305 / 545
第四章 偽りの象徴。偽りの信仰。そして偽りの神
第二十話 母なる海の悪夢(3)
しおりを挟む
その有様を少し離れたところから見ていた兵士は、直後に恐怖と共に声を上げた。
「こっちに来るぞ!」
兵士の指先が示す海中には、迫る白サメの姿があった。
同じ船に乗っている兵士達が身を乗り出し、銃撃を浴びせる。
が、
「効いてねえぞ!」
「深すぎるんだ!」
分厚い水という壁の前には無意味だった。
成す術が無いと、兵士達は被弾を覚悟した。
その直後、
「狙い撃つ! 耳を塞げ!」
同船しているフレディの声が真横から響いた。
なんで耳を塞ぐ必要が――そう思った兵士が見ると、フレディは大砲を構えていた。
だから兵士は慌てて耳に手を当てた。
白サメが今まさに海面から飛び出さんと迫る。
直後に大砲は火を噴いた。
「「「っ!」」」
轟音が同船している兵士達の耳を打つ。
そして放たれたのはぶどう弾。
散弾が海中から飛び出してきた白サメに炸裂。
その巨体を穴だらけにし、ズタズタに引き裂いていく。
そうして白サメは兵士達の眼前で空中分解した。
体内に蓄えられていた魔力が空気中に放出され、放電のような音を立てながら周辺に撒き散らされる。
これによる被害は軽微。
だが、問題は次であった。既に次の白サメが海中から迫っていた。
ぶどう弾の装填は間に合わない。
だからフレディは義手のレバーを指をかけた。
重要なのはタイミング。失敗は即死を意味する。
であったが、フレディは怖気づくことなく前に飛び出し、サメに対して最前に立った。
サメがフレディに狙いを定め、突っ込んでくる。
フレディは右手を突き出したまま、感知能力を研ぎ澄ませて機を待つ。
そして、
(今だ!)
サメの鼻先が海面から飛び出した瞬間、フレディはレバーを引いた。
魔力がほとばしり、衝撃が手の平から飛び出す。
槍のような衝撃波はサメの体を貫き、大穴を開け、引き裂くように吹き飛ばした。
「こっちに来るぞ!」
兵士の指先が示す海中には、迫る白サメの姿があった。
同じ船に乗っている兵士達が身を乗り出し、銃撃を浴びせる。
が、
「効いてねえぞ!」
「深すぎるんだ!」
分厚い水という壁の前には無意味だった。
成す術が無いと、兵士達は被弾を覚悟した。
その直後、
「狙い撃つ! 耳を塞げ!」
同船しているフレディの声が真横から響いた。
なんで耳を塞ぐ必要が――そう思った兵士が見ると、フレディは大砲を構えていた。
だから兵士は慌てて耳に手を当てた。
白サメが今まさに海面から飛び出さんと迫る。
直後に大砲は火を噴いた。
「「「っ!」」」
轟音が同船している兵士達の耳を打つ。
そして放たれたのはぶどう弾。
散弾が海中から飛び出してきた白サメに炸裂。
その巨体を穴だらけにし、ズタズタに引き裂いていく。
そうして白サメは兵士達の眼前で空中分解した。
体内に蓄えられていた魔力が空気中に放出され、放電のような音を立てながら周辺に撒き散らされる。
これによる被害は軽微。
だが、問題は次であった。既に次の白サメが海中から迫っていた。
ぶどう弾の装填は間に合わない。
だからフレディは義手のレバーを指をかけた。
重要なのはタイミング。失敗は即死を意味する。
であったが、フレディは怖気づくことなく前に飛び出し、サメに対して最前に立った。
サメがフレディに狙いを定め、突っ込んでくる。
フレディは右手を突き出したまま、感知能力を研ぎ澄ませて機を待つ。
そして、
(今だ!)
サメの鼻先が海面から飛び出した瞬間、フレディはレバーを引いた。
魔力がほとばしり、衝撃が手の平から飛び出す。
槍のような衝撃波はサメの体を貫き、大穴を開け、引き裂くように吹き飛ばした。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
みおな
ファンタジー
私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。
それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。
そして、目覚めた時ー
【完結】聖獣もふもふ建国記 ~国外追放されましたが、我が領地は国を興して繁栄しておりますので御礼申し上げますね~
綾雅(要らない悪役令嬢1巻重版)
ファンタジー
婚約破棄、爵位剥奪、国外追放? 最高の褒美ですね。幸せになります!
――いま、何ておっしゃったの? よく聞こえませんでしたわ。
「ずいぶんと巫山戯たお言葉ですこと! ご自分の立場を弁えて発言なさった方がよろしくてよ」
すみません、本音と建て前を間違えましたわ。国王夫妻と我が家族が不在の夜会で、婚約者の第一王子は高らかに私を糾弾しました。両手に花ならぬ虫を這わせてご機嫌のようですが、下の緩い殿方は嫌われますわよ。
婚約破棄、爵位剥奪、国外追放。すべて揃いました。実家の公爵家の領地に戻った私を出迎えたのは、溺愛する家族が興す新しい国でした。領地改め国土を繁栄させながら、スローライフを楽しみますね。
最高のご褒美でしたわ、ありがとうございます。私、もふもふした聖獣達と幸せになります! ……余計な心配ですけれど、そちらの国は傾いていますね。しっかりなさいませ。
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
※2022/05/10 「HJ小説大賞2021後期『ノベルアップ+部門』」一次選考通過
※2022/02/14 エブリスタ、ファンタジー 1位
※2022/02/13 小説家になろう ハイファンタジー日間59位
※2022/02/12 完結
※2021/10/18 エブリスタ、ファンタジー 1位
※2021/10/19 アルファポリス、HOT 4位
※2021/10/21 小説家になろう ハイファンタジー日間 17位
この争いの絶えない世界で ~魔王になって平和の為に戦いますR
ばたっちゅ
ファンタジー
相和義輝(あいわよしき)は新たな魔王として現代から召喚される。
だがその世界は、世界の殆どを支配した人類が、僅かに残る魔族を滅ぼす戦いを始めていた。
無為に死に逝く人間達、荒廃する自然……こんな無駄な争いは止めなければいけない。だが人類にもまた、戦うべき理由と、戦いを止められない事情があった。
人類を会話のテーブルまで引っ張り出すには、結局戦争に勝利するしかない。
だが魔王として用意された力は、死を予感する力と全ての文字と言葉を理解する力のみ。
自分一人の力で戦う事は出来ないが、強力な魔人や個性豊かな魔族たちの力を借りて戦う事を決意する。
殺戮の果てに、互いが共存する未来があると信じて。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?
小平ニコ
ファンタジー
「ディーナ。お前には今日で、俺たちのパーティーを抜けてもらう。異論は受け付けない」
勇者ラジアスはそう言い、私をパーティーから追放した。……異論がないわけではなかったが、もうずっと前に僧侶と戦士がパーティーを離脱し、必死になって彼らの抜けた穴を埋めていた私としては、自分から頭を下げてまでパーティーに残りたいとは思わなかった。
ほとんど喧嘩別れのような形で勇者パーティーを脱退した私は、故郷には帰らず、戦闘もこなせる武闘派聖女としての力を活かし、賞金首狩りをして生活費を稼いでいた。
そんなある日のこと。
何気なく見た新聞の一面に、驚くべき記事が載っていた。
『勇者パーティー、またも敗走! 魔王軍四天王の前に、なすすべなし!』
どうやら、私がいなくなった後の勇者パーティーは、うまく機能していないらしい。最新の回復職である『ヒーラー』を仲間に加えるって言ってたから、心配ないと思ってたのに。
……あれ、もしかして『ヒーラー』って、完全に回復に特化した職業で、聖女みたいに、防御の結界を張ることはできないのかしら?
私がその可能性に思い至った頃。
勇者ラジアスもまた、自分の判断が間違っていたことに気がついた。
そして勇者ラジアスは、再び私の前に姿を現したのだった……
魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密
藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。
そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。
しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。
過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる