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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む
第二十四話 神殺し、再び(6)
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利害の一致による協力関係の成立、それ自体は対等な関係に見えた。
が、クトゥグアの心は絶対的優位の確信と自信で満ち溢れていた。
それは火の精の欠点を解決できる技術を知ったからでは無い。
むしろ逆。火の精は主力として使い続けるには不安が残る性能であるとクトゥグアは考えている。
自信の根源は火力では無く情報収集力、それを支えているある精霊にあった。
クトゥグアは炎と熱を愛しているが、長い生の中でその愛から産まれる興味と好奇心は少しずつ違う方向にずれていった。
今は熱が他に及ぼす影響、熱による科学的変化のほうに興味が移っている。
クトゥグアは色んなものをおもちゃにして熱による実験を繰り返してきた。
その過程でクトゥグアは見つけたのだ。
熱をあてることで何かしらの反応を生じる物体、「感熱体」の存在を。
内部の抵抗値が変わる、特定の色素が生じるなど、その現象は感熱体によって様々であった。
その瞬間から、クトゥグアの興味は一時的に熱から離れた。ある目的のために別の素材を探し始めた。
そしてクトゥグアは長い月日を費やしてようやく発見した。
それは名付けるならば、「感魂体」と呼べる物質。
魂が発する波に反応して変化を起こすもの。
感魂体は波を反射せず、反応しながら透過させる。
反応した部分は時間で元通りにはならない。
つまり、記録媒体として利用できるのだ。
魂で回路を組んで思考を行っている連中には有効。考えを覗き盗むことに使える。
だから擬態加工には力を入れた。
普段は反応しないように殻で包んでいる。その殻に擬態加工をほどこしてある。
見ただけではそのへんを漂っているゴミにしか判別できない。
これを使ってクトゥグアはナイアラの思考を盗んだのだ。
場所はあの港。あの戦いの最中に盗んだ。
あの港で戦いになることは簡単に予想できた。
だから事前に準備をしておいた。
擬態がより有効に機能するように、港町をホコリだらけのゴミまみれにしておいたのだ。
ナイアラは小さい虫を一気に集合させて攻撃する。ゆえにナイアラにとってもホコリっぽい環境は好都合だった。ナイアラはその乱雑さに警戒心を抱かなかった。だから簡単に盗めた。
誰にも気づかれずに結果を出す、その点においてはナイアラと方向性が似ている。
しかし、クトゥグアの自信の根拠はそれだけでは無かった。
クトゥグアは既に次の素材の開発に着手していた。
開発という言葉通り、クトゥグアは化学者の真似事をするようになっていた。
熱を利用して違うものを組み合わせるなど、新素材の開発に力を入れていた。
求めているものは、人間の脳内で生じている電気信号や光魔法の波を記録できる物質。
それが手に入れば大きく有利になる。
人間社会の掌握も簡単になるだろう。
(……フフ)
だからクトゥグアは心の奥底で静かに笑っていた。
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