320 / 545
第四章 偽りの象徴。偽りの信仰。そして偽りの神
第二十話 母なる海の悪夢(18)
しおりを挟む
間も無く、アルフレッドとベアトリスを乗せた小型船は他の船と一緒に進み始めた。
ベアトリスは感知能力を全開にして周囲を警戒していた。
周りに味方は多い。真下にはナチャさんがいる。
だから大丈夫。今は大丈夫。
そんな心の声を小さな波で響かせた直後、アルフレッドが動いた。
走り出し、船から飛び出す。
そして少し海の上を走ったあと、アルフレッドは海中に潜った。
これが「行く」という言葉の真意。
安全な接近方法は既にシャロンが示してくれた。アルフレッドはそれをそのまま真似したのだ。
ベアトリスも遅れずにアルフレッドの真後ろを泳ぐ。
白サメの襲撃の気配は感じられない。
周囲には味方の精霊が大量にいる。守ってくれている。
だが、それでも対峙せざるを得ない障害がある。
それは首長竜。
並の精霊ではこいつはどうにもならない。自分達の力で突破しないと。
そんな思いを響かせながらアルフレッドとベアトリスが蝶の精霊を展開した直後、
「「!」」
海底から、何かが沸き上がってきた。
ムカデ? 二人が同時に心の声を響かせた直後、
“行って!”
直接頭に響いたその声は、間違い無くナチャのものであった。
海底に擬態させた分身をずっと護衛につけてくれていたのか、そのことにアルフレッドが気づいた直後、
(ありがとう!)
ベアトリスは純粋な感謝の念を大きく響かせた。
そしてアルフレッドとベアトリスは並んで浮上開始。
海面に飛び出し、水の上を駆け、一気に距離を詰める。
あと数歩、というところで二人同時に強く波を蹴って大きく跳躍。
アルフレッドのほうが勢いがあり、ベアトリスより前に出る。
が、ベアトリスが遅れたのでは無い。
これは心の中での打ち合わせ通りの動き。
直後、アルフレッドは打ち合わせ通りに左手から防御魔法を展開。
すぐ後ろにいるベアトリスがその中心に狙いを定め、
「破ッ!」
光る槍を突き出した。
防御魔法を貫き、船の側面に槍先が突き立つ。
直後に貫かれた防御魔法は輝く槍に収束し、弾けて嵐となった。
光る嵐が船の側面を食い破り、生じた穴の中に二人が飛び込む。
船の中では既に狂人達が戦闘態勢で待ち構えていた。
狂人達もこの奇襲を読んでいたのだ。
だが、二人にとっては多いとはいえない人数。
ゆえに、アルフレッドは、
(できるだけ早く制圧しよう!)
と、速攻の声を響かせると同時に踏み込んだ。
ベアトリスは感知能力を全開にして周囲を警戒していた。
周りに味方は多い。真下にはナチャさんがいる。
だから大丈夫。今は大丈夫。
そんな心の声を小さな波で響かせた直後、アルフレッドが動いた。
走り出し、船から飛び出す。
そして少し海の上を走ったあと、アルフレッドは海中に潜った。
これが「行く」という言葉の真意。
安全な接近方法は既にシャロンが示してくれた。アルフレッドはそれをそのまま真似したのだ。
ベアトリスも遅れずにアルフレッドの真後ろを泳ぐ。
白サメの襲撃の気配は感じられない。
周囲には味方の精霊が大量にいる。守ってくれている。
だが、それでも対峙せざるを得ない障害がある。
それは首長竜。
並の精霊ではこいつはどうにもならない。自分達の力で突破しないと。
そんな思いを響かせながらアルフレッドとベアトリスが蝶の精霊を展開した直後、
「「!」」
海底から、何かが沸き上がってきた。
ムカデ? 二人が同時に心の声を響かせた直後、
“行って!”
直接頭に響いたその声は、間違い無くナチャのものであった。
海底に擬態させた分身をずっと護衛につけてくれていたのか、そのことにアルフレッドが気づいた直後、
(ありがとう!)
ベアトリスは純粋な感謝の念を大きく響かせた。
そしてアルフレッドとベアトリスは並んで浮上開始。
海面に飛び出し、水の上を駆け、一気に距離を詰める。
あと数歩、というところで二人同時に強く波を蹴って大きく跳躍。
アルフレッドのほうが勢いがあり、ベアトリスより前に出る。
が、ベアトリスが遅れたのでは無い。
これは心の中での打ち合わせ通りの動き。
直後、アルフレッドは打ち合わせ通りに左手から防御魔法を展開。
すぐ後ろにいるベアトリスがその中心に狙いを定め、
「破ッ!」
光る槍を突き出した。
防御魔法を貫き、船の側面に槍先が突き立つ。
直後に貫かれた防御魔法は輝く槍に収束し、弾けて嵐となった。
光る嵐が船の側面を食い破り、生じた穴の中に二人が飛び込む。
船の中では既に狂人達が戦闘態勢で待ち構えていた。
狂人達もこの奇襲を読んでいたのだ。
だが、二人にとっては多いとはいえない人数。
ゆえに、アルフレッドは、
(できるだけ早く制圧しよう!)
と、速攻の声を響かせると同時に踏み込んだ。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる