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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む
第二十四話 神殺し、再び(29)
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銃兵達の一部が前に進み始めたのをルイスはすぐに感じ取った。
止めようとは思わなかった。
ただ迷っていた。
しかしその迷いの天秤は大きく傾きつつあった。
だからルイスは間も無く口を開いた。
「ナチャ、我らも前に出るぞ」
これにナチャは即答できなかった。
そしてナチャは静かに心中を明かした。
「正直言うと僕は怖いよ、ルイス」
ナチャが抱いている恐怖の理由をルイスは察することができなかった。
だからルイスは聞き返した。
「なぜだ? この戦いが始まる前に保険をかけ直しただろう。だから死んでも蘇れるはずだ。あの時のように、俺に再挑戦の機会を与えることも出来るだろう?」
確かにその通りであったが、ナチャの心には払えぬ霧がかかっていた。
ナチャはその霧の理由を探しながら思念を響かせた。
「ここで負けたら二度と立ち直れない気がする……いや、そうじゃないな、ええっと……」
しかし最初に思いついた答えは間違いのような気がした。
だからナチャは考え直し、言い直した。
「この戦いに負けたら取り返しのつかないことになる、そんな風に考えてしまうんだ」
これが最も正解に近い、ナチャはそう思った。
そしてルイスはその言葉に共感した。
ナチャも同じ迷いを抱いているのだと気づいた。
この軍は世界一の戦力を有していると言っても過言では無いはず。
にもかかわらず負ければ――それは最悪な想像力をかきたてる。
この戦いにおける敗北という結果は、人類の暗黒時代の引き金になりかねない。
だから慎重になるのも無理は無い。
しかし慎重であっても臆病であってはならない。
そして今は強く反撃に転じるべきだという確信が芽生えている。
このまま防御重視の後退を続けても少しずつ削られるだけだ。
だからルイスは口を開いた。
「負けるのが怖いのか? だったら――」
ルイスは一呼吸分の間を置き、言葉を選んでから口を開き直した。
「だったら、全力で俺を援護すればいい」
難しいことは考えずに俺に任せてくれればいい、その言葉にはそんな思いが含まれていた。
そしてルイスは頼れる自分を演じるために、いや、自らそう思い込ませるために強い表情で言った。
「行くぞ」
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