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第三章 荒れる聖域。しかしその聖なるは誰がためのものか
第十七話 地獄の最後尾(33)
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閃光と刃がぶつかり合い、火花のかわりに白い粒子が散る。
それは雪原の中に消える雪のように、閃光の中に溶けて消えた。
間も無く、フレディの影も光に包まれる。
全てが白く染まった世界。
であるが、フレディには見えていた。
魔力の渦がどのように広がっているか、その波である白蛇がどのようにうねっているか、全て掴んでいた。
だからフレディには突破口が見えていた。
それは一本の剣さえあれば作れる道。
振り下ろし、即座に切り返して描く二本の直線、それで切り開ける道。
その道を痛みと引き換えに通り抜ける。
フレディは女と同じようにそれをやってのけた。完璧に。
白い世界を抜け、フレディと女の視線が交錯する。
直後に二人は同時に地を蹴った。
「距離を取る」「距離を詰める」真逆の二つの思考が交錯する。
双方の間合いは変わらな――いや、フレディが少し詰めた。
だが、表情の変わらぬ女に対し、フレディの顔には明らかに苦悶の色が滲んでいた。
フレディはその痛みを無視してさらに地を蹴った。そうするしか無かった。
直後、当然のように女は迎撃の槍を突き出した。
それは瞬きも許されぬ閃光のような突きであったが、
(見える!)
フレディは気勢と共に刃から火花を散らしてその一撃を受け流した。
それは虚勢では無かった。
だが、なぜ受け流せたのか、フレディ自身驚いていた。
直後にフレディは気付いた。
「見える」という表現が正しくないことに。
「見えた」のでは無い。「予測できた」のだ。
来るタイミング、軌道、全部読めた。
そしてさらに気付いた。
それが出来て当たり前だということを。
これまでに何度もやってきたことだからだ。
相手の思考や筋肉の動き、些細な情報まで利用して敵の射線を読み、自身の射撃にも利用してきたのだから。
型は違うがこれも軌道計算には変わりない。
事実、気付いている間にフレディはさらに三発の突きを受け流した。
その事実は力となり、フレディを叫ばせた。
「やれる! やってやる!」
それは雪原の中に消える雪のように、閃光の中に溶けて消えた。
間も無く、フレディの影も光に包まれる。
全てが白く染まった世界。
であるが、フレディには見えていた。
魔力の渦がどのように広がっているか、その波である白蛇がどのようにうねっているか、全て掴んでいた。
だからフレディには突破口が見えていた。
それは一本の剣さえあれば作れる道。
振り下ろし、即座に切り返して描く二本の直線、それで切り開ける道。
その道を痛みと引き換えに通り抜ける。
フレディは女と同じようにそれをやってのけた。完璧に。
白い世界を抜け、フレディと女の視線が交錯する。
直後に二人は同時に地を蹴った。
「距離を取る」「距離を詰める」真逆の二つの思考が交錯する。
双方の間合いは変わらな――いや、フレディが少し詰めた。
だが、表情の変わらぬ女に対し、フレディの顔には明らかに苦悶の色が滲んでいた。
フレディはその痛みを無視してさらに地を蹴った。そうするしか無かった。
直後、当然のように女は迎撃の槍を突き出した。
それは瞬きも許されぬ閃光のような突きであったが、
(見える!)
フレディは気勢と共に刃から火花を散らしてその一撃を受け流した。
それは虚勢では無かった。
だが、なぜ受け流せたのか、フレディ自身驚いていた。
直後にフレディは気付いた。
「見える」という表現が正しくないことに。
「見えた」のでは無い。「予測できた」のだ。
来るタイミング、軌道、全部読めた。
そしてさらに気付いた。
それが出来て当たり前だということを。
これまでに何度もやってきたことだからだ。
相手の思考や筋肉の動き、些細な情報まで利用して敵の射線を読み、自身の射撃にも利用してきたのだから。
型は違うがこれも軌道計算には変わりない。
事実、気付いている間にフレディはさらに三発の突きを受け流した。
その事実は力となり、フレディを叫ばせた。
「やれる! やってやる!」
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