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第二章 アリスは不思議の国にて待つ
第十五話 一つの象徴の終わり(11)
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その悲鳴の中でシャロンは飛び出すように動いた。
刺突剣で網を切り裂き、反撃の赤い槍を放つ。
しかしこの反撃も読まれていた。
キーラによる迎撃の赤い槍とぶつかり合う。
そしてドラゴンはすぐに次の攻撃動作に移行。
その腹に蓄えられているものは、
(毒霧!)
であったが、その体の色は一色ではなかった。
混ざっていた。毒の霧の色が濃かったが、赤みも帯びていた。
だからシャロンの脳裏に一つの推察が浮かんだ。
こいつは体に三つの肺があるのだと。
それぞれが毒と炎、そして雷の魔力をためこむのだと。
つまり、毒、炎、雷と、間隔無く連続で順番に攻撃が来るのだと。
その証拠に、伸びたままの羽は紫電を帯び始めている。
しかもキーラも赤い槍を投げ続けてくる。
これはマズい、シャロンはそう思った。
自分の赤い槍だけでは手数がまったく足りない。左手を攻撃のみに使っても怪しい。
どうする? 『アレ』を試してみる?
そんな迷いを抱いているうちに、ドラゴンは毒霧を吐く動作に入った。
シャロンはその迷いをひとまず棚上げにした。
なぜなら、ある者達の接近を感じ取れていたからだ。
相殺狙いの爆発魔法を準備する。
直後、
「重ね大十文字十三連!」
予想通り男の声が響き、シャロンの眼前は横から割り込んできた光に包まれた。
波打つ光の濁流が大地を削りながら吐き出された霧を吹き飛ばす。
直後にシャロンの爆発魔法が炸裂。
だがまだ霧は晴れない。迫るように押し広がってくる。
しかし光の濁流のおかげで時間が稼げた。
その間に次の爆発魔法を準備。
そしてシャロンの右手に赤い球が生まれた瞬間、
「破ッ!」
感じ取った通り、前方に割り込んできた女が気勢と共に右手の槍を突き出した。
左手から生み出していた防御魔法を串刺し、光の濁流に変える。
しかしこれでもまだ足りない。
だが心配はしていなかった。
なぜなら、
「シャロン!」
サイラスが間に合うことも感じ取れていたからだ。
呼び声と共にシャロンをかばうように前に立ち、歪に変形した長剣を一閃。
カマが伸び、枝分かれしながら霧を食らう。
続けてシャロンが次弾を発射。
そして生じた衝撃波によって、霧は完全に晴れた。
ドラゴンのブレスの完全相殺に成功。
しかし直後にドラゴンは次の炎のブレスの動作に入っている。
だからシャロンは前に立っているアルフレッドとベアトリスに「何者だ」などと尋ねることはしなかった。
むしろアルフレッドの言葉を待っていた。
そして感じ取った通り、アルフレッドには策があった。
「そこの男! 頼みがある!」
突然頼まれたサイラスは困惑したが、次の言葉で納得した。
「俺はアレと同じものが作れる! だから手伝ってくれ!」
直後にドラゴンが炎を噴射。
シャロンとベアトリス、そしてアルフレッドが先と同じやり方で相殺。
その激しいぶつかり合いの中でサイラスはアルフレッドの頼みを理解した。
ドラゴンを早急に作るために、魂の扱いに長けている者の手伝いが必要なのだ。
おそらく彼は自分の戦いぶりを遠くから見ていたのだろう。
だからサイラスは熱波がおさまると同時に、
「わかった、任せろ!」
肺が焼けないように注意しながらアルフレッドの頼みに応じた。
その返事を聞いたアルフレッドはシャロンとベアトリスに向かって声を上げた。
「二人共、時間稼ぎを頼む!」
これにシャロンとベアトリスは頷きを返したが、
「よし、やるぞアリス!」
直後のアルフレッドのこの言葉に、シャロンの中にいるアリスは戸惑った。
その戸惑いに対して声が響いた。
“はじめまして、わたし。説明は後でね”
何が何だかわからないが、シャロンもシャロンの中にいるアリスも、この場は従うことにした。
そしてシャロンは敵のほうに向き直り、時間稼ぎの準備に入った。
覚悟はもう決まっていた。
『アレ』を使う、と。
だからシャロンはその思いを叫んだ。
「この私が時間稼ぎに使われるとはね!」
直後にドラゴンが雷攻撃の動作に入った。
折りたたまれていた羽が大きく開き、紫電が走り始める。
同時にシャロンも変わり始めた。
しかしその変化は内なるものであった。
心臓が恐ろしい速度で脈打ち始める。
魔力を生む器官が活発化し、速くなった血流に乗って全身を駆け巡る。
間も無くその変化の影響は表面に現れた。
炎の魔力の過剰供給により、体が赤みを帯びる。
光の魔力の過剰供給により、毛穴から漏れ始める。
まるで全身から光の粉を噴出しているかのよう。
そしてシャロンはうずくまるように背を丸め、痙攣を始めた。
魔力量があまりにも過剰すぎるのだ。このままではろくに姿勢制御もできない。
だからシャロンはさらなら変化を加えた。
両手から電撃魔法の糸を伸ばし、全身を包む。
体に突き刺し、縫いつける。
まるで体に模様を描くように。
間も無く、シャロンの姿勢はもとに戻り始めた。
電撃魔法で無理矢理筋肉を動かして体を制御する。
しかしその行為は神経に大きな負荷を与えるものであった。
神経が過剰に反応し、自然と背がそらされる。
まるで女性の象徴を見せ付けるように。
その艶かしく痛々しい姿勢のあと、シャロンの制御は安定した。
そしてシャロンは姿勢を戻し、構えを整えた。
その立ち姿も異様であった。
その身は薄赤く、紫電を帯び、光の粉を纏っている。
魔力漏れが激しい頭部は、髪の毛が銀色に光っているように見える。
だからみな同じ言葉が脳裏に浮かんだ。
まさしく「超人」だと。
直後にドラゴンは両腕を振るい、雷の網を放った。
これに対し、シャロンは踏み込んだ。
自ら網に飛び込むように。
その両手には赤い球が握られていた。
そして視界が迫る網で埋まった直後、シャロンは右手を突き出した。
赤い球が放たれる。
しかしそれはシャロンの目の前で爆発した。
赤い槍となって網に穴を開ける。
されど至近距離。衝撃波がシャロンも襲う。
だからシャロンは投げると同時にその手から光の壁を展開していた。
衝撃波で盾が破れる。
しかしこれは計算通り。ちょうど破れるように強度を調整している。
赤い槍も同様。これまでのものと比べて小規模の細い槍。
間髪入れずに右手を脇の下に戻しながら左手を繰り出す。
生じた赤い槍が穴を広げる。
この時すでに右手には次の赤い弾が。
再び右、そして左、交互に連射。
高速で左右の腕を突き出すその姿は武道の型のようであった。
まるで掌底打ちの連打。
しかし普通の掌底打ちでは無い。赤い槍が伸びる。
まるで突きの衝撃が赤い線となって伸びているかのよう。
反動に押されるため、踏み込んでいるのに同じ位置から動いていない。
まさしく赤い槍の乱れ突き。
雷の網がズタズタに千切れとび、霧散する。
直後に敵の火縄が火を吹く。
しかしその射線は見切っていた。
弾丸が来る方向に向かって掌底打ちを繰り出す。
赤い槍による衝撃波が弾丸の軌道を捻じ曲げる。
その銃声から数瞬遅れてベアトリスが光る濁流の発射体勢に。
狙いはキーラ。
キーラも既に赤い槍の発射体勢に入っていた。
その狙いはシャロン。
だが、シャロンの両腕は迎撃の準備が出来ていない。連打の反動のせいで間に合わない。
だからシャロンは足を使うことにした。
魔力を込めた右足をなぎ払うように一閃。
そのまま体を回転させて輝く左足で回し蹴り。
瞬きも許されない速度の二連蹴りが中空に三日月を描く。
光の魔力という絵の具で描かれた銀色の三日月。
その二つの三日月は足の勢いのまま放たれ、地の上を疾走した。
ベアトリスが放った光る濁流と混ざり、光の津波となってキーラの槍とぶつかり合う。
「っ!」
そして生じた轟音と余波に、ベアトリスは思わず目を細めた。
そして目を奪われた。
戦いの最中ゆえにそれは間違っていることは分かっていたが、ベアトリスはウソはつけなかった。思わず心の声を響かせてしまった。
しょうがない。赤い銀色の花火なんて、滅多に見られるものでは無いのだから。
銀色の火の粉が派手に飛び散るその様に、ベアトリスは「綺麗だ」と思った。
刺突剣で網を切り裂き、反撃の赤い槍を放つ。
しかしこの反撃も読まれていた。
キーラによる迎撃の赤い槍とぶつかり合う。
そしてドラゴンはすぐに次の攻撃動作に移行。
その腹に蓄えられているものは、
(毒霧!)
であったが、その体の色は一色ではなかった。
混ざっていた。毒の霧の色が濃かったが、赤みも帯びていた。
だからシャロンの脳裏に一つの推察が浮かんだ。
こいつは体に三つの肺があるのだと。
それぞれが毒と炎、そして雷の魔力をためこむのだと。
つまり、毒、炎、雷と、間隔無く連続で順番に攻撃が来るのだと。
その証拠に、伸びたままの羽は紫電を帯び始めている。
しかもキーラも赤い槍を投げ続けてくる。
これはマズい、シャロンはそう思った。
自分の赤い槍だけでは手数がまったく足りない。左手を攻撃のみに使っても怪しい。
どうする? 『アレ』を試してみる?
そんな迷いを抱いているうちに、ドラゴンは毒霧を吐く動作に入った。
シャロンはその迷いをひとまず棚上げにした。
なぜなら、ある者達の接近を感じ取れていたからだ。
相殺狙いの爆発魔法を準備する。
直後、
「重ね大十文字十三連!」
予想通り男の声が響き、シャロンの眼前は横から割り込んできた光に包まれた。
波打つ光の濁流が大地を削りながら吐き出された霧を吹き飛ばす。
直後にシャロンの爆発魔法が炸裂。
だがまだ霧は晴れない。迫るように押し広がってくる。
しかし光の濁流のおかげで時間が稼げた。
その間に次の爆発魔法を準備。
そしてシャロンの右手に赤い球が生まれた瞬間、
「破ッ!」
感じ取った通り、前方に割り込んできた女が気勢と共に右手の槍を突き出した。
左手から生み出していた防御魔法を串刺し、光の濁流に変える。
しかしこれでもまだ足りない。
だが心配はしていなかった。
なぜなら、
「シャロン!」
サイラスが間に合うことも感じ取れていたからだ。
呼び声と共にシャロンをかばうように前に立ち、歪に変形した長剣を一閃。
カマが伸び、枝分かれしながら霧を食らう。
続けてシャロンが次弾を発射。
そして生じた衝撃波によって、霧は完全に晴れた。
ドラゴンのブレスの完全相殺に成功。
しかし直後にドラゴンは次の炎のブレスの動作に入っている。
だからシャロンは前に立っているアルフレッドとベアトリスに「何者だ」などと尋ねることはしなかった。
むしろアルフレッドの言葉を待っていた。
そして感じ取った通り、アルフレッドには策があった。
「そこの男! 頼みがある!」
突然頼まれたサイラスは困惑したが、次の言葉で納得した。
「俺はアレと同じものが作れる! だから手伝ってくれ!」
直後にドラゴンが炎を噴射。
シャロンとベアトリス、そしてアルフレッドが先と同じやり方で相殺。
その激しいぶつかり合いの中でサイラスはアルフレッドの頼みを理解した。
ドラゴンを早急に作るために、魂の扱いに長けている者の手伝いが必要なのだ。
おそらく彼は自分の戦いぶりを遠くから見ていたのだろう。
だからサイラスは熱波がおさまると同時に、
「わかった、任せろ!」
肺が焼けないように注意しながらアルフレッドの頼みに応じた。
その返事を聞いたアルフレッドはシャロンとベアトリスに向かって声を上げた。
「二人共、時間稼ぎを頼む!」
これにシャロンとベアトリスは頷きを返したが、
「よし、やるぞアリス!」
直後のアルフレッドのこの言葉に、シャロンの中にいるアリスは戸惑った。
その戸惑いに対して声が響いた。
“はじめまして、わたし。説明は後でね”
何が何だかわからないが、シャロンもシャロンの中にいるアリスも、この場は従うことにした。
そしてシャロンは敵のほうに向き直り、時間稼ぎの準備に入った。
覚悟はもう決まっていた。
『アレ』を使う、と。
だからシャロンはその思いを叫んだ。
「この私が時間稼ぎに使われるとはね!」
直後にドラゴンが雷攻撃の動作に入った。
折りたたまれていた羽が大きく開き、紫電が走り始める。
同時にシャロンも変わり始めた。
しかしその変化は内なるものであった。
心臓が恐ろしい速度で脈打ち始める。
魔力を生む器官が活発化し、速くなった血流に乗って全身を駆け巡る。
間も無くその変化の影響は表面に現れた。
炎の魔力の過剰供給により、体が赤みを帯びる。
光の魔力の過剰供給により、毛穴から漏れ始める。
まるで全身から光の粉を噴出しているかのよう。
そしてシャロンはうずくまるように背を丸め、痙攣を始めた。
魔力量があまりにも過剰すぎるのだ。このままではろくに姿勢制御もできない。
だからシャロンはさらなら変化を加えた。
両手から電撃魔法の糸を伸ばし、全身を包む。
体に突き刺し、縫いつける。
まるで体に模様を描くように。
間も無く、シャロンの姿勢はもとに戻り始めた。
電撃魔法で無理矢理筋肉を動かして体を制御する。
しかしその行為は神経に大きな負荷を与えるものであった。
神経が過剰に反応し、自然と背がそらされる。
まるで女性の象徴を見せ付けるように。
その艶かしく痛々しい姿勢のあと、シャロンの制御は安定した。
そしてシャロンは姿勢を戻し、構えを整えた。
その立ち姿も異様であった。
その身は薄赤く、紫電を帯び、光の粉を纏っている。
魔力漏れが激しい頭部は、髪の毛が銀色に光っているように見える。
だからみな同じ言葉が脳裏に浮かんだ。
まさしく「超人」だと。
直後にドラゴンは両腕を振るい、雷の網を放った。
これに対し、シャロンは踏み込んだ。
自ら網に飛び込むように。
その両手には赤い球が握られていた。
そして視界が迫る網で埋まった直後、シャロンは右手を突き出した。
赤い球が放たれる。
しかしそれはシャロンの目の前で爆発した。
赤い槍となって網に穴を開ける。
されど至近距離。衝撃波がシャロンも襲う。
だからシャロンは投げると同時にその手から光の壁を展開していた。
衝撃波で盾が破れる。
しかしこれは計算通り。ちょうど破れるように強度を調整している。
赤い槍も同様。これまでのものと比べて小規模の細い槍。
間髪入れずに右手を脇の下に戻しながら左手を繰り出す。
生じた赤い槍が穴を広げる。
この時すでに右手には次の赤い弾が。
再び右、そして左、交互に連射。
高速で左右の腕を突き出すその姿は武道の型のようであった。
まるで掌底打ちの連打。
しかし普通の掌底打ちでは無い。赤い槍が伸びる。
まるで突きの衝撃が赤い線となって伸びているかのよう。
反動に押されるため、踏み込んでいるのに同じ位置から動いていない。
まさしく赤い槍の乱れ突き。
雷の網がズタズタに千切れとび、霧散する。
直後に敵の火縄が火を吹く。
しかしその射線は見切っていた。
弾丸が来る方向に向かって掌底打ちを繰り出す。
赤い槍による衝撃波が弾丸の軌道を捻じ曲げる。
その銃声から数瞬遅れてベアトリスが光る濁流の発射体勢に。
狙いはキーラ。
キーラも既に赤い槍の発射体勢に入っていた。
その狙いはシャロン。
だが、シャロンの両腕は迎撃の準備が出来ていない。連打の反動のせいで間に合わない。
だからシャロンは足を使うことにした。
魔力を込めた右足をなぎ払うように一閃。
そのまま体を回転させて輝く左足で回し蹴り。
瞬きも許されない速度の二連蹴りが中空に三日月を描く。
光の魔力という絵の具で描かれた銀色の三日月。
その二つの三日月は足の勢いのまま放たれ、地の上を疾走した。
ベアトリスが放った光る濁流と混ざり、光の津波となってキーラの槍とぶつかり合う。
「っ!」
そして生じた轟音と余波に、ベアトリスは思わず目を細めた。
そして目を奪われた。
戦いの最中ゆえにそれは間違っていることは分かっていたが、ベアトリスはウソはつけなかった。思わず心の声を響かせてしまった。
しょうがない。赤い銀色の花火なんて、滅多に見られるものでは無いのだから。
銀色の火の粉が派手に飛び散るその様に、ベアトリスは「綺麗だ」と思った。
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