Iron Maiden Queen

第二章 アリスは不思議の国にて待つ

第十一話 森の中の舞踏会(4)

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　アルフレッドとアリスは北上しながら戦闘を続けた。
　アリスに体の操縦権があるわけでは無い。やろうと思えば出来るが、自分が手を出しても邪魔になるだけに思えた。
　目的の王族は北にいる。だから北に進むのは正しい。
　が、その進路がアリスには不自然に思えた。
　敵を避けようとする意思が見られないのだ。
　かといって、積極的に敵に挑もうとしているわけでも無い。
　まっすぐにある場所を目指していると思える動き。

「はあ、はあ」

　そしてさすがのアルフレッドにも疲れが見え始めていた。
　戦いの開始から既に二つの夜が過ぎ去っていた。
　三日目の戦闘。ここまでアルフレッドは徹夜で休まずに戦い続けている。
　既に千人は倒しているのでは？　数えていたわけでは無かったが、あながち間違いでも無いように思えた。
　ゆえにか、敵の攻撃は止まりつつあった。
　並の戦士を束にしてぶつけても被害が増すだけ、相手もそう認識したようであった。
　そして敵の追撃が止まった頃、アルフレッドの足も止まった。
　だが、アルフレッドは休むために止まったわけでは無いようであった。
「ここだ」というアルフレッドの心の声が響いたからだ。
　どうやらアルフレッドはこの場所を目指していたようであった。
　そこには、近くの川の氾濫によって流されてきたと思える岩があった。
　アルフレッドの背丈よりも高く、アルフレッドが両腕を広げてもおさまらない大きさの岩。
　アルフレッドはその岩の上に座り、

「……」

　静かに目を閉じた。
　アリスは積もった疑問のいくつかを尋ねようかと思ったがやめた。
　できれば安全なうちにできるだけ北上してほしいのだが、アルフレッドはここで何かを待つつもりのようだ。

（……）

　だからアリスもアルフレッドと同じように、警戒状態を維持したまま意識を沈めた。