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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む

第二十四話 神殺し、再び(4)

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 それはとんでもない要求だった。
 そんなものあるはずが無い、そう即答しそうになった。
 しかしその前にナイアラは質問した。

「高い熱量? なぜそれが必要なのだ?」

 クトゥグアはやむを得ず答えた。
 自分の弱点の一つを明らかにすることになるが、教えなければ話が進まないと思い、クトゥグアは口を開いた。

「私の火の精霊は発火点が高くてな。並の炎では火がつかないのだ」

 そういうことか、と、ナイアラは納得の頷きを返した。
 何気無い質問のつもりであったが、その思わぬ収穫にナイアラは内心で薄く笑っていた。 
 ナイアラはその笑みを悟られないように、すぐに話題を次に移した。

「そういえば、あの戦いでは火の精霊を使っていなかったな。それが理由か?」

 あの戦いとは、クトゥグアの手によって狂人の群れと化した魔王軍とシャロン達のぶつかり合いのことであった。
 炎のブレスを吐くドラゴンはいたが、あれは違う。
 クトゥグアの火の精霊が使う炎、その温度はとんでもないものだからだ。
 普通の魔法使いが放つ炎魔法の温度は数百度、高くても五百に届くか否かというところだ。
 そして火の精霊はクトゥグアが自身の体を削って生み出している。
 クトゥグアの本体は火山の中。つまり、溶岩とほぼ同じ温度の環境下にある。
 その温度は約千度。クトゥグアの炎はそれと同等だ。
 だからあんな生ぬるい攻撃になるはずがないのだ。
 この問いに、クトゥグアは意外でもなんでもない答えを返した。

「その通りだが、理由はそれだけでは無い。もう一つある。普通の人間の魂では火の精霊の熱に『耐えられなかった』。だからだ」

 人間の魂は熱に強く作られている。だから炎魔法が使える。魂を膜のように加工したもので手を薄くおおっているからだ。
 だが、千度の熱には耐えられない。普通は。
 しかしクトゥグアはそれを過去形で表現した。
 その理由をクトゥグアは聞かれる前に答えた。

「しかしその問題は技術で解決している。お前はそれを知っているだろう?」

 確かにその通りだが、ナイアラは即答しなかった。
 自分がどこまでできるのか、その手の内を明かすことに繋がると思ったからだ。
 技術の内容はバークが使っていたものだ。アルフレッドの体を乗っ取ったから知っている。
 自分の虫はバークと同じく小さい。まだ試していないが同じことが出来るだろう。
 だが、試験も無しに本番は避けたい、そんなことを考えてからナイアラはようやく答えた。

「ああ、そうだ。知っている。お前が言う通り、その問題は解決できるだろう。しかしもう一つの要求はさすがに……高熱を出せる炎の使い手か……」

 心当たりが無い、ナイアラはそう答えようとした。
 が、

(いや……? 『奴』ならば、もしや……)

 一人だけ思いついた。
 正確に温度を測ったことなど無いが、可能性を持っている人物がいた。
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