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第四章 偽りの象徴。偽りの信仰。そして偽りの神
第二十二話 Deus Vult(主はそれを望まれた)(20)
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声を上げると同時に、ベアトリスの前に飛び出すように加速。
その背中を見た瞬間、ベアトリスは「はっ」となった。
そうだ、止まるわけにはいかない。そんな時間は無い。
引きずられるようにベアトリスも加速する。
前を走るバークの進路は中央突破。立ち並ぶ三体のど真ん中。
直後にバークがさらに加速。一瞬遅れてベアトリスも続く。
目の前に立ちふさがるドラゴンとの距離が一気に詰まる。
そしてバークとドラゴンは同時に動いた。
ドラゴンは一斉にブレスを放射。
体内に蓄えられている光の魔力を含んだ銀色の吐息。
左右のドラゴンのブレスはバークとベアトリスを挟み込むなぎ払いの軌道。
こうなると逃げ場は上空にしか無い。
しかし中央のドラゴンが上からかぶせるような軌道のブレスでそれを封じている。
斜め上に飛んでもなぎ払いのブレスが追尾可能。人間の機動力では回避不能の連携。
であったが、バークの頭の中に回避という選択肢は無かった。
バークの中にある選択肢はただ一つのみ。
まっすぐ最短距離を走って押し通る、ただそれだけ。
ゆえに、何をするかも加速した時にもう決まっていた。
両手の中に青い爆発魔法を生み出し、両腕を後ろに引き絞る。
そしてバークはその腕にためた筋肉のバネの力を開放し、青い弾を投げた。
しかしその腕の振り方は投擲動作には見えなかった。
まるで大きなものを抱きしめようとするかのような動き。
両手が大きく水平に弧を描き、眼前で交差。
「!」
ベアトリスの両眼が驚きに見開く。
なぜなら、その一動作で投げられた爆発魔法は二発では無かったからだ。
両手から三発ずつ。計六発。
弾の形成が凄まじく速い。
やはり、アルフレッドと戦った時は本気を出していなかったのだ。
そして投げた方向は真横と斜め前と正面の三方向。
挟み撃ちに対処しつつ正面を突破するための連続範囲攻撃だ。
その背中を見た瞬間、ベアトリスは「はっ」となった。
そうだ、止まるわけにはいかない。そんな時間は無い。
引きずられるようにベアトリスも加速する。
前を走るバークの進路は中央突破。立ち並ぶ三体のど真ん中。
直後にバークがさらに加速。一瞬遅れてベアトリスも続く。
目の前に立ちふさがるドラゴンとの距離が一気に詰まる。
そしてバークとドラゴンは同時に動いた。
ドラゴンは一斉にブレスを放射。
体内に蓄えられている光の魔力を含んだ銀色の吐息。
左右のドラゴンのブレスはバークとベアトリスを挟み込むなぎ払いの軌道。
こうなると逃げ場は上空にしか無い。
しかし中央のドラゴンが上からかぶせるような軌道のブレスでそれを封じている。
斜め上に飛んでもなぎ払いのブレスが追尾可能。人間の機動力では回避不能の連携。
であったが、バークの頭の中に回避という選択肢は無かった。
バークの中にある選択肢はただ一つのみ。
まっすぐ最短距離を走って押し通る、ただそれだけ。
ゆえに、何をするかも加速した時にもう決まっていた。
両手の中に青い爆発魔法を生み出し、両腕を後ろに引き絞る。
そしてバークはその腕にためた筋肉のバネの力を開放し、青い弾を投げた。
しかしその腕の振り方は投擲動作には見えなかった。
まるで大きなものを抱きしめようとするかのような動き。
両手が大きく水平に弧を描き、眼前で交差。
「!」
ベアトリスの両眼が驚きに見開く。
なぜなら、その一動作で投げられた爆発魔法は二発では無かったからだ。
両手から三発ずつ。計六発。
弾の形成が凄まじく速い。
やはり、アルフレッドと戦った時は本気を出していなかったのだ。
そして投げた方向は真横と斜め前と正面の三方向。
挟み撃ちに対処しつつ正面を突破するための連続範囲攻撃だ。
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