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第四章 偽りの象徴。偽りの信仰。そして偽りの神
第二十二話 Deus Vult(主はそれを望まれた)(15)
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爆発音と共に白い背景の中に青い爆炎がにじむ。
次々とムカデが突っ込み、白を染め返すように青色が広がる。
この連続爆破によって、
(ドラゴンが堕ちる!)
二発の巨大光弾を牽引していたドラゴンが撃墜されたのをベアトリスは感じ取った。
巨大光弾が追尾性能を失い、重力に引かれるままに落ち始める。
巻き込まれないように距離を取るベアトリス。
その移動中、べトリスは先の声の一人と合流を果たした。
「ナチャさん! もう大丈夫なの?!」
まだ大丈夫とは言えないことはその存在感の大きさから明らかだった
意思疎通は出来るが、小さい。
ナチャは包み隠さず、今の状態について答えた。
「すまない。完全回復にはもう少し時間がかかる」
「アリスさんは?」
「彼女も修復中だ。大丈夫。治せないような被害じゃない」
そのやり取りの直後、後方の民家の屋根に光弾が着弾した。
閃光がベアトリスの背中を照らし、爆風に押される。
しかしそれだけ。被害は無し。
ゆえに、ベアトリスはその威力の凄まじさを眺める余裕があった。
通常の爆発魔法による被害とは少し違う。
光魔法による被害は電気によるそれと似ている。特に炭素とは強く反応する。
ゆえに木造建築は被害が目に見えて大きい。木は裂けながら弾け、崩れている。
そして光魔法の反応によって生じた衝撃波が全てを無差別になぎ払う。
細かく引き裂きながら吹き飛ばす、その表現が一番しっくりくる。
その惨状を見てベアトリスは思った。
もしも、あの中に巻き込まれていたら絶対に助からなかった、と。
あの爆発魔法による援護が無かったら確実に死んでいただろう。
その援護をした者の気配は後方から近づいてきていた。
ベアトリスはその気配にわざと追いつかれる形で合流し、その名を呼んだ。
「来てくれてありがとう、バークさん! もう駄目だと思いました!」
しかし、バークには言葉を返す余裕があまり無いようであった。
「はぁ、はぁっ、間に、合ったようだな!」
ベアトリスについていくので精一杯。そう見えるほどに息が荒れている。
が、バークはまだ余裕があるように笑顔を作った。
その笑顔に対し、ベアトリスは励ますように言葉を投げた。
「でも、まさか追いついてくれるとは思ってませんでした!」
「敵の妨害は君に集中していたからな! こっちにはあれから大した攻撃は来なかった!」
バークは持ち前の技術で心を隠していたが、それがウソであることは明らかだった。
なぜなら、バークが一人だからだ。
部隊がついてこれていない。
おそらく、彼らはバークを守って敵の足止めをしてくれているのだろう。
しかしベアトリスはあえて追及するようなことはせず、尋ねた。
「このままいけますか? バークさん!」
バークは深く息を吸い込んで呼吸を整えてから、力強く言葉を返した。
「ああ、大丈夫だ! 行こう!」
次々とムカデが突っ込み、白を染め返すように青色が広がる。
この連続爆破によって、
(ドラゴンが堕ちる!)
二発の巨大光弾を牽引していたドラゴンが撃墜されたのをベアトリスは感じ取った。
巨大光弾が追尾性能を失い、重力に引かれるままに落ち始める。
巻き込まれないように距離を取るベアトリス。
その移動中、べトリスは先の声の一人と合流を果たした。
「ナチャさん! もう大丈夫なの?!」
まだ大丈夫とは言えないことはその存在感の大きさから明らかだった
意思疎通は出来るが、小さい。
ナチャは包み隠さず、今の状態について答えた。
「すまない。完全回復にはもう少し時間がかかる」
「アリスさんは?」
「彼女も修復中だ。大丈夫。治せないような被害じゃない」
そのやり取りの直後、後方の民家の屋根に光弾が着弾した。
閃光がベアトリスの背中を照らし、爆風に押される。
しかしそれだけ。被害は無し。
ゆえに、ベアトリスはその威力の凄まじさを眺める余裕があった。
通常の爆発魔法による被害とは少し違う。
光魔法による被害は電気によるそれと似ている。特に炭素とは強く反応する。
ゆえに木造建築は被害が目に見えて大きい。木は裂けながら弾け、崩れている。
そして光魔法の反応によって生じた衝撃波が全てを無差別になぎ払う。
細かく引き裂きながら吹き飛ばす、その表現が一番しっくりくる。
その惨状を見てベアトリスは思った。
もしも、あの中に巻き込まれていたら絶対に助からなかった、と。
あの爆発魔法による援護が無かったら確実に死んでいただろう。
その援護をした者の気配は後方から近づいてきていた。
ベアトリスはその気配にわざと追いつかれる形で合流し、その名を呼んだ。
「来てくれてありがとう、バークさん! もう駄目だと思いました!」
しかし、バークには言葉を返す余裕があまり無いようであった。
「はぁ、はぁっ、間に、合ったようだな!」
ベアトリスについていくので精一杯。そう見えるほどに息が荒れている。
が、バークはまだ余裕があるように笑顔を作った。
その笑顔に対し、ベアトリスは励ますように言葉を投げた。
「でも、まさか追いついてくれるとは思ってませんでした!」
「敵の妨害は君に集中していたからな! こっちにはあれから大した攻撃は来なかった!」
バークは持ち前の技術で心を隠していたが、それがウソであることは明らかだった。
なぜなら、バークが一人だからだ。
部隊がついてこれていない。
おそらく、彼らはバークを守って敵の足止めをしてくれているのだろう。
しかしベアトリスはあえて追及するようなことはせず、尋ねた。
「このままいけますか? バークさん!」
バークは深く息を吸い込んで呼吸を整えてから、力強く言葉を返した。
「ああ、大丈夫だ! 行こう!」
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