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第四章 偽りの象徴。偽りの信仰。そして偽りの神
第二十二話 Deus Vult(主はそれを望まれた)(3)
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◆◆◆
突如現れた巨大な気配に意識を向けながらベアトリスは走り続けた。
これが連中が感知能力者と魂を集めていた理由?
神を復活させる、そんなことを大神官は言っていた。
ならばこれがかつての神の再現? そんなことをベアトリスが考えた直後、アリスの声が響いた。
「いいえ、それは違うわ。かつての神はこんなものでは無かった」
でも、と、アリスは言葉を続けた。
「でも、個人で考えて作ったにしてはよくできている。できすぎているくらいに。まるで、何かを真似して作ったみたい」
そしてアリスは一つの予想を述べた。
「あの大神官が言っていた『かつての神』というのは、そもそもこの地上の神のことでは無かったのかもしれないわね」
それは大胆な予想であったが、間違っていないように思えた。
しかし真偽はわからない。確かめようが無い。
ゆえにベアトリスは特に言葉を返すことなく、走り続けた。
その走りには焦りの色が現れていた。
なぜなら、アルフレッドがもうじき港に着いてしまうからだ。
ゆえに、ベアトリスは体力を全て使い切る勢いで、全力で走っていた。
しかし差は縮まらない。相手も明らかに全力。
追いつけない――そんな言葉がベアトリスの脳裏に浮かびかけた瞬間、
「……?」
前方を走っていたアルフレッドが止まったのをベアトリスは感じ取った。
何があった? そんな疑問の答えは直後に感じ取れた。
「……何かと戦ってる?」
その言葉に、ナチャが付け加えた。
「……アルフレッド一人対大勢、という形じゃ無いね。二つの部隊が港町で戦い始めた感じだ」
アルフレッドの味方? バークさんの部隊?
浮かび上がったそんな疑問に対し、今度はアリスが声を上げた。
「……それは無いわね。感じ取れる情報から考えるに、あれは狂人の部類。狂人達同士がぶつかり合っているわね」
それから予想されることを、直後にナチャが言葉にした。
「アルフレッドを誘拐したやつはこの場面を想定して準備していたんだろうね」
だからあいつの本体も来ているはず、ナチャがそう言おうとした直後、それは現れた。
「!」
海から巨大な気配が近づいてくる、ベアトリスがそれを感じ取れたのとほぼ同時に、イカの触腕が何本も遠くの海面に伸び現れた。
あの神の木の方向に現れたものと同等の規模の気配。
これだけの巨体であれば、並の相手には負けないだろう。
やつはその巨体を見せつけながら悠々とアルフレッドを外国に連れて行くのだろう。
そう思った直後にベアトリスの口は勝手に開いていた。
「そんなこと、わたしがさせない!」
突如現れた巨大な気配に意識を向けながらベアトリスは走り続けた。
これが連中が感知能力者と魂を集めていた理由?
神を復活させる、そんなことを大神官は言っていた。
ならばこれがかつての神の再現? そんなことをベアトリスが考えた直後、アリスの声が響いた。
「いいえ、それは違うわ。かつての神はこんなものでは無かった」
でも、と、アリスは言葉を続けた。
「でも、個人で考えて作ったにしてはよくできている。できすぎているくらいに。まるで、何かを真似して作ったみたい」
そしてアリスは一つの予想を述べた。
「あの大神官が言っていた『かつての神』というのは、そもそもこの地上の神のことでは無かったのかもしれないわね」
それは大胆な予想であったが、間違っていないように思えた。
しかし真偽はわからない。確かめようが無い。
ゆえにベアトリスは特に言葉を返すことなく、走り続けた。
その走りには焦りの色が現れていた。
なぜなら、アルフレッドがもうじき港に着いてしまうからだ。
ゆえに、ベアトリスは体力を全て使い切る勢いで、全力で走っていた。
しかし差は縮まらない。相手も明らかに全力。
追いつけない――そんな言葉がベアトリスの脳裏に浮かびかけた瞬間、
「……?」
前方を走っていたアルフレッドが止まったのをベアトリスは感じ取った。
何があった? そんな疑問の答えは直後に感じ取れた。
「……何かと戦ってる?」
その言葉に、ナチャが付け加えた。
「……アルフレッド一人対大勢、という形じゃ無いね。二つの部隊が港町で戦い始めた感じだ」
アルフレッドの味方? バークさんの部隊?
浮かび上がったそんな疑問に対し、今度はアリスが声を上げた。
「……それは無いわね。感じ取れる情報から考えるに、あれは狂人の部類。狂人達同士がぶつかり合っているわね」
それから予想されることを、直後にナチャが言葉にした。
「アルフレッドを誘拐したやつはこの場面を想定して準備していたんだろうね」
だからあいつの本体も来ているはず、ナチャがそう言おうとした直後、それは現れた。
「!」
海から巨大な気配が近づいてくる、ベアトリスがそれを感じ取れたのとほぼ同時に、イカの触腕が何本も遠くの海面に伸び現れた。
あの神の木の方向に現れたものと同等の規模の気配。
これだけの巨体であれば、並の相手には負けないだろう。
やつはその巨体を見せつけながら悠々とアルフレッドを外国に連れて行くのだろう。
そう思った直後にベアトリスの口は勝手に開いていた。
「そんなこと、わたしがさせない!」
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