393 / 545
第四章 偽りの象徴。偽りの信仰。そして偽りの神
第二十三話 偶然と気まぐれと運命の収束点(24)
しおりを挟む
そしてその奥義はムカデを利用した技術と同じ類のもの。魔力を生み出す内臓を酷使するというもの。
魔力を生み出す速度は心臓の鼓動と比例関係にあることを利用した技術。
心臓の近くで魔力を爆発させ、鼓動を加速させるのだ。
なので負荷は比べ物にならない。調整も困難。
アリスが操作しているベアトリスの心臓はうるさいほどに響き、常に激痛を発している。
全身の神経は魔力の過剰供給によって焼け付くような痛みを発している。
はっきり言って狂気の沙汰。
その狂気で得られる力は人外の域であるが、限界はあっという間に訪れる。
もしも限界を超えれば魔力を生み出す臓器は休止状態に入り、ほとんど動けなくなる。
命を爆発させて燃やし尽くすような、超絶強化技術。
常人より強い臓器を有するベアトリスの体であるが、その残り時間は――
(あと三秒!)
残り三秒で決着をつける! そんな叫びをアリスは心の奥底で響かせた。
そしてその叫びと共に繰り出し始めたのは連打。
目にも止まらぬ、息もつかせぬ連打。
両手両足すべての動を使い、常に先の先を取り続けて相手の動きの初動を潰し続ける。
烈火のような乱舞。
ゆえにナイアラは悲鳴をあげることも出来なかった。
(二秒!)
その凄まじさと時間制限の中でも、アリスは完璧な手加減をしていた。
折れているあばらには一発も入れていない。
そして命中の直前に打撃の勢いを殺している。強く押しているだけ。
にもかかわらず、アルフレッドの体がほんの少し浮いている。つま先が地面から離れている。
そしてこの乱舞はただ激しいだけでは無かった。
打撃と共に数多くの蝶が舞っていた。
蝶はみな青い火の粉をまとっていた。
火の粉はバークからゆずり受けた虫。
とても小さいが、内部で炎の魔力を燃焼することで速く飛ぶことができる。
この技術の恩恵によって、蝶は打撃に遅れることなく華麗に、かつ鋭く舞っていた。
ハチのように旋回しながらアルフレッドの体に鱗粉を、虫を撒き散らす。
虫は体内に侵入し、神経の伝達と魔力の制御を阻害していく。
そして、
(一!)
制限時間の針が最後の一目盛を指した瞬間、アリスは叫んだ。
(いまよ! ベアトリス!)
魔力を生み出す速度は心臓の鼓動と比例関係にあることを利用した技術。
心臓の近くで魔力を爆発させ、鼓動を加速させるのだ。
なので負荷は比べ物にならない。調整も困難。
アリスが操作しているベアトリスの心臓はうるさいほどに響き、常に激痛を発している。
全身の神経は魔力の過剰供給によって焼け付くような痛みを発している。
はっきり言って狂気の沙汰。
その狂気で得られる力は人外の域であるが、限界はあっという間に訪れる。
もしも限界を超えれば魔力を生み出す臓器は休止状態に入り、ほとんど動けなくなる。
命を爆発させて燃やし尽くすような、超絶強化技術。
常人より強い臓器を有するベアトリスの体であるが、その残り時間は――
(あと三秒!)
残り三秒で決着をつける! そんな叫びをアリスは心の奥底で響かせた。
そしてその叫びと共に繰り出し始めたのは連打。
目にも止まらぬ、息もつかせぬ連打。
両手両足すべての動を使い、常に先の先を取り続けて相手の動きの初動を潰し続ける。
烈火のような乱舞。
ゆえにナイアラは悲鳴をあげることも出来なかった。
(二秒!)
その凄まじさと時間制限の中でも、アリスは完璧な手加減をしていた。
折れているあばらには一発も入れていない。
そして命中の直前に打撃の勢いを殺している。強く押しているだけ。
にもかかわらず、アルフレッドの体がほんの少し浮いている。つま先が地面から離れている。
そしてこの乱舞はただ激しいだけでは無かった。
打撃と共に数多くの蝶が舞っていた。
蝶はみな青い火の粉をまとっていた。
火の粉はバークからゆずり受けた虫。
とても小さいが、内部で炎の魔力を燃焼することで速く飛ぶことができる。
この技術の恩恵によって、蝶は打撃に遅れることなく華麗に、かつ鋭く舞っていた。
ハチのように旋回しながらアルフレッドの体に鱗粉を、虫を撒き散らす。
虫は体内に侵入し、神経の伝達と魔力の制御を阻害していく。
そして、
(一!)
制限時間の針が最後の一目盛を指した瞬間、アリスは叫んだ。
(いまよ! ベアトリス!)
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる