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第二章 アリスは不思議の国にて待つ

第十一話 森の中の舞踏会(14)

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 叫ぶと同時にアルフレッドは謝っていた。
 あなたの技を勝手に使ってすまない、と。
 でもこれが必要なんだ、と。
 その心の声と共に嵐は地面を巻き上げながら地中から生じた。
 光の蛇の群れが地面の散弾と共にバークに襲い掛かる。
 これに、バークはアルフレッドが予想したとおりの反応を見せた。
 鋭く後退しながら爆発魔法を放ち、防御魔法を展開。
 この戦いで初めて見せる防御行動。
 やっぱりか、それを見たアルフレッドは確信した。
 バークの膜は重さと硬さを有する攻撃には無力なんだ、そう思った直後に嵐と爆発魔法はぶつかり合った。
 爆炎が嵐を押し返すように広がる。
 数匹の蛇はそれを食い破り、数個の石は突破した。
 だが、その程度ではバークの防御魔法を突破することはできなかった。
 突破口が見えただけで十分だ、そんな思いを響かせながらアルフレッドが次の攻撃動作に入ろうとする。
 バークがそれを阻止するために爆発魔法を発射。
 青白く光る弾が次々と放たれ、回避行動を取るアルフレッドの周囲で次々と爆裂する。
 その爆炎の隙間を縫うようにアルフレッドが三日月を連射。
 バークの足元に次々と着弾。
 生じる石の散弾を回避するためにバークもアルフレッドと同じように大きく動き始める。
 この時をもって、二人の戦いはようやく戦いらしくなった。
 互いに相手の射線を外すために回避行動を取り続けながら攻撃をしかける。
 だが、やはり二人の間には明らかな火力差があった。
 どう見てもアルフレッドが押されている。
 バークが踏み込み、アルフレッドが下がる、そんな動きが明らかに多い。
 このまま三日月を放ち続けるだけではアルフレッドに勝機は無いように見えた。
 だからアルフレッドは戦い方に工夫や変化をつける必要があった。
 だからアルフレッドは叫んだ。

(精霊最大展開!)

 その命令を下した直後、アルフレッドの脳内から頭痛が走り始めた。
 歯を食いしばらなければならないほどの痛み。
 その痛みと引き換えに大量の虫が生まれ、空中で合体して蝶の形を成す。
 クラリスの時と比較するとおよそ倍近い数。
 脳への負荷が大きすぎるため痛みが生じる。
 痛みは己の限界を知らせる警告。
 だが今は思考力を優先すべき、そう判断したアルフレッドは痛覚を切った。
 痛みが引くと共に思考が冴え、アルフレッドの世界がさらに緩慢になる。
 スローモーションのような感覚の中で、大量の情報が洪水のように流れ込んでくる。
 だが、これだけではまだ足りない。計算能力を上げただけでは。その計算能力を上手く活かさなくては。
 そう思ったアルフレッドは両足裏を輝かせた。
 手数をお手軽に増やすにはこれしかない。そう考えたアルフレッドは即座にそれを実行した。
 地面を蹴り穿つ(けりうがつ)ように、左つま先を地面に突き刺す。
 魔力を地中に垂れ流し、地中で暴れ始めたその力を解放するように、つま先を振り上げる。
 足技版のグレイブディガー。
 常に狙い撃ちされているため足を長く止めることは出来ない。ゆえに込められた魔力量は少なく、その嵐は小規模。
 しかし問題無い。目的は足を使ってバークに石を投げることだからだ。
 そして手数も必要。だからアルフレッドは即座に回避行動をとり、今度はもう片方の足を突き刺した。
 大きなステップで爆発魔法から逃れながら三日月を放ち、足を一瞬とめてグレイブディガー、即座に再び回避行動をとりながら三日月、これを繰り返す。
 この攻撃をバークはひらりひらりと避けながら、

「悪くない」

 賞賛した。
 だからバークは、

「では、さらに激しくいくぞ」

 次の試験の開始を宣言した。
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