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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む

第二十四話 神殺し、再び(1)

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   ◆◆◆

  神殺し、再び

   ◆◆◆

 その戦いは後に次のように語られるものになった。 
 当時の最強と最強がぶつかり合った戦いであると。
 しかしそれはただの力任せな戦いでは無かった。
 裏では邪悪な者と無垢なる者の策謀と思惑が巡っていた。
 だからあんな結末になったのだと。
 それはとても運命的で、しかし冒涜的なものだったと。

   ◆◆◆ 

 深海に戻ったアザトースは「無名の霧」と呼ばれる巣の中で己が望む未来に思いをはせていた。
 この星に落ちて産まれて以来、ずっと同じ夢を見続けてきた。
 それは肉の海。
 地平線まで広がる肉がのたうち、波打つ、すべてが一つになった世界の夢。
 技術の発達によってこの夢は現実のものにすることができる。なぜだかそんな確信がある。
 だから力を蓄え続けてきた。
 しかしこの魂で作られた体のままではダメだ。
 この世界を大きく変えるにはやはり肉の器が必要だ。
 技術の現実化も肉の器でなければできない。魂にできるのは思い描くことだけだ。
 そしてこの星の知的生命体は、人類と呼ばれる者達は優秀だ。

(されど、ゆえに――)
 
 ゆえに、手ごわい。
 強靭なだけでは無く、計算能力も高い。
 その性能はこれまで戦ってきたいずれの種族と比べても――

(……)

 そこまで考えたところでアザトースは思考を切った。
 時々、こういうことが起きる。
 かつて遠いところで自分は、いや、自分では無いかもしれない何かが、似たような生物と戦っていたような気がするのだ。
 時々それを思い出す。
 いや、これは夢か何かを現実のものと混同しているだけかもしれない。
 それほどに曖昧。
 しかしいつも確信的な強い感覚と共にそれは記憶の奥底から湧き上がる。
 そして感覚はその一つだけでは無い。
 何度も同じことをくり返している、そう感じるのだ。
 とてもとても長い間くり返している、そんな気がするのだ。
 証明する手段は無い。
 だが仮に、この感覚がすべて真実であるとして、このくり返しの果てに自分が真に望むものはあるのだろうか?
 自分にとっての理想郷は存在するのだろうか?
 考えても絶対に答えは出ない。
 ゆえに、

(……)

 アザトースは意識を奥深くに沈め、しばしの休息の眠りについた。
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