435 / 545
最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む
第二十四話 神殺し、再び(35)
しおりを挟む
その言葉に嘘は無かった。
ゆえにアルフレッドは初手から最大全力であった。
魔力で銀色に染まった二刀が十字を描く。
足を止めてのその動作に、敵の銃兵が照準を合わせる。
しかしそれよりも大盾兵がアルフレッドの間に壁を作るほうが速い。
アルフレッドは大盾兵に守られながら十字を描き続けた。
重ねに重ねて十三連。
重ねている間に、周囲に展開している蝶を手元に集合させる。
視界が蝶で埋まって見えなくなるほどの数。
そして十三連目が完成する直前、アルフレッドは心の声で大盾兵達に合図を送った。
合図を受けた大盾兵が守りを解除し、左右に離れてアルフレッドの正面をあける。
それによって視界が開くと同時にアルフレッドは心の叫びを響かせた。
“重ね十三連! 灰染め墨流蝶・百鬼夜行ッ!”(はいぞめすみながし・ひゃっきやこう)
叫びと共にすべての十字が融合し、ねじれ歪んで光の嵐と化す。
その渦の中に蝶の群れも吸い込まれ、溶けて混じって濁流と化す。
そして蝶だったものは荒波の中で異形に変じた。
イカの触腕、サメの顎、以上に牙が発達したトビウオのような何かなど、様々な黒い異形が白い濁流に乗り、灰色の津波となる。
これに対し、アリスが取った選択肢は回避では無かった。
真正面からの突撃。
走りながら十字を重ね、嵐を放つ。
しかし重ねた枚数が少ない。
ゆえに放たれた濁流は明らかに相殺はできない規模。
されど問題は無かった。
走るアリスの両横には大盾を持った味方が追従していた。
濁流が放たれた直後にアリスの前に割り込んで壁となる。
間も無く二つの嵐はぶつかり合った。
予想通りにアルフレッドの嵐が押し破り、アリス達を飲み込む。
濁流が木々に爪痕を残す音と、大盾をひっかき削るような音が耳に痛く響く。
そのぶつかり合いの中からアルフレッドは感じ取れていた。
アリス達の足が止まっていないことを。
ゆえにアルフレッドは二刀を正面に構えて踏み込んだ。
間も無く、ぶつかり合う光の嵐の中から一つの人影が飛び出してきた。
一番に飛び出してきたそれは感じ取った通り、アリスだった。
そしてアリスもアルフレッドの踏み込みを感じ取っていた。
双方の武器は同じ。そして二人は師弟の関係でもある。
ゆえに双方は同じ形であった。
同じ構えから、同じ型で二刀を振るい、
「「破ッ!」」
二人は同じで気勢でぶつかり合った。
ゆえにアルフレッドは初手から最大全力であった。
魔力で銀色に染まった二刀が十字を描く。
足を止めてのその動作に、敵の銃兵が照準を合わせる。
しかしそれよりも大盾兵がアルフレッドの間に壁を作るほうが速い。
アルフレッドは大盾兵に守られながら十字を描き続けた。
重ねに重ねて十三連。
重ねている間に、周囲に展開している蝶を手元に集合させる。
視界が蝶で埋まって見えなくなるほどの数。
そして十三連目が完成する直前、アルフレッドは心の声で大盾兵達に合図を送った。
合図を受けた大盾兵が守りを解除し、左右に離れてアルフレッドの正面をあける。
それによって視界が開くと同時にアルフレッドは心の叫びを響かせた。
“重ね十三連! 灰染め墨流蝶・百鬼夜行ッ!”(はいぞめすみながし・ひゃっきやこう)
叫びと共にすべての十字が融合し、ねじれ歪んで光の嵐と化す。
その渦の中に蝶の群れも吸い込まれ、溶けて混じって濁流と化す。
そして蝶だったものは荒波の中で異形に変じた。
イカの触腕、サメの顎、以上に牙が発達したトビウオのような何かなど、様々な黒い異形が白い濁流に乗り、灰色の津波となる。
これに対し、アリスが取った選択肢は回避では無かった。
真正面からの突撃。
走りながら十字を重ね、嵐を放つ。
しかし重ねた枚数が少ない。
ゆえに放たれた濁流は明らかに相殺はできない規模。
されど問題は無かった。
走るアリスの両横には大盾を持った味方が追従していた。
濁流が放たれた直後にアリスの前に割り込んで壁となる。
間も無く二つの嵐はぶつかり合った。
予想通りにアルフレッドの嵐が押し破り、アリス達を飲み込む。
濁流が木々に爪痕を残す音と、大盾をひっかき削るような音が耳に痛く響く。
そのぶつかり合いの中からアルフレッドは感じ取れていた。
アリス達の足が止まっていないことを。
ゆえにアルフレッドは二刀を正面に構えて踏み込んだ。
間も無く、ぶつかり合う光の嵐の中から一つの人影が飛び出してきた。
一番に飛び出してきたそれは感じ取った通り、アリスだった。
そしてアリスもアルフレッドの踏み込みを感じ取っていた。
双方の武器は同じ。そして二人は師弟の関係でもある。
ゆえに双方は同じ形であった。
同じ構えから、同じ型で二刀を振るい、
「「破ッ!」」
二人は同じで気勢でぶつかり合った。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
突然現れた妹に全部奪われたけど、新しく兄ができて幸せです
富士とまと
恋愛
領地から王都に戻ったら、妹を名乗る知らない少女がいて、私のすべては奪われていた。
お気に入りのドレスも、大切なぬいぐるみも、生活していた部屋も、大好きなお母様も。
領地に逃げ帰ったら、兄を名乗る知らない少年がいて、私はすべてを取り返した。
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
蒼白のリヴァイアサン
黒木箱 末宝
SF
失恋に思い悩む青年──南海 流児(みなみ りゅうじ)が気晴らしに早朝の散歩をしている途中、地球上に存在し得ない異形の存在を発見する。
その異形の存在が巻き起こした波に飲まれてスマホを落としてしまった流児は、スマホを追って海へと飛び込んでしまう。
しかし、その海は何処か不思議で不自然で…………。
これは、不思議な海で巻き起こる、青年の新たな恋と冒険の物語。
■本編完結済み。
※カクヨム、小説家になろう、ハーメルにも投稿しています。
誤字脱字の報告、イイねやエール、コメントやお気に入り登録などの応援をよろしくお願いします。
伝説の霊獣達が住まう【生存率0%】の無人島に捨てられた少年はサバイバルを経ていかにして最強に至ったか
藤原みけ@雑魚将軍2巻発売中
ファンタジー
小さな村で平凡な日々を過ごしていた少年リオル。11歳の誕生日を迎え、両親に祝われながら幸せに眠りに着いた翌日、目を覚ますと全く知らないジャングルに居た。
そこは人類が滅ぼされ、伝説の霊獣達の住まう地獄のような無人島だった。
次々の襲い来る霊獣達にリオルは絶望しどん底に突き落とされるが、生き残るため戦うことを決意する。だが、現実は最弱のネズミの霊獣にすら敗北して……。
サバイバル生活の中、霊獣によって殺されかけたリオルは理解する。
弱ければ、何も得ることはできないと。
生きるためリオルはやがて力を求め始める。
堅実に努力を重ね少しずつ成長していくなか、やがて仲間(もふもふ?)に出会っていく。
地獄のような島でただの少年はいかにして最強へと至ったのか。
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる