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第三章 荒れる聖域。しかしその聖なるは誰がためのものか
第十七話 地獄の最後尾(8)
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◆◆◆
「おい、こっちを手伝ってくれ!」
作戦を開始したデュラン達は無事に橋に辿り着いていた。
「こっちもだ! こいつを運ぶのを手伝ってくれ!」
建設作業員達の互いを呼び合う声が響く中に、
「破ァァっ!」「疾ッ!」
デュランとナンティの気勢が混じる。
デュランとナンティ達は壁を背にしながら守っていた。
銃持ちが現れたらすぐに身を隠すためだ。
魔法が使える者達はその未完成の壁の後ろから光弾を撃って援護していた。
デュラン達にも遮蔽物がいる、それをみな理解しているゆえに、作業員達は橋の上も駆け回り始めた。
間も無く、デュランの目の前にクローゼットが横倒しで置かれる。
それを起点に橋の上の陣は組まれ始めた。
敵をジグザグに走らせるようにするために、簡単な迷路を作るように樽や家具が配置されていく。
その作業の中に、橋を渡る避難民の姿が混じり始めた。
それを追ってきた狂人をデュランが斬り伏せる。
そして橋の上の作業が完成と呼べるものになった直後、デュランは振り向いた。
見ると、壁の同じく出来上がっていた。
常人の跳躍では越えられない高さ。厚さも十分。
そして中央に避難民を逃がすための細道がちゃんとある。
それをデュランが確認した直後、壁の後ろから声が響いた。
「よし、作業は完了だ!」
そして次にやることはもう決まっていた。
住民にこのことを知らせるのだ。
そのために出来ることは一つだった。
完了を告げた作業は直後にそれを声に出した。
「できるだけ大きな声と音を立てろ! 避難民にこの場所のことを気付かせるんだ!」
それには一つ問題があり、隣にいた兵士はそれを尋ねた。
「でもそれだと、反対方向からも来てしまうんじゃないか?!」
それはその通りであり、そのことに対して自分達は大したことは出来ない。
だから頼るものは決まっており、作業員はそれを答えた。
「それは隊長達に任せよう!」
事実、隊長達は既に精力的に動いているようであった。
誘導する声と、戦闘音がずっと続いている。
後ろは彼らに任せよう、その意識はすぐに共有され、納得した兵士達は直後に先の言葉を実行に移し始めた。
「よーし! かかってこい! クソ野郎ども!」
「挑発はしなくていいだろ! 敵は呼ばなくていい!」
「目立つんだからどっちでも同じだろ! 敵も避難民も両方くるさ!」
その言葉を合図に、兵士達はお祭り騒ぎのように音を鳴らし始めた。
壁を太鼓のように叩きまくる。
中には、どこかの家からか拝借してきたフライパンなどを鳴らしている者達もいた。
その成果はすぐに現れた。
波のように駆けてくる避難民達と狂人達が視界に入った。
それに向かって兵士の一人は銃口を突きつけ、
「きやがれ! 敵も避難民も全員歓迎してやるぜ!」
発砲し、開戦の狼煙を上げた。
「おい、こっちを手伝ってくれ!」
作戦を開始したデュラン達は無事に橋に辿り着いていた。
「こっちもだ! こいつを運ぶのを手伝ってくれ!」
建設作業員達の互いを呼び合う声が響く中に、
「破ァァっ!」「疾ッ!」
デュランとナンティの気勢が混じる。
デュランとナンティ達は壁を背にしながら守っていた。
銃持ちが現れたらすぐに身を隠すためだ。
魔法が使える者達はその未完成の壁の後ろから光弾を撃って援護していた。
デュラン達にも遮蔽物がいる、それをみな理解しているゆえに、作業員達は橋の上も駆け回り始めた。
間も無く、デュランの目の前にクローゼットが横倒しで置かれる。
それを起点に橋の上の陣は組まれ始めた。
敵をジグザグに走らせるようにするために、簡単な迷路を作るように樽や家具が配置されていく。
その作業の中に、橋を渡る避難民の姿が混じり始めた。
それを追ってきた狂人をデュランが斬り伏せる。
そして橋の上の作業が完成と呼べるものになった直後、デュランは振り向いた。
見ると、壁の同じく出来上がっていた。
常人の跳躍では越えられない高さ。厚さも十分。
そして中央に避難民を逃がすための細道がちゃんとある。
それをデュランが確認した直後、壁の後ろから声が響いた。
「よし、作業は完了だ!」
そして次にやることはもう決まっていた。
住民にこのことを知らせるのだ。
そのために出来ることは一つだった。
完了を告げた作業は直後にそれを声に出した。
「できるだけ大きな声と音を立てろ! 避難民にこの場所のことを気付かせるんだ!」
それには一つ問題があり、隣にいた兵士はそれを尋ねた。
「でもそれだと、反対方向からも来てしまうんじゃないか?!」
それはその通りであり、そのことに対して自分達は大したことは出来ない。
だから頼るものは決まっており、作業員はそれを答えた。
「それは隊長達に任せよう!」
事実、隊長達は既に精力的に動いているようであった。
誘導する声と、戦闘音がずっと続いている。
後ろは彼らに任せよう、その意識はすぐに共有され、納得した兵士達は直後に先の言葉を実行に移し始めた。
「よーし! かかってこい! クソ野郎ども!」
「挑発はしなくていいだろ! 敵は呼ばなくていい!」
「目立つんだからどっちでも同じだろ! 敵も避難民も両方くるさ!」
その言葉を合図に、兵士達はお祭り騒ぎのように音を鳴らし始めた。
壁を太鼓のように叩きまくる。
中には、どこかの家からか拝借してきたフライパンなどを鳴らしている者達もいた。
その成果はすぐに現れた。
波のように駆けてくる避難民達と狂人達が視界に入った。
それに向かって兵士の一人は銃口を突きつけ、
「きやがれ! 敵も避難民も全員歓迎してやるぜ!」
発砲し、開戦の狼煙を上げた。
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