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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む
第二十四話 神殺し、再び(21)
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よく見ればわかる。大神官の体には紫色の火の粉が常にまとわりついている。
その火の粉は時に不自然な軌道を取る。
バークさんが使っていた技と同じものと考えていいだろう。
しかし問題はその規模。
大神官本人だけでなく、護衛にまでまとわりついている。
火の粉のような精霊は速い。時に目で追うのが難しいほど。
数もどんどん増えている。大神官が紫色の霧を身にまとっているように見えるほどになっている。
アルフレッドは少しでも多く情報を拾おうと、大神官のその様子を凝視していた。
が、大神官とヨグ=ソトースはアルフレッドから視線を外していた。
真上を見上げながら大神官が手の平を上に突きあげる。
そして大神官はその手から紫色の球を生み出し、空に向けて放った。
同時にヨグ=ソトースも動いていた。
三日月型の口を大きな真円に変形させ、その黒い穴の中から拳より少し大きい球体を三つ吐き出した。
球体は外に出ると同時になめらかに変形し、コウモリのような精霊に変化。
コウモリの羽からは糸のような触手が何本も伸びている。
触手はその身をくねらせながら伸び、次々と紫色の球に突き刺さった。
全ての触手が接続完了すると同時にコウモリは羽を激しくはばたかせて加速。紫色の球を牽引する。
そして三匹のコウモリは目標のそばで球を切り離した。
直後に紫色の爆炎が広がり、アルフレッド達が展開した巨大ドラゴンの体に大穴が開く。
大神官は糸で操られるがままに爆発魔法を連射。
ヨグ=ソトースの体から産み出されたコウモリが運び、巨大ドラゴンに次々と炸裂させていく。
巨大ドラゴンはブレスで抵抗するが、ヨグ=ソトースの手数のほうが圧倒的に多く速い。
だからルイスは叫んだ。
「ドラゴンを落とさせるな! 正面から攻撃し続けて敵の意識をこちらに釘付けにしろ!」
その声に応じ、精霊使い達と魔法使い達は再びの一斉攻撃を仕掛けた。
しかし突っ込んだのは飛び道具だけでは無かった。
大量の光弾と銃声、そして精霊達の中に並走するアルフレッドの姿があった。
「無茶をするな!」
思わずルイスが声を上げる。
しかしアルフレッドは止まらず、走りながら声を返した。
「やれます! やってみせます!」
その声と同時にアルフレッドは根拠も思念で返していた。
以前に似たような能力者と戦ったことがあると。
だからアルフレッドは思った。
あの時、バークさんが自分に手合わせを申し込んできたのはこれが理由だったのではないか、と。
いつか大神官と戦うことになるかもしれない、そう考えての行動だったのかもしれない、と。
その火の粉は時に不自然な軌道を取る。
バークさんが使っていた技と同じものと考えていいだろう。
しかし問題はその規模。
大神官本人だけでなく、護衛にまでまとわりついている。
火の粉のような精霊は速い。時に目で追うのが難しいほど。
数もどんどん増えている。大神官が紫色の霧を身にまとっているように見えるほどになっている。
アルフレッドは少しでも多く情報を拾おうと、大神官のその様子を凝視していた。
が、大神官とヨグ=ソトースはアルフレッドから視線を外していた。
真上を見上げながら大神官が手の平を上に突きあげる。
そして大神官はその手から紫色の球を生み出し、空に向けて放った。
同時にヨグ=ソトースも動いていた。
三日月型の口を大きな真円に変形させ、その黒い穴の中から拳より少し大きい球体を三つ吐き出した。
球体は外に出ると同時になめらかに変形し、コウモリのような精霊に変化。
コウモリの羽からは糸のような触手が何本も伸びている。
触手はその身をくねらせながら伸び、次々と紫色の球に突き刺さった。
全ての触手が接続完了すると同時にコウモリは羽を激しくはばたかせて加速。紫色の球を牽引する。
そして三匹のコウモリは目標のそばで球を切り離した。
直後に紫色の爆炎が広がり、アルフレッド達が展開した巨大ドラゴンの体に大穴が開く。
大神官は糸で操られるがままに爆発魔法を連射。
ヨグ=ソトースの体から産み出されたコウモリが運び、巨大ドラゴンに次々と炸裂させていく。
巨大ドラゴンはブレスで抵抗するが、ヨグ=ソトースの手数のほうが圧倒的に多く速い。
だからルイスは叫んだ。
「ドラゴンを落とさせるな! 正面から攻撃し続けて敵の意識をこちらに釘付けにしろ!」
その声に応じ、精霊使い達と魔法使い達は再びの一斉攻撃を仕掛けた。
しかし突っ込んだのは飛び道具だけでは無かった。
大量の光弾と銃声、そして精霊達の中に並走するアルフレッドの姿があった。
「無茶をするな!」
思わずルイスが声を上げる。
しかしアルフレッドは止まらず、走りながら声を返した。
「やれます! やってみせます!」
その声と同時にアルフレッドは根拠も思念で返していた。
以前に似たような能力者と戦ったことがあると。
だからアルフレッドは思った。
あの時、バークさんが自分に手合わせを申し込んできたのはこれが理由だったのではないか、と。
いつか大神官と戦うことになるかもしれない、そう考えての行動だったのかもしれない、と。
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