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第四章 偽りの象徴。偽りの信仰。そして偽りの神

第二十一話 そして聖域は地獄に変わる(7)

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   ◆◆◆

「はぁっ、はっ、はぁ!」

 バークも同じように息を荒げながら森の中を駆けていた。
 丸一日眠ってしまった! そんな後悔の念を皆に知らせるかのように大きく響かせながら、バークはひたすらに走っていた。
 二人はどうなった? そんな思いが後悔の中に時々響く。
 結局、クラリスも敵を食い止めるためにアーティットと同じようにあの場に残っていた。
 二人とも無事でいてくれ――そんな願いを滲ませながらただ走る。
 前方には三体のドラゴンと、見たことの無い巨大なやつがいる。
 巨大なやつは始めて出会うが、ドラゴンのほうは恐らくアーティットとクラリスが食い止めていたやつらだろう。
 ならば、こいつらを突破した先に二人がいる可能性が高い。
 だからそこをどけ! と、怒りを含んだ心の叫びをバークが響かせた直後、

「!?」

 巨大なやつとドラゴン達がぶつかり合い始めたのをバークは感じ取った。
 巨大なやつはドラゴンの仲間では無い?
 何が起きているのかを確かめるべく、接近する。
 すると、しばらくして、

(!! この気配は!?」

 知っている者の気配をバークは感じ取った。
 その者も戦っている。ドラゴンに攻撃を仕掛けている。
 この気配はたしか――
 バークがその名を心の中で響かせながら森を抜けた直後、

(やはり、ベアトリスか!)

 焼畑で出来たと思われる平原の中で戦っているベアトリスの姿が目に映った。
 しかしアルフレッドの姿が見えない。
 二人は一緒では無いのか? そんな疑問を抱きながらバークは近づき、そして声を上げた。

「援護するぞ、ベアトリス!」

 ベアトリスはバークの接近に気づいていたらしく、驚きもせずに声を返した。

「ありがとう! 助かる!」

 その声の直後にバークは右手を前に突き出した。
 放たれた爆発魔法がドラゴンに炸裂。
 青い爆炎が赤く変わりながらドラゴンの巨体に大穴を空ける。
 その穴にベアトリスが放ったムカデが飛び込み、中から食い破り始める。
 見ると、ベアトリスの体はそのムカデに包まれていた。
 いや、身にまとっていると言った方が正しい。
 まるで鎧のよう。
 ムカデ自体はベアトリスの精霊では無く、巨大な怪物のもののようだ。
 この怪物は一体何者? ベアトリスとの関係は?
 いくつかの疑問がバークの中に生じる。
 だが、その疑問は次の瞬間に意識から消えた。
 なぜなら、ドラゴンの後方からある二人が姿を現したからだ。
 バークは思わずその二人の名を叫んだ。

「アーティット! クラリス!」
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