366 / 545
第四章 偽りの象徴。偽りの信仰。そして偽りの神
第二十二話 Deus Vult(主はそれを望まれた)(25)
しおりを挟む
しかしまだ危ない、ベアトリスの本能はそう訴えていた。
ベアトリスはその警告に従った。
再び防御魔法を展開。
着地直前に槍を突き刺し、光の濁流を放つ。
放たれた光の蛇の群れは次の瞬間に地面に激突。
波打つ光の絨毯となって広がっていく。
その数瞬後にベアトリスは地面に降り立った。
着地の勢いを殺さず、そのまま前に走り出す。
そしてベアトリスは姿勢を低くしながら足を前に突き出し、光の絨毯の下に足からもぐりこもうとするかのように滑り込んだ。
この時、ベアトリスはバークに自身の正確な位置と姿勢の情報を送っていた。
なぜか。その答えは直後に耳に響いた。
後方、いや、ほぼ真後ろからと言える爆発音。
倒れた塔にバークの爆発魔法が炸裂した音。
砕けた瓦礫が飛び散り、石の散弾となって敵の兵士達を襲う。
バークが塔を倒したのはこのため。
敵の接近を防ぐ障害物としてだけでなく、このように迎撃手段として使うため。
これは事前に通知されていた。だからベアトリスは姿勢を低くした。
地の上を滑るベアトリスの頭上を瓦礫のつぶてが通り抜けていく。
それを確認してからベアトリスは立ち上がり、通常の走行姿勢に入った。
しかし爆発音はまだ続いてる。
ゆえに地を這うような低姿勢。感知も張り巡らせている。
飛来した瓦礫を見ずに避ける。
自身が放った光の濁流と瓦礫の散弾のおかげで立ちふさがる兵士はいない。
が、直後に別のものがベアトリスに襲い掛かった。
光の濁流を突破してきたイカの触腕のような何かと、魚のような何か。
ベアトリスの体に巻き付こうと伸び迫り、食らいつこうと飛び掛かる。
これに、ベアトリスは槍を一閃した。
槍に巻き付いていたムカデがムチのように伸びしなり、イカの足を食いちぎる。
ベアトリスが繰り出した迎撃はそれだけでは無かった。
体に巻き付いているムカデが体を伸ばし、飛び掛かってきた魚に食らいつく、
足は皮膚に刺さったまま。首の部分を伸ばして頭を振っている。
危険を察知して動く自動迎撃機能。これは身体能力を上げるだけで無く、自発的に危険に対処する装備。
さらに、仕事をしているのはベアトリスが身に着けているムカデだけでは無かった。
中空からムカデが雨のように降り注ぎ、地を這ってくる怪物どもに食らいついている。
真後ろ上空からついてきているナチャによる援護攻撃。
直後にそのナチャが声を上げた。
(こいつらは僕が!)
そう叫びながらナチャはさらに上へ浮上した。
そこには、上空から迫ってきている数体のドラゴンがいた。
ナチャが産み出した巨大なムカデがドラゴンとぶつかり合う。
そのおぞましくすらあるぶつかり合いの下で、ベアトリスとアルフレッドの視線が交錯していた。
もうベアトリスを止められるものは二人の間に無い。
ゆえにアルフレッドは二刀を構えていた。
そして既に射程内であった。
ベアトリスはその警告に従った。
再び防御魔法を展開。
着地直前に槍を突き刺し、光の濁流を放つ。
放たれた光の蛇の群れは次の瞬間に地面に激突。
波打つ光の絨毯となって広がっていく。
その数瞬後にベアトリスは地面に降り立った。
着地の勢いを殺さず、そのまま前に走り出す。
そしてベアトリスは姿勢を低くしながら足を前に突き出し、光の絨毯の下に足からもぐりこもうとするかのように滑り込んだ。
この時、ベアトリスはバークに自身の正確な位置と姿勢の情報を送っていた。
なぜか。その答えは直後に耳に響いた。
後方、いや、ほぼ真後ろからと言える爆発音。
倒れた塔にバークの爆発魔法が炸裂した音。
砕けた瓦礫が飛び散り、石の散弾となって敵の兵士達を襲う。
バークが塔を倒したのはこのため。
敵の接近を防ぐ障害物としてだけでなく、このように迎撃手段として使うため。
これは事前に通知されていた。だからベアトリスは姿勢を低くした。
地の上を滑るベアトリスの頭上を瓦礫のつぶてが通り抜けていく。
それを確認してからベアトリスは立ち上がり、通常の走行姿勢に入った。
しかし爆発音はまだ続いてる。
ゆえに地を這うような低姿勢。感知も張り巡らせている。
飛来した瓦礫を見ずに避ける。
自身が放った光の濁流と瓦礫の散弾のおかげで立ちふさがる兵士はいない。
が、直後に別のものがベアトリスに襲い掛かった。
光の濁流を突破してきたイカの触腕のような何かと、魚のような何か。
ベアトリスの体に巻き付こうと伸び迫り、食らいつこうと飛び掛かる。
これに、ベアトリスは槍を一閃した。
槍に巻き付いていたムカデがムチのように伸びしなり、イカの足を食いちぎる。
ベアトリスが繰り出した迎撃はそれだけでは無かった。
体に巻き付いているムカデが体を伸ばし、飛び掛かってきた魚に食らいつく、
足は皮膚に刺さったまま。首の部分を伸ばして頭を振っている。
危険を察知して動く自動迎撃機能。これは身体能力を上げるだけで無く、自発的に危険に対処する装備。
さらに、仕事をしているのはベアトリスが身に着けているムカデだけでは無かった。
中空からムカデが雨のように降り注ぎ、地を這ってくる怪物どもに食らいついている。
真後ろ上空からついてきているナチャによる援護攻撃。
直後にそのナチャが声を上げた。
(こいつらは僕が!)
そう叫びながらナチャはさらに上へ浮上した。
そこには、上空から迫ってきている数体のドラゴンがいた。
ナチャが産み出した巨大なムカデがドラゴンとぶつかり合う。
そのおぞましくすらあるぶつかり合いの下で、ベアトリスとアルフレッドの視線が交錯していた。
もうベアトリスを止められるものは二人の間に無い。
ゆえにアルフレッドは二刀を構えていた。
そして既に射程内であった。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる