Iron Maiden Queen

稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)

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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む

第二十四話 神殺し、再び(51)

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 誰にも聞こえぬその独り言の後、ヨグ=ソトースは浮遊する眼球の一つを使って幼きアザトースのほうを見た。
 このアザトースに自我はほとんど無い。兵器として使えるように作られている。
「君が気兼ねなく、自由に使えるように」、アザトースはそう言った。
 それがただの建前であることは馬鹿にでもわかる。わかりやすすぎるから腹が立つ。
 この戦いの指揮を執りたくなかった、それが本当の理由だろう。
 しかし部下に仕事を押し付ければ、敗北の汚名を自らが着ることは絶対に無くなる。
 部下が無能だったから負けたなどと、よくある言い訳をすることが出来る。
 ご丁寧なことに、この戦いの総大将が私であることを大々的に宣伝までしてくれた。

(……)
 
 ナイアラの気持ちがよく理解できる、浮き上がりかけたその言葉をヨグ=ソトースは消した。
 いや、それは消したなどというやさしい表現でおさまる行為では無かった。
 根絶やしにした、という表現のほうが適切であった。
 その言葉が二度と浮き上がることが無いように、原因となる感情、その出どころと分岐まで含めて神経回路をまとめて潰したのだ。
 今はこんな思いを抱くべきでは無い、そう言い聞かせながら。
 ナイアラとは違い、私は『アザトースの真なる意味での強大さ』を知っているのだから。
 だからまだ早い。
 時が来るまで耐えるのだ。
 その時が来るまで、己を殺し続けるのだ。
 この言葉を最後に、

(……)

 ヨグ=ソトースの中からいくつかの感情とその源が消えた。
 ぽっかりと、己の中に空洞が出来たような感覚。
 その感覚を埋める方法は知っていた。
 だからヨグ=ソトースは高らかに狂気の声を上げた。

“前進だ、ヨグソトースの幼子よ! その巨体で敵を飲み込み、食い尽くせ!”
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