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第三章 荒れる聖域。しかしその聖なるは誰がためのものか
第十九話 黄金の林檎(22)
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その荒っぽい装填中に、フレディはルイスに言われたことを思い出した。
ルイスは言った。これは非常時に使う『近距離用』の武装だと。
フレディにはそうは思えなかった。
(どう考えてもこれは――)
だが、その続きを言葉にする時間は無かった。
「!」
瞬間、フレディは感じ取った。
同時に脳裏に言葉が走った。
これは抜かれる、と。
直後に感じ取った通りのことが目の前で起きた。
それは大盾兵の後ろから飛び出してきた新たな狂人の影。
跳躍が大きい。このままでは上を飛び越される。
だからフレディは即座に刃を輝かせた。
これも何度も練習した、だから出来るはず! そんな心の声を響かせながら刃を下段に構え、
「でえやっ!」
気勢と共に勢いよく振り上げた。
瞬間、フレディは「できた!」と、心の声を高らかに響かせた。
魔力を放出しながら振り上げられた刃は銀色の曲線を描き、それは三日月型の飛び道具となって放たれた。
これに対し、狂人は振り返って防御しようとしたが、その行動は何もかも遅すぎた。
三日月が狂人の体に食い込み、銀色の魔力が炸裂。
光の魔力が皮膚を破壊しながら体内に侵入し、暴れ回って内部から引き裂いていく。
その炸裂音と共に狂人は赤く取り乱しながら、地面に転げ落ちた。
直後にフレディはその狂人から意識を外した。
あれはまだ生きているが、トドメは味方に任せる、そんな声を響かせながら、フレディは次の動作に移った。
己の感を信じ、振り返ると同時に斜め上に向かって刃を横に一閃。
直後、放たれた三日月は飛び出してきたばかりの新たな狂人に直撃した。
即座に刃を切り返し、次の三日月を放つ。
そのまま腕を止めずに連続発射。
まるでみだれ撃ちのように、いくつもの三日月が中空を駆ける。
その全てが直撃。
次々と飛び込んでくる狂人達を全て撃墜する。
(すごいぞ、フレディ!)
その仕事ぶりに、ナンティの賞賛の声が響く。
が、
(油断するな! 左右に気をつけろ!)
フレディは警戒の言葉を返した。
言う通り、左右は油断ならない状況であった。
フレディは誰も通していないが、他は違った。
既に乱戦になっている。前列を突破し、後退する銃兵隊に襲い掛かっている狂人達がいる。
これが狂人達の目的。対空射撃を止めるための突撃。
そして直後、乱戦になっている銃兵隊の一つから声が響いた。
「上がおろそかになっているぞ! 撃ち落とせ!」
隊長と思わしき者の声。
その声の通り、対空射撃はまばらになってしまっていた。
が、それは無理な指示であった。
だから兵士の一人が声を上げた。
「数が多すぎる!」
その声には、「前と上の両方を同時に対処できるわけないだろ!」と言い思いが含まれていた。
さらに、状況は改善していないことを告げる声が別部隊から上がった。
「空から来るやつの数が減ってる気配が無い!」
「むしろ増えてないか?!」
それは正解であった。
港町の中で、新たな小さなドラゴンが次々と再生産されていた。
そして狂人達が乱戦にもちこんだため、対空射撃を突破する割合は大きく増加していた。
「二号機、砲撃不能!」
「三号機、再び被弾! ……大丈夫です! まだ撃てます!」
大型大砲の被害報告が次々と上がる。
その声に、ルイスは表情を歪めていた。
歪めながらも、ルイスは必死に自分の心を隠していた。作戦を読まれないように。
心を暗号化し、誰にも理解できないようにしていた。
その孤独な戦いの中で、ルイスは焦りの声を響かせていた。
(くそ、まだなのか? さすがにこれ以上は……)
ルイスは言った。これは非常時に使う『近距離用』の武装だと。
フレディにはそうは思えなかった。
(どう考えてもこれは――)
だが、その続きを言葉にする時間は無かった。
「!」
瞬間、フレディは感じ取った。
同時に脳裏に言葉が走った。
これは抜かれる、と。
直後に感じ取った通りのことが目の前で起きた。
それは大盾兵の後ろから飛び出してきた新たな狂人の影。
跳躍が大きい。このままでは上を飛び越される。
だからフレディは即座に刃を輝かせた。
これも何度も練習した、だから出来るはず! そんな心の声を響かせながら刃を下段に構え、
「でえやっ!」
気勢と共に勢いよく振り上げた。
瞬間、フレディは「できた!」と、心の声を高らかに響かせた。
魔力を放出しながら振り上げられた刃は銀色の曲線を描き、それは三日月型の飛び道具となって放たれた。
これに対し、狂人は振り返って防御しようとしたが、その行動は何もかも遅すぎた。
三日月が狂人の体に食い込み、銀色の魔力が炸裂。
光の魔力が皮膚を破壊しながら体内に侵入し、暴れ回って内部から引き裂いていく。
その炸裂音と共に狂人は赤く取り乱しながら、地面に転げ落ちた。
直後にフレディはその狂人から意識を外した。
あれはまだ生きているが、トドメは味方に任せる、そんな声を響かせながら、フレディは次の動作に移った。
己の感を信じ、振り返ると同時に斜め上に向かって刃を横に一閃。
直後、放たれた三日月は飛び出してきたばかりの新たな狂人に直撃した。
即座に刃を切り返し、次の三日月を放つ。
そのまま腕を止めずに連続発射。
まるでみだれ撃ちのように、いくつもの三日月が中空を駆ける。
その全てが直撃。
次々と飛び込んでくる狂人達を全て撃墜する。
(すごいぞ、フレディ!)
その仕事ぶりに、ナンティの賞賛の声が響く。
が、
(油断するな! 左右に気をつけろ!)
フレディは警戒の言葉を返した。
言う通り、左右は油断ならない状況であった。
フレディは誰も通していないが、他は違った。
既に乱戦になっている。前列を突破し、後退する銃兵隊に襲い掛かっている狂人達がいる。
これが狂人達の目的。対空射撃を止めるための突撃。
そして直後、乱戦になっている銃兵隊の一つから声が響いた。
「上がおろそかになっているぞ! 撃ち落とせ!」
隊長と思わしき者の声。
その声の通り、対空射撃はまばらになってしまっていた。
が、それは無理な指示であった。
だから兵士の一人が声を上げた。
「数が多すぎる!」
その声には、「前と上の両方を同時に対処できるわけないだろ!」と言い思いが含まれていた。
さらに、状況は改善していないことを告げる声が別部隊から上がった。
「空から来るやつの数が減ってる気配が無い!」
「むしろ増えてないか?!」
それは正解であった。
港町の中で、新たな小さなドラゴンが次々と再生産されていた。
そして狂人達が乱戦にもちこんだため、対空射撃を突破する割合は大きく増加していた。
「二号機、砲撃不能!」
「三号機、再び被弾! ……大丈夫です! まだ撃てます!」
大型大砲の被害報告が次々と上がる。
その声に、ルイスは表情を歪めていた。
歪めながらも、ルイスは必死に自分の心を隠していた。作戦を読まれないように。
心を暗号化し、誰にも理解できないようにしていた。
その孤独な戦いの中で、ルイスは焦りの声を響かせていた。
(くそ、まだなのか? さすがにこれ以上は……)
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