Iron Maiden Queen

稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)

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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む

第二十四話 神殺し、再び(47)

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 どんな変形なのか、それも二人には感じ取れていた。
 しわだらけの巨大な脳ミソのような外見に、新たな切れ込みが刻まれていく。
 もとからあったしわとは異なり、切れ込みはほぼ直線。
 その切れ込みに沿って、皮がむけるようにはがれ開いていく。
 まるで丸まっていた巨大なヒトデがその腕を開くかのように。
 見せつけるように大きく伸び開く。
 魔力を帯びて輝いているため、その腕を広げた姿はおぞましい太陽のようでもあり、神々しくすらあった。
 そしてその開く動きは威嚇などでは無く、動作確認であった。
 ゆえに怪物は機械的な思念を直後に響かせた。

“すべての機能が正常に動作していることを確認”

 しかしそれは人類には理解できない未知の言語であった。
 だが、何を始めようとしているのかは理解できた。
 精神攻撃を発していた口のような部分に魔力が集まり始めたからだ。
 それと同時に、伸びたヒトデの腕が再びまがり始める。
 しかし脳みそに張り付くことは無かった。
 口の部分に先端を寄せるような動き。
 その動きと共に先端は細く伸びていった。
 骨のように細く、針のように細く。
 折り曲げながら伸ばし、糸のように紡いでいく。
 口の前に綿のかたまりのような繭が出来上がり、だんだんと膨らんでいく。
 口を通じて中に魔力が注ぎ込まれ、光が満ちていく。
 それを見たルイスは叫んだ。

「アレが来るぞ! 迎撃準備!」

 アレとは、以前ベアトリスが受けた超巨大光弾のことであった。
 同じ攻撃を仕掛けてくる可能性は高い、そう思ったゆえにルイスは対抗できるように備えていたのだ。
 ゆえに声は即座に返ってきた。

(もうやってるよ!)

 忙しそうな口調のナチャの思念。
 振り返って見上げると、巨大ドラゴンの前に同じような繭が生み出されていた。
 ドラゴンの下半身として融合しているクモの口から、糸がつむがれている。
 しかしクモだけでは作業速度が足りないらしく、ドラゴンも羽を使ってその作業を行っていた。
 顔を覆い隠すように巨大な羽を丸めている。
 羽そのものを材料として使っているらしく、繭と羽は溶け合うようにくっついている。
 さらにそれだけでは無かった。
 小さなドラゴン達が集まり、繭に張り付き群がって作業を開始していく。
 脳ミソのほうも同じだった。異形の怪物を使役して作業を手伝わせていた。
 輝く繭がどんどん大きく膨らんでいく。
 作業速度は互角に見えた。
 ゆえに弾の大きさも互角。
 後はいつ放つか、そのタイミングを合わせるだけ。
 それはすぐに訪れた。
 敵の発射の気配を感じ取ったルイスは大きく口を開いた。

「今だ! 放て!」
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