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第四章 偽りの象徴。偽りの信仰。そして偽りの神
第二十話 母なる海の悪夢(13)
しおりを挟む「「「?!」」」
いったい何を?! そんな心の声を兵士達は響かせた。
突然、船の先端から海に飛び出したのだから無理も無かった。
そこには海しかない。ただの飛び込みにしか見えなかったからだ。
が、直後、
「「「!」」」
それを見た兵士達の心は純粋な驚きに変わった。
シャロンは海の上を走っていた。
速い。地面の上を走っているかのように軽やか。
だが、シャロンの表情に余裕は無かった。
原理は単純。
水と光魔法は相性がいい。すんなりと浸透する。
そして磁石と同じように、光魔法同士も反発させることが出来る。
シャロンはその反発力を利用していた。
足裏から海面に魔力を浸透させ、直後に同じ魔力を放出して反発させる。
それは問題無くできていたが、シャロンの表情の原因は別のところにあった。
波が荒れているため、細かな動きが難しいのだ。
だから軽やかに見える。強く蹴っているため歩幅が大きくなっているからだ。
この大きな歩幅には大きな欠点があった。
ゆえに、直後、
「……っ!」
シャロンの表情はさらに険しいものになった。
敵の大砲の照準がシャロンに向いたからだ。
「援護して!」
思わずシャロンはそう叫ぶと同時に、爆発魔法を放った。
その叫びは味方に届いた。即座に反応してくれた。それが感じ取れた。
だが、これだけでは足りない、これだけでは運任せ、そんな確信があった。
何かもう一手――防御魔法? 論外だ。ぶどう弾に対しては盾になりえない。
ならば回避行動? 『あの白いサメのように』速く動いて被弾率を下げる? ダメだ、これも当てにならな――
「!」
瞬間、シャロンはひらめいた。
『白いサメのように』、それが天啓だった。
ひらめくと同時にシャロンの体は動いていた。
体を前に倒し、波に向かって頭から突っ込む。
これが正解。この場面では海が最も信頼できる盾。
盾は分厚ければ分厚いほどいい。だから出来るだけ深く潜る。
海面を走る技術をそのまま応用し、海中で推進力を得る。進む方向が横から下に変わっただけ。
そして二度海水を蹴った直後、海上で爆発音が響いた。
凄まじい水しぶきがあがり、ぶどう弾が海中にまで追いかけてくる。
これに対し、シャロンは振り返って防御魔法を展開。
直後、
「っ!」
展開した光の盾に鉄の弾丸が直撃した。
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