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第三章 荒れる聖域。しかしその聖なるは誰がためのものか
第十七話 地獄の最後尾(19)
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我々はどのように地上に進出すればいいか、それについては何度も議論され、様々な手段で何度も実行された。
しかしそれよりも成功したあとについてのほうが議論は盛り上がった。
要は、パイの切り分け方についてだ。
誰がどこをどのように統治するかという話だ。
土地にいる人間達は管理者の所有物という扱いになる。ゆえに大都市は権力者が統治する予定となった。
だから気に食わない。
最初に知識をばらまいたという実績が偉大であることはよくわかってる。
だが、そのあとはひどいものだ。
何もせずに、命令するだけ。
無茶な命令も平然と飛ばしてくる。
そして厄介なことに、こいつらの存在は倒さぬ限り永遠だ。あのルイスやシャロンと同じように肉体のほうも引継ぎ続けるだろう。
だから私は未来に期待はしていない。
でもだからといって何もしないわけではない。
私は当然のように自分の未来が有利になるように工作をしかけた。
狙いは単純だった。
自分の土地に良い人間がいないのであれば引越しさせればいい、ということだ。
この提案に上司は乗ってくれた。
気に食わないが上司の力は必要だった。事を起こすために必要な魂の手持ちが私には無かったからだ。
だからこんな苦労をしている。
だから本当に気に食わない。
私の上司があんな性格で無ければこんな苦労は無かったはずだからだ。
あんな性格だからこそ私の提案に乗ってくれたとも考えられるが、残念ながら私はそこまで肯定的にとらえることは出来ない。
出来るわけが無い。この命令は本当に無茶だった。このせいで少しおかしなことになりかけた。
ああ、すまないな。『君』に愚痴ってもしょうがないことなのに。でもこんな話を黙って聞いてくれるのは『君』ぐらいしかいないんだ。だからいいだろう?
まったく、かつての大神官との契約を守るだけでも面倒なのに、『君』を連れて来いだなんて、本当に無茶苦茶だ。
私にとってはその約束自体どうでもいいこと。だが、私の上司は約束を守りたがるものでね。人間の言葉で言えば義理堅いというやつかな? それとも良い支配者を演じたいだけなのだろうか。
どちらでもどうでもいいことだ。私にとっては人間などすべてくだらない。それに目をかける上司も、上でふんぞりかえっているあいつらもだ。
おっとすまない。『まだ人間である君』の前でこんなことを言うべきでは無かったか。だが気にしないでくれ。君はくだらなくない。
なんでかって? 言わなくてもわかるだろう?
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