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第四章 偽りの象徴。偽りの信仰。そして偽りの神

第二十一話 そして聖域は地獄に変わる(11)

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 大鎌の刃が真後ろにいくまで体を捻るのが初動。
 そこから腰を回転させ、鎌を前に送りつつ刃を斜め下に振り下ろす。
 クラリスの体が正面に向き直ると同時に、振り下ろされた刃が体のほぼ真横で地面に突き刺さる。
 そして魔力を勢いよく地中に流し込む。
 行き場を失った魔力が地中で暴れ始めたのを確認してから鎌を前に振り抜き、石つぶてと小規模の光の濁流を繰り出す。
 振り抜いた鎌を斜め上に振り上げつつ、刃から魔力を放出。巨大な三日月を放つ。
 振り上げた勢いを利用しつつ腰を回転させ、構えを左右反転。そして初動に戻る。これを高速で繰り返す。
 墓荒らしと同時に放つ三日月には速度に緩急があり、途中で重なるようにぶつかり合って光の嵐となる。
 この一連の動きによって大規模の嵐と石つぶての連発を実現している。
 その激しさはクラリスの周囲の地面がすぐに大きくえぐれて使えなくなってしまうほど。ゆえに、時折地面を鋭く蹴って移動している。
 魔力の消費が激しく、内臓への負担が尋常では無いが、いまのクラリスには関係の無いこと。
 残り少ない命を振り絞っているかのような、激しい攻撃がバークを襲う。
 しかしそれよりもバークは激しかった。

「ぅ雄雄雄雄雄ぉぉっ!」

 気勢を響かせ続けながら爆発魔法を連打。
 次々と繰り出される石つぶてをすべて吹き飛ばし、抵抗値を上げた膜で荒らしを受け流しながら前へ前へ。
 クラリスは位置調整をかねた後退動作を繰り返しているが、それでもバークのほうがはるかに速い。
 あっという間に双方の距離がつまる。
 しかし距離が詰まると爆発との距離も近くる。
 ゆえに、バークは、

(ここだ!)

 ある距離で勝負をかけた。
 爆発魔法を放つと同時に両足の中で魔力を爆発させる。
 投げた爆発魔法の真後ろに張り付こうとするかのように急加速。
 そして目の前の青い球が弾ける瞬間、バークは防御魔法を展開しつつ、背を低くしながらさらに力強く地を蹴った。
 光の盾を構えながら目の前で起きた青い爆発の中に突っ込む。

「っ!」

 轟音と共に防御魔法が砕け、衝撃波と炎がバークを襲う。
 瞬間、バークは「耐えろ!」と己に活を入れた。
 衝撃波がバークの体を打ち揺らし、炎が全身に激痛を走らせる。
 そして一瞬の浮遊感。
 その浮遊感の直後、バークの右足が再び勢いよく地を蹴った。
 青い爆炎の中からバークの体が飛び出す。
 直後に巨大な三日月がバークに直撃したが、強固な膜に守られている今のバークには何の問題にもならない。
 三日月を体の上で滑らせるように受け流す。
 既にクラリスは目の前。近接戦闘の間合い。
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