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第三章 荒れる聖域。しかしその聖なるは誰がためのものか
第十七話 地獄の最後尾(16)
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戦う覚悟を示したのと同時に感じ取ったナンティは上を見上げながら続けて叫んだ。
「また屋根上だ! 飛び降りてくるぞ!」
その声に全員が上を向いた直後にそれは現れた。
狂気の影達が次々と飛び出してくる。
ナンティは既に迎撃のために動いていた。
真上に地を蹴り、家屋の壁を蹴ってさらに高く上へ。
飛び降りてくる影を空中で迎え討つ。
炎を帯びたナンティの剣と影の刃が交錯し、火花を散らす。
その火花をかき消すように、ナンティは空中で回し蹴りを一閃。
すれ違いざまに影の身体に足裏を叩き込み、突き飛ばして別の影にぶつける。
もつれて落下する場所には既に仲間が剣を構えて待機している。
そしてナンティは蹴った反動を利用して跳躍。
デュランを運ぶ兵士達を狙う影に向かって飛び込み、
「でぇぇやぁっ!」
炎の太刀を縦に一閃。
影はその燃える刃を剣で受けたが、
「っ!」
落下の勢いは殺せず、そのまま押し倒された。
影の背中が地面に叩きつけられ、勢いのまま地面の上を滑り始める。
ナンティは地面の上を滑る影に馬乗りになっていた。
ナンティの刃は振り下ろされたまま。影の剣は受け止めたまま。
その硬直状態は直後に崩れた。
ナンティは片手を剣から放し、その燃える手のひらを影の顔面に押し当てた。
「――っ!」
焼かれる痛みと窒息の苦しみに影がもがき苦しむ。
ナンティはそのもがく顔面を鷲づかみにして拘束し、持ち上げ、
「こ……のぉ!」
地面に勢いよく叩き付けた。
影の後頭部から鈍い音が響く。
その一発だけで影はおとなしくなったが、念のためにナンティは再び持ち上げた。
が、
「!」
背後からの殺意を感じ取ったナンティは即座に手を離して飛びのいた。
直後、直前までナンティがいた場所に影の刃が空を切る。
その空振りの隙にナンティが炎魔法で反撃。
至近距離からの照射。瞬く間に影の上半身が火達磨になる。
だから影は戦い方を切り替えた。
自分の体を焦がす炎をナンティになすりつけようと、抱きつこうとするように飛び掛る。
だが、ナンティはこれを読んでいた。
だからナンティは心の声を響かせた。
お前達が捨て身の戦法を躊躇無くやってくることはよく知ってる、と。
高速演算の中での声であるがゆえに、同じ能力者で無ければ聞き取れないほどの早口。
その早口の中で、それ以上の速度でナンティは炎の刃を振り抜いた。
飛び掛ってきた影の脇の下をもぐりぬけながら胴を一閃。
炎の刃が描いた赤い軌跡が火の粉に変わって散る。
数瞬遅れてその火の粉よりも鮮やかで生々しい赤色が影のわき腹から飛び散る。
ナンティはその新たな赤色を自ら浴びようとするかのように足を止めた。
そして鮮血のほうに振り返りながらナンティは再び心の声を響かせた。
お前達がしぶといこともよく知ってる、と。
そこには、血のカーテンの向こうには顔を焼かれた先の影がいた。
お前の頭を逆にたたきつけてやる、そんな勢いでそれは飛び掛ってきていた。
これをナンティは振り返りの勢いを利用した回転斬りで迎え討った。
水平に放たれた赤い刃が炎の三日月を描きながら影の首を焼き切る。
頭が離れ、大きな蛇口となった影の首から噴水のように赤色が噴出す。
そして生じた赤い小雨を浴びながらナンティは周囲を見回した。
襲い掛かってきた影は全滅していた。
しかしこっちも三人やられている。
悪い情報はそれだけでは無かった。
ナンティはそれを感じ取った。
そしてナンティが再び屋根上を見上げたと同時に、仲間の一人がそれを叫んだ。
「また銃持ちが来たぞ!」
見ると、屋根上から上半身だけを出しながら銃を構えている影達の姿があった。
その銃口は直後に火を吹いた。
一斉発射の銃声と共に仲間の命がさらに三つ削られる。
その銃声の直後に仲間は叫んだ。
「あの細い路地に向かって走れ!」
その路地はデュラン達を護送している仲間達が入った通路であった。
だからナンティは即座に従い、地を蹴った。
「また屋根上だ! 飛び降りてくるぞ!」
その声に全員が上を向いた直後にそれは現れた。
狂気の影達が次々と飛び出してくる。
ナンティは既に迎撃のために動いていた。
真上に地を蹴り、家屋の壁を蹴ってさらに高く上へ。
飛び降りてくる影を空中で迎え討つ。
炎を帯びたナンティの剣と影の刃が交錯し、火花を散らす。
その火花をかき消すように、ナンティは空中で回し蹴りを一閃。
すれ違いざまに影の身体に足裏を叩き込み、突き飛ばして別の影にぶつける。
もつれて落下する場所には既に仲間が剣を構えて待機している。
そしてナンティは蹴った反動を利用して跳躍。
デュランを運ぶ兵士達を狙う影に向かって飛び込み、
「でぇぇやぁっ!」
炎の太刀を縦に一閃。
影はその燃える刃を剣で受けたが、
「っ!」
落下の勢いは殺せず、そのまま押し倒された。
影の背中が地面に叩きつけられ、勢いのまま地面の上を滑り始める。
ナンティは地面の上を滑る影に馬乗りになっていた。
ナンティの刃は振り下ろされたまま。影の剣は受け止めたまま。
その硬直状態は直後に崩れた。
ナンティは片手を剣から放し、その燃える手のひらを影の顔面に押し当てた。
「――っ!」
焼かれる痛みと窒息の苦しみに影がもがき苦しむ。
ナンティはそのもがく顔面を鷲づかみにして拘束し、持ち上げ、
「こ……のぉ!」
地面に勢いよく叩き付けた。
影の後頭部から鈍い音が響く。
その一発だけで影はおとなしくなったが、念のためにナンティは再び持ち上げた。
が、
「!」
背後からの殺意を感じ取ったナンティは即座に手を離して飛びのいた。
直後、直前までナンティがいた場所に影の刃が空を切る。
その空振りの隙にナンティが炎魔法で反撃。
至近距離からの照射。瞬く間に影の上半身が火達磨になる。
だから影は戦い方を切り替えた。
自分の体を焦がす炎をナンティになすりつけようと、抱きつこうとするように飛び掛る。
だが、ナンティはこれを読んでいた。
だからナンティは心の声を響かせた。
お前達が捨て身の戦法を躊躇無くやってくることはよく知ってる、と。
高速演算の中での声であるがゆえに、同じ能力者で無ければ聞き取れないほどの早口。
その早口の中で、それ以上の速度でナンティは炎の刃を振り抜いた。
飛び掛ってきた影の脇の下をもぐりぬけながら胴を一閃。
炎の刃が描いた赤い軌跡が火の粉に変わって散る。
数瞬遅れてその火の粉よりも鮮やかで生々しい赤色が影のわき腹から飛び散る。
ナンティはその新たな赤色を自ら浴びようとするかのように足を止めた。
そして鮮血のほうに振り返りながらナンティは再び心の声を響かせた。
お前達がしぶといこともよく知ってる、と。
そこには、血のカーテンの向こうには顔を焼かれた先の影がいた。
お前の頭を逆にたたきつけてやる、そんな勢いでそれは飛び掛ってきていた。
これをナンティは振り返りの勢いを利用した回転斬りで迎え討った。
水平に放たれた赤い刃が炎の三日月を描きながら影の首を焼き切る。
頭が離れ、大きな蛇口となった影の首から噴水のように赤色が噴出す。
そして生じた赤い小雨を浴びながらナンティは周囲を見回した。
襲い掛かってきた影は全滅していた。
しかしこっちも三人やられている。
悪い情報はそれだけでは無かった。
ナンティはそれを感じ取った。
そしてナンティが再び屋根上を見上げたと同時に、仲間の一人がそれを叫んだ。
「また銃持ちが来たぞ!」
見ると、屋根上から上半身だけを出しながら銃を構えている影達の姿があった。
その銃口は直後に火を吹いた。
一斉発射の銃声と共に仲間の命がさらに三つ削られる。
その銃声の直後に仲間は叫んだ。
「あの細い路地に向かって走れ!」
その路地はデュラン達を護送している仲間達が入った通路であった。
だからナンティは即座に従い、地を蹴った。
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