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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む
第二十四話 神殺し、再び(15)
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その思いが届いたわけでは無かったが、ルイスは直後に叫んだ。
「全軍後退! 動ける者はまだ正気な者を運べ!」
しかしそれは打開策では無かった。
ただの時間稼ぎ。
それをルイスもわかっていた。だから考えていた。
(なんとかして対抗しなければ……!)
吐き気の中でルイスが思考を巡らせる。
しかし頭痛のせいで上手く考えられない。
直後、痛みに抗うルイスの前にナチャが降り立った。
空を泳ぐ巨大ムカデといういつもの戦闘形態であったが、ナチャはその形態を変化させ始めた。
胴体の中央の部位を風船のように膨らませ始める。
その膨張に吸い込まれるように胴体は短くなっていき、足の数も減っていった。
膨張の終了と同時に形態変化は完了。
クモの胴体にムカデの頭部が生えているような形態。
その印象は正解であり、ナチャは直後にクモらしい行動を取った。
ルイスの前に壁を作るように網を展開。
しかしその網の貼り方は普通のクモのそれでは無かった。
丸い胴体を突き破って細長いムカデが何匹も飛び出す。
残虐に生まれたムカデ達は足を長く伸ばし、他のムカデ達と手を繋ぐように接続。
そして完成した形はまさにクモの巣と同じであった。
丸い胴体を中心に放射状に伸びた細いムカデが縦糸の役目を果たし、繋がれた手が横糸の役割を果たしている。
恐ろしく生々しい網。
しかしその生々しさはすぐに消えた。
丸い胴体とムカデが発光し始めたからだ。
網全体が銀色に輝く。
その光はアザトースと同じ波を放っていた。
波が相殺し、ルイス達の痛みが和らぐ。
これだ! ルイスはそう気づいた。
単純なことだった。同じ機能を持たせた精霊を大量に作ればいいのだ。
しかしその指示をアルフレッドとデュラン達に出すだけでは駄目だ。
光魔法の使い手はアルフレッドの部隊に配置されているが、今のままでは数がまったく足りない。今のままでは生産速度が遅すぎる。立て直しが完了する前に稼いだ時間が消えてしまう。
魔法使い達をアルフレッド達の部隊に、中央二列目の部隊に集結させる勢いで移動させなければならないだろう。
その連絡にも手間を取る。敵が大きな波を放っているせいでこちらの脳波はほとんど届かないからだ。精霊や虫で直接やり取りするしかない。
そしてこれらを実行するためには、さらに別の手を打ってもっと時間を稼がなくてはならない。
狂人の前進を何とかして食い止めなくてはならない。敵の狂人も波の影響を受けているらしくその動きは鈍いが、こちらの鈍さはそれ以上だ。
「……っ」
そこでルイスの思考は止まってしまった。
何も手が無いわけでは無い。
しかしその全てが賭けの選択肢。
その中でも成功の可能性が特に高いものが一つあった。
が、ルイスはそれを選べなかった。
賭けるものが大きすぎるからだ。
人類の命運を賭けることに等しい。
だから簡単には選べない。
しかし迷っているうちにも制限時間は容赦なく迫る。
それでもルイスには選べなかった。
何か別の手は、と、出口の無い思考の迷路にルイスが迷い込んだ直後、
「ルイス!」
前からシャロンの声が響いた。
シャロンは爆発魔王を撃ちながら声を続けた。
「何か手があるんでしょう!? 早く言って!」
その声と共にシャロンの思いが届いた。
どんなことでもやるから任せて、と。
失敗しても誰もあなたを責めはしない、そんな資格はこの世界の誰にも無い、と。
「全軍後退! 動ける者はまだ正気な者を運べ!」
しかしそれは打開策では無かった。
ただの時間稼ぎ。
それをルイスもわかっていた。だから考えていた。
(なんとかして対抗しなければ……!)
吐き気の中でルイスが思考を巡らせる。
しかし頭痛のせいで上手く考えられない。
直後、痛みに抗うルイスの前にナチャが降り立った。
空を泳ぐ巨大ムカデといういつもの戦闘形態であったが、ナチャはその形態を変化させ始めた。
胴体の中央の部位を風船のように膨らませ始める。
その膨張に吸い込まれるように胴体は短くなっていき、足の数も減っていった。
膨張の終了と同時に形態変化は完了。
クモの胴体にムカデの頭部が生えているような形態。
その印象は正解であり、ナチャは直後にクモらしい行動を取った。
ルイスの前に壁を作るように網を展開。
しかしその網の貼り方は普通のクモのそれでは無かった。
丸い胴体を突き破って細長いムカデが何匹も飛び出す。
残虐に生まれたムカデ達は足を長く伸ばし、他のムカデ達と手を繋ぐように接続。
そして完成した形はまさにクモの巣と同じであった。
丸い胴体を中心に放射状に伸びた細いムカデが縦糸の役目を果たし、繋がれた手が横糸の役割を果たしている。
恐ろしく生々しい網。
しかしその生々しさはすぐに消えた。
丸い胴体とムカデが発光し始めたからだ。
網全体が銀色に輝く。
その光はアザトースと同じ波を放っていた。
波が相殺し、ルイス達の痛みが和らぐ。
これだ! ルイスはそう気づいた。
単純なことだった。同じ機能を持たせた精霊を大量に作ればいいのだ。
しかしその指示をアルフレッドとデュラン達に出すだけでは駄目だ。
光魔法の使い手はアルフレッドの部隊に配置されているが、今のままでは数がまったく足りない。今のままでは生産速度が遅すぎる。立て直しが完了する前に稼いだ時間が消えてしまう。
魔法使い達をアルフレッド達の部隊に、中央二列目の部隊に集結させる勢いで移動させなければならないだろう。
その連絡にも手間を取る。敵が大きな波を放っているせいでこちらの脳波はほとんど届かないからだ。精霊や虫で直接やり取りするしかない。
そしてこれらを実行するためには、さらに別の手を打ってもっと時間を稼がなくてはならない。
狂人の前進を何とかして食い止めなくてはならない。敵の狂人も波の影響を受けているらしくその動きは鈍いが、こちらの鈍さはそれ以上だ。
「……っ」
そこでルイスの思考は止まってしまった。
何も手が無いわけでは無い。
しかしその全てが賭けの選択肢。
その中でも成功の可能性が特に高いものが一つあった。
が、ルイスはそれを選べなかった。
賭けるものが大きすぎるからだ。
人類の命運を賭けることに等しい。
だから簡単には選べない。
しかし迷っているうちにも制限時間は容赦なく迫る。
それでもルイスには選べなかった。
何か別の手は、と、出口の無い思考の迷路にルイスが迷い込んだ直後、
「ルイス!」
前からシャロンの声が響いた。
シャロンは爆発魔王を撃ちながら声を続けた。
「何か手があるんでしょう!? 早く言って!」
その声と共にシャロンの思いが届いた。
どんなことでもやるから任せて、と。
失敗しても誰もあなたを責めはしない、そんな資格はこの世界の誰にも無い、と。
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