124 / 545
第二章 アリスは不思議の国にて待つ
第十一話 森の中の舞踏会(14)
しおりを挟む
叫ぶと同時にアルフレッドは謝っていた。
あなたの技を勝手に使ってすまない、と。
でもこれが必要なんだ、と。
その心の声と共に嵐は地面を巻き上げながら地中から生じた。
光の蛇の群れが地面の散弾と共にバークに襲い掛かる。
これに、バークはアルフレッドが予想したとおりの反応を見せた。
鋭く後退しながら爆発魔法を放ち、防御魔法を展開。
この戦いで初めて見せる防御行動。
やっぱりか、それを見たアルフレッドは確信した。
バークの膜は重さと硬さを有する攻撃には無力なんだ、そう思った直後に嵐と爆発魔法はぶつかり合った。
爆炎が嵐を押し返すように広がる。
数匹の蛇はそれを食い破り、数個の石は突破した。
だが、その程度ではバークの防御魔法を突破することはできなかった。
突破口が見えただけで十分だ、そんな思いを響かせながらアルフレッドが次の攻撃動作に入ろうとする。
バークがそれを阻止するために爆発魔法を発射。
青白く光る弾が次々と放たれ、回避行動を取るアルフレッドの周囲で次々と爆裂する。
その爆炎の隙間を縫うようにアルフレッドが三日月を連射。
バークの足元に次々と着弾。
生じる石の散弾を回避するためにバークもアルフレッドと同じように大きく動き始める。
この時をもって、二人の戦いはようやく戦いらしくなった。
互いに相手の射線を外すために回避行動を取り続けながら攻撃をしかける。
だが、やはり二人の間には明らかな火力差があった。
どう見てもアルフレッドが押されている。
バークが踏み込み、アルフレッドが下がる、そんな動きが明らかに多い。
このまま三日月を放ち続けるだけではアルフレッドに勝機は無いように見えた。
だからアルフレッドは戦い方に工夫や変化をつける必要があった。
だからアルフレッドは叫んだ。
(精霊最大展開!)
その命令を下した直後、アルフレッドの脳内から頭痛が走り始めた。
歯を食いしばらなければならないほどの痛み。
その痛みと引き換えに大量の虫が生まれ、空中で合体して蝶の形を成す。
クラリスの時と比較するとおよそ倍近い数。
脳への負荷が大きすぎるため痛みが生じる。
痛みは己の限界を知らせる警告。
だが今は思考力を優先すべき、そう判断したアルフレッドは痛覚を切った。
痛みが引くと共に思考が冴え、アルフレッドの世界がさらに緩慢になる。
スローモーションのような感覚の中で、大量の情報が洪水のように流れ込んでくる。
だが、これだけではまだ足りない。計算能力を上げただけでは。その計算能力を上手く活かさなくては。
そう思ったアルフレッドは両足裏を輝かせた。
手数をお手軽に増やすにはこれしかない。そう考えたアルフレッドは即座にそれを実行した。
地面を蹴り穿つ(けりうがつ)ように、左つま先を地面に突き刺す。
魔力を地中に垂れ流し、地中で暴れ始めたその力を解放するように、つま先を振り上げる。
足技版のグレイブディガー。
常に狙い撃ちされているため足を長く止めることは出来ない。ゆえに込められた魔力量は少なく、その嵐は小規模。
しかし問題無い。目的は足を使ってバークに石を投げることだからだ。
そして手数も必要。だからアルフレッドは即座に回避行動をとり、今度はもう片方の足を突き刺した。
大きなステップで爆発魔法から逃れながら三日月を放ち、足を一瞬とめてグレイブディガー、即座に再び回避行動をとりながら三日月、これを繰り返す。
この攻撃をバークはひらりひらりと避けながら、
「悪くない」
賞賛した。
だからバークは、
「では、さらに激しくいくぞ」
次の試験の開始を宣言した。
あなたの技を勝手に使ってすまない、と。
でもこれが必要なんだ、と。
その心の声と共に嵐は地面を巻き上げながら地中から生じた。
光の蛇の群れが地面の散弾と共にバークに襲い掛かる。
これに、バークはアルフレッドが予想したとおりの反応を見せた。
鋭く後退しながら爆発魔法を放ち、防御魔法を展開。
この戦いで初めて見せる防御行動。
やっぱりか、それを見たアルフレッドは確信した。
バークの膜は重さと硬さを有する攻撃には無力なんだ、そう思った直後に嵐と爆発魔法はぶつかり合った。
爆炎が嵐を押し返すように広がる。
数匹の蛇はそれを食い破り、数個の石は突破した。
だが、その程度ではバークの防御魔法を突破することはできなかった。
突破口が見えただけで十分だ、そんな思いを響かせながらアルフレッドが次の攻撃動作に入ろうとする。
バークがそれを阻止するために爆発魔法を発射。
青白く光る弾が次々と放たれ、回避行動を取るアルフレッドの周囲で次々と爆裂する。
その爆炎の隙間を縫うようにアルフレッドが三日月を連射。
バークの足元に次々と着弾。
生じる石の散弾を回避するためにバークもアルフレッドと同じように大きく動き始める。
この時をもって、二人の戦いはようやく戦いらしくなった。
互いに相手の射線を外すために回避行動を取り続けながら攻撃をしかける。
だが、やはり二人の間には明らかな火力差があった。
どう見てもアルフレッドが押されている。
バークが踏み込み、アルフレッドが下がる、そんな動きが明らかに多い。
このまま三日月を放ち続けるだけではアルフレッドに勝機は無いように見えた。
だからアルフレッドは戦い方に工夫や変化をつける必要があった。
だからアルフレッドは叫んだ。
(精霊最大展開!)
その命令を下した直後、アルフレッドの脳内から頭痛が走り始めた。
歯を食いしばらなければならないほどの痛み。
その痛みと引き換えに大量の虫が生まれ、空中で合体して蝶の形を成す。
クラリスの時と比較するとおよそ倍近い数。
脳への負荷が大きすぎるため痛みが生じる。
痛みは己の限界を知らせる警告。
だが今は思考力を優先すべき、そう判断したアルフレッドは痛覚を切った。
痛みが引くと共に思考が冴え、アルフレッドの世界がさらに緩慢になる。
スローモーションのような感覚の中で、大量の情報が洪水のように流れ込んでくる。
だが、これだけではまだ足りない。計算能力を上げただけでは。その計算能力を上手く活かさなくては。
そう思ったアルフレッドは両足裏を輝かせた。
手数をお手軽に増やすにはこれしかない。そう考えたアルフレッドは即座にそれを実行した。
地面を蹴り穿つ(けりうがつ)ように、左つま先を地面に突き刺す。
魔力を地中に垂れ流し、地中で暴れ始めたその力を解放するように、つま先を振り上げる。
足技版のグレイブディガー。
常に狙い撃ちされているため足を長く止めることは出来ない。ゆえに込められた魔力量は少なく、その嵐は小規模。
しかし問題無い。目的は足を使ってバークに石を投げることだからだ。
そして手数も必要。だからアルフレッドは即座に回避行動をとり、今度はもう片方の足を突き刺した。
大きなステップで爆発魔法から逃れながら三日月を放ち、足を一瞬とめてグレイブディガー、即座に再び回避行動をとりながら三日月、これを繰り返す。
この攻撃をバークはひらりひらりと避けながら、
「悪くない」
賞賛した。
だからバークは、
「では、さらに激しくいくぞ」
次の試験の開始を宣言した。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる