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第一章 火蓋を切って新たな時代への狼煙を上げよ

第七話 美女と最強の獣(1)

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  美女と最強の獣

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 熊の一族の現党首、その名もオレグ。
 彼は長い一族の歴史の中でもズバ抜けた存在であった。
 そして彼は善人だった。
 少数精鋭を基本とするゆえに堅物が多い一族であったが、それでも彼は慕われていた。
 オレグは腐敗した自分の国が嫌いであった。魔王だけでは無い、府抜けた国民もだ。
 だが悲しきことに、オレグは善人であったが知恵者では無かった。
 オレグにはわからなかった。どうすれば国全体が善くなるのか。どうすれば国を変えることが出来るのか。
 そして哀れなことに、オレグは完璧主義者の気質も備えてしまっていた。
 だからオレグは誰よりも失敗を恐れていた。完璧な自信を持たねば動けない人間であった。
 ゆえにオレグは愚かな自分を嫌っていた。
 オレグにはただ現状を耐え、考え続けることしか出来なかった。
 されど、そんなオレグにも一つだけはっきりと分かっていることがあった。
 負けてはならない戦いがあるということだ。

 だから彼は己を鍛え続けた。
 その途中、彼は人間としての限界の壁にぶつかった。
 しかし彼はその壁を独自のやり方でぶちやぶり、文字通りの超人の域に至った。

 オレグの力は魔王を凌駕していた。
 魔王のように様々な神秘が使えるわけでは無い。
 彼にあるのは特殊な身体制御技術と人外の筋力のみ。たったそれだけ。
 にもかかわらず、彼の戦闘能力は魔王を超えていた。
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