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第三章 荒れる聖域。しかしその聖なるは誰がためのものか
第十七話 地獄の最後尾(1)
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◆◆◆
地獄の最後尾
◆◆◆
必要なのは愚か者だった。
自分では何もしないが、欲することだけは人一倍の愚か者。
いつか偉大な者が自分のことを認めて迎えにきてくれる、そして自分の望みをかなえてくれる、そんな自尊心だけが膨らんだ夢を抱いている愚か者。
大神官の祖先はその点で完璧だった。
だから出会いの演出には力を入れた。
計算された偶然を重ね、神秘性を演出した。
騙すための材料は十分すぎるほどにあった。
神は敗れたが、神への信仰と依存心が消えたわけでは無かった。
かつて神のもとで甘い汁を吸っていた一部の幸運な者は、その失われた蜜月を振り返りながら嘆いていた。
ゆえに再会を願う者がいた。
いつか神が再び姿を現し、天恵をくださると期待する愚か者がいた。
だから連れてきてやった。かつての神の残骸を。
神の残骸を使った人形劇は大盛況で幕を閉じた。
そこから全てが始まった。
大神官の祖先達の肉体を使い、準備を重ねた。
他者を誘拐し、乗っ取らせ、伝染させた。
ちゃんと人間らしく作れば特に問題は無かった。普通に紛れ込むことが出来た。
そうしてこの愚かな一族は、『我々』は力を得た。
地獄の最後尾
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必要なのは愚か者だった。
自分では何もしないが、欲することだけは人一倍の愚か者。
いつか偉大な者が自分のことを認めて迎えにきてくれる、そして自分の望みをかなえてくれる、そんな自尊心だけが膨らんだ夢を抱いている愚か者。
大神官の祖先はその点で完璧だった。
だから出会いの演出には力を入れた。
計算された偶然を重ね、神秘性を演出した。
騙すための材料は十分すぎるほどにあった。
神は敗れたが、神への信仰と依存心が消えたわけでは無かった。
かつて神のもとで甘い汁を吸っていた一部の幸運な者は、その失われた蜜月を振り返りながら嘆いていた。
ゆえに再会を願う者がいた。
いつか神が再び姿を現し、天恵をくださると期待する愚か者がいた。
だから連れてきてやった。かつての神の残骸を。
神の残骸を使った人形劇は大盛況で幕を閉じた。
そこから全てが始まった。
大神官の祖先達の肉体を使い、準備を重ねた。
他者を誘拐し、乗っ取らせ、伝染させた。
ちゃんと人間らしく作れば特に問題は無かった。普通に紛れ込むことが出来た。
そうしてこの愚かな一族は、『我々』は力を得た。
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