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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む

第二十四話 神殺し、再び(8)

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   ◆◆◆

 それを一番最初に感じ取ったのはアルフレッドだった。

(これは……!?)

 それは山が近づいてくるような威圧感と圧迫感。

(この気配は?!)

 その気配は知っていた。
 しかし一瞬信じられなかった。信じたくなかった。だから疑問形の色が強くなった。
 そして間も無く、隣にいるベアトリスが声を上げた。

「アルフレッド、これって……」 

 自分の感覚は間違いだと否定してほしい、そんな思いが滲んだ声。
 しかしその思いは直後に響いたデュランの声によって即否定された。

「かなり強力なやつが迫ってきているな。俺達も前線の部隊と合流すべきじゃないか?」

 敵の狙いは一つしか思いつかなかった。
 だから、

「賛成だ。すぐに移動しよう」

 アルフレッドは頷きを返しながらデュランの提案に即答した。

   ◆◆◆

 ルイスもすぐに敵の動きを察知し、指示を出した。
 敵の大部隊が迫ってきている。それに対抗できる戦力を集める必要があった。
 いや、大部隊という表現は正解から少し遠く感じられた。
 なぜなら、アレが近づいてきているからだ。
 焼き畑農業用の空き地と思われる開けた場所で、ルイスはシャロン達と共にそれの接近を見つめていた。
 異様に巨大でおぞましいもの。
 山のように巨大な脳みそ、感知能力者にはそう見えていた。
 アルフレッドとベアトリスはその気配をもう知っていた。経験していた。
 あの海に現れたものと同じ、アザトースと同じ気配。
 それもそのはず。それは神の宿り木で産声を上げたアザトースの分身だからだ。
 この分身との戦いは最後、神の宿り木での決戦の時になるだろうとルイスは思っていた。
 しかし違った。
 だからルイスは驚きを隠せないでいた。

(まさか、ここで……?!)

 ここで決着をつけるつもりなのか?! ここを決戦の地とするつもりなのか!?
 そんな驚きの声が響かないように隠した直後、森の中からある者が姿を現した。
 それはヨグ=ソトースであった。
 しかし小さい。普通の人間と大して変わらない背の高さ。
 使い捨ての分身、そう見えた。
 ヨグ=ソトースの分身は姿よく見えるように前に歩み出た後、思念の声を響かせた。

“お初にお目にかかる。私はヨグ=ソトースと申す者”

 丁寧なお辞儀と共に響いたその思念も同じように丁寧であり、敵意は感じなかった。
 休戦の交渉でもしにきたのか? そう思える、そう思いたくなるほどに。
 しかし直後に響いた内容はまったく違うものであった。
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