234 / 545
第三章 荒れる聖域。しかしその聖なるは誰がためのものか
第十八話 凶獣協奏曲(6)
しおりを挟む
女を守るように集まっていた銃兵達が、彼女のそばを離れてこちらに近づき始めたのだ。
それだけでは無かった。
フレディ達を攻撃している銃兵の一部もこちらに狙いを定めたようであった。
だからベアトリスは叫んだ。
「アルフレッド!」
情報の思念を含んだその叫びに、アルフレッドは心の中で「わかった」と返した。
二人は直後に、同じように動いた。
地を蹴り、同じ遮蔽物に身を隠す。
商店街のある屋台の裏の家屋。
屋台の持ち主がそのまま住んでいたと思われるその家屋のドアを開け、二人は中に忍んだ。
だが、敵も感知能力者。二人の位置は正確にバレている。
屋根の上から狙いを定められている、アルフレッドとベアトリスはそれを感じ取った。
さらに、照準を二人に合わせているのは銃兵だけでは無かった。
ベアトリスの写し人形達も同様に攻撃意識を向けていた。
何をするつもりなのか、それも二人は感じ取れていた。
だから二人は直後に再び同じように動いた。
裏口から脱出するように同時に床を蹴る。
瞬間、上にいる人形達は二人が感じ取った通りに動いた。
一斉に槍を突き出し、防御魔法を貫いて嵐を放つ。
家屋という遮蔽物そのものを破壊する一斉攻撃。
五方向から同時に放たれた光の濁流が屋根を食い破り、柱を削り砕き、家屋をなぎ倒す。
その崩壊の音を真後ろに聞きながら、二人は裏口から飛び出した。
ベアトリスは防御魔法を後方では無く前に構えながら飛び出してきた。
銃兵達が出待ちしているからだ。
だからベアトリスは飛び出した直後に槍を突き出し、斜め上に向かって嵐を放った。
同時にアルフレッドも十字を描く。
直後に二人の耳に銃声が響く。
その銃声から数瞬の後、新たな音が耳を打った。
電気の放電炸裂と酷似した音。光魔法の炸裂音。
銃弾が白い濁流とぶつかり合う音。
しかし止めてはいない。弾き返してはいない。軌道を変えているだけだ。音だけでそれがわかる。
その変化も大きくは無い。その証拠に二人の足元に着弾している。
まるで爆竹のように炸裂音が連なる。
その音を絶やさぬようにしているかのように、アルフレッドが走りながら十字を描き続ける。
間も無く、別の家屋の裏口が二人の近くに迫ってきた。
どうする? 入る? 入ったほうがいいのでは? ベアトリスはそう提案しようとしたが、
(やるわよ! ベアトリス!)
直後、アルフレッドの中にいるアリスの声が響いた。
何を、その内容までその声の中には含まれていた。
一瞬、ベアトリスは迷った。
安全では無いからだ。
だが、成功すれば敵の手数を減らせる。
そしてどうやら、アルフレッドは既にやる気のようだ。
ならばベアトリスも乗るしかなかった。
(わかった! やろう!)
それだけでは無かった。
フレディ達を攻撃している銃兵の一部もこちらに狙いを定めたようであった。
だからベアトリスは叫んだ。
「アルフレッド!」
情報の思念を含んだその叫びに、アルフレッドは心の中で「わかった」と返した。
二人は直後に、同じように動いた。
地を蹴り、同じ遮蔽物に身を隠す。
商店街のある屋台の裏の家屋。
屋台の持ち主がそのまま住んでいたと思われるその家屋のドアを開け、二人は中に忍んだ。
だが、敵も感知能力者。二人の位置は正確にバレている。
屋根の上から狙いを定められている、アルフレッドとベアトリスはそれを感じ取った。
さらに、照準を二人に合わせているのは銃兵だけでは無かった。
ベアトリスの写し人形達も同様に攻撃意識を向けていた。
何をするつもりなのか、それも二人は感じ取れていた。
だから二人は直後に再び同じように動いた。
裏口から脱出するように同時に床を蹴る。
瞬間、上にいる人形達は二人が感じ取った通りに動いた。
一斉に槍を突き出し、防御魔法を貫いて嵐を放つ。
家屋という遮蔽物そのものを破壊する一斉攻撃。
五方向から同時に放たれた光の濁流が屋根を食い破り、柱を削り砕き、家屋をなぎ倒す。
その崩壊の音を真後ろに聞きながら、二人は裏口から飛び出した。
ベアトリスは防御魔法を後方では無く前に構えながら飛び出してきた。
銃兵達が出待ちしているからだ。
だからベアトリスは飛び出した直後に槍を突き出し、斜め上に向かって嵐を放った。
同時にアルフレッドも十字を描く。
直後に二人の耳に銃声が響く。
その銃声から数瞬の後、新たな音が耳を打った。
電気の放電炸裂と酷似した音。光魔法の炸裂音。
銃弾が白い濁流とぶつかり合う音。
しかし止めてはいない。弾き返してはいない。軌道を変えているだけだ。音だけでそれがわかる。
その変化も大きくは無い。その証拠に二人の足元に着弾している。
まるで爆竹のように炸裂音が連なる。
その音を絶やさぬようにしているかのように、アルフレッドが走りながら十字を描き続ける。
間も無く、別の家屋の裏口が二人の近くに迫ってきた。
どうする? 入る? 入ったほうがいいのでは? ベアトリスはそう提案しようとしたが、
(やるわよ! ベアトリス!)
直後、アルフレッドの中にいるアリスの声が響いた。
何を、その内容までその声の中には含まれていた。
一瞬、ベアトリスは迷った。
安全では無いからだ。
だが、成功すれば敵の手数を減らせる。
そしてどうやら、アルフレッドは既にやる気のようだ。
ならばベアトリスも乗るしかなかった。
(わかった! やろう!)
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

最弱職テイマーに転生したけど、規格外なのはお約束だよね?
ノデミチ
ファンタジー
ゲームをしていたと思われる者達が数十名変死を遂げ、そのゲームは運営諸共消滅する。
彼等は、そのゲーム世界に召喚或いは転生していた。
ゲームの中でもトップ級の実力を持つ騎団『地上の星』。
勇者マーズ。
盾騎士プルート。
魔法戦士ジュピター。
義賊マーキュリー。
大賢者サターン。
精霊使いガイア。
聖女ビーナス。
何者かに勇者召喚の形で、パーティ毎ベルン王国に転送される筈だった。
だが、何か違和感を感じたジュピターは召喚を拒み転生を選択する。
ゲーム内で最弱となっていたテイマー。
魔物が戦う事もあって自身のステータスは転職後軒並みダウンする不遇の存在。
ジュピターはロディと名乗り敢えてテイマーに転職して転生する。最弱職となったロディが連れていたのは、愛玩用と言っても良い魔物=ピクシー。
冒険者ギルドでも嘲笑され、パーティも組めないロディ。その彼がクエストをこなしていく事をギルドは訝しむ。
ロディには秘密がある。
転生者というだけでは無く…。
テイマー物第2弾。
ファンタジーカップ参加の為の新作。
応募に間に合いませんでしたが…。
今迄の作品と似た様な名前や同じ名前がありますが、根本的に違う世界の物語です。
カクヨムでも公開しました。

ブラック・スワン ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~
碧
ファンタジー
「詰んだ…」遠い眼をして呟いた4歳の夏、カイザーはここが乙女ゲーム『亡国のレガリアと王国の秘宝』の世界だと思い出す。ゲームの俺様攻略対象者と我儘悪役令嬢の兄として転生した『無能』なモブが、ブラコン&シスコンへと華麗なるジョブチェンジを遂げモブの壁を愛と努力でぶち破る!これは優雅な白鳥ならぬ黒鳥の皮を被った彼が、無自覚に周りを誑しこんだりしながら奮闘しつつ総愛され(慕われ)する物語。生まれ持った美貌と頭脳・身体能力に努力を重ね、財力・身分と全てを活かし悪役令嬢ルート阻止に励むカイザーだがある日謎の能力が覚醒して…?!更にはそのミステリアス超絶美形っぷりから隠しキャラ扱いされたり、様々な勘違いにも拍車がかかり…。鉄壁の微笑みの裏で心の中の独り言と突っ込みが炸裂する彼の日常。(一話は短め設定です)

転生幼女は幸せを得る。
泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

Boy meets girl
ひろせこ
恋愛
誰もが持っている色を、その少年も当然ながら持っていた。
にも拘らず持っていないと馬鹿にされる少年。
金と青。
この世界で崇められている光の女神の貴色。
金髪に青い瞳。
綺麗な色ほど尊ばれる世界の片隅で、
こげ茶の髪に限りなく黒に近い濃い青の瞳のその少年は、
黒にしか見えない瞳が見えないよう、
俯きひっそりと暮らしていた。
そんな少年が、ある日、1人の異質な少女と出会った。
「常世の彼方」の外伝です。
本編はこちら(完結済み)⇒https://www.alphapolis.co.jp/novel/584038573/446511345
本編未読でも…いける…はず。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
妻と愛人と家族
春秋花壇
現代文学
4 愛は辛抱強く,親切です。愛は嫉妬しません。愛は自慢せず,思い上がらず, 5 下品な振る舞いをせず,自分のことばかり考えず,いら立ちません。愛は傷つけられても根に持ちません。 6 愛は不正を喜ばないで,真実を喜びます。 7 愛は全てのことに耐え,全てのことを信じ,全てのことを希望し,全てのことを忍耐します。
8 愛は決して絶えません。
コリント第一13章4~8節
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる