という確信がベアトリスにはあった。
 ベアトリスに勝算は一つも無い。あの怪物に対して太刀打ちできる手段は何も思いついていない。
 しかしそんなことはベアトリスには関係無かった。
 何かしなくちゃ、何もしなければ何も起きない、起こせない、ベアトリスの中にはそんな思いしか無かった。
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