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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む

第二十四話 神殺し、再び(23)

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 敵が大盾を振り上げ、アルフレッドが振り下ろした二刀とぶつかり合う。
 落下の勢いと全体重を乗せた一撃、やはりアルフレッドに分があった。
 が、敵は受け止めようとはせずに、体と盾をひねって受け流した。
 受け流し、その勢いで地面の上を転がってアルフレッドから距離を取る。
 アルフレッドもまた着地の勢いを殺すために地面の上を一回転。
 この回転の速さ比べはアルフレッドが勝った。
 アルフレッドが先に態勢を立て直し、

「疾ッ!」

 気勢と共に地を蹴った。
 踏み込み、右の刃を左から右へ一閃。
 しかしこれは盾による防御が間に合う。
 だが、アルフレッドは防御されることが予測できていた。
 ゆえに、右の刃を押し当てて相手の動きを止めつつ、回り込んで左の刃で斬る、そのつもりだった。
 が、

「!」

 右の刃の手ごたえは予想していたものとはまったく違うものであった。
 ぬるり、とした感触。
 受け流されている?! その言葉が脳裏に浮かぶまでアルフレッドは戸惑った。
 その数瞬の戸惑いの間に、敵は後ろに下がりながら大盾を振り回すように体を真横に回転させ、刃を受け流した。
 しかし左の刃は生きている、そう考えたアルフレッドは再び踏み込もうとしたが、敵はさらに後方に地を蹴った。
 地を蹴った音が大きい。強い跳躍。
 敵大盾兵の体が浮き上がる。
 そして大盾兵は浮き上がり始めると同時に体を縦に回転させ始めた。
 明らかに宙返りの初動。
 大盾兵とは思えぬ軽い身のこなし。
 だがそれでも! そんな思いを響かせながらアルフレッドは斬りかかろうとした。
 大盾の重量はごまかせないからだ。
 が、敵の動きはアルフレッドの予想のさらに上をいった。
 宙返りの動作が終わり直前、敵は大盾を振り下ろして地面に突き刺し、その上に乗ったのだ。
 そして敵は大盾を踏み台にして跳躍。 
 大盾を足場にしつつ、捨てて上に逃げた? そう見える動きだった。
 しかし違った。

「!?」

 じゃらり、という音と共に、木にしがみついた狂人の手元に大盾は引っ張り上げられた。
 鎖がついている?! 思わず疑問形になったが、記憶の映像を確認するまでも無いことだった。はっきりと見えた。
 そして見上げながら見回すと、大盾を持って登っている敵は他にもいた。
 同じように木にしがみついている者、枝の上に乗っている者、ぶらさがっている者などがそこら中にいた。
 そして全員が止まっていなかった。
 先のアルフレッドと同じように木から木へ飛び移り続けていた。
 先ほど上に逃げた敵も同じように動き始めた。
 大盾が重いせいか跳躍は大きくないが速く鋭い。
 飛び移る度に木が揺れている。
 ゆえに、周囲の木は強風にあおられ続けているかのように揺らめき始めた。
 
(こいつら、全員動きが良い!)

 囲まれた、上のそこら中にいる、アルフレッドの意識にそんな危機感が浮かんだ瞬間、

(来る!)

 木々のゆらめきとは違う、異質な音を感じ取ったアルフレッドは即座に地を蹴った。
 直後、回避行動を取るアルフレッドの背後から重い音が響いた。
 木の上から投げつけられた大盾が地面に突き刺さった音。
 異質な音はさらに続いた。
 真上を敵が通っていった、それを感じ取ったアルフレッドはさらに地を蹴り直した。
 重い風切り音と共に、アルフレッドの目の前を大盾が弧を描きながら通り抜けていく。
 真上を通過しながら振り子の要領で大盾を振り抜いていった、そう思える軌道。
 そしてその一撃はアルフレッドだけを狙ったものでは無かった。

「うぉっ!?」

 軌道上にいた仲間の大盾兵に直撃。
 かろうじて大盾で受けたが、重装備である兵士の体が軽々と吹き飛ぶ。
 それを見ていた大盾兵の隊長は声を上げた。

「上からも攻撃が来るぞ! 散開せずにアルフレッドの近くに集合しろ!」
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