Iron Maiden Queen

第一章 火蓋を切って新たな時代への狼煙を上げよ

第五話 最後の晩餐？(5)

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　サイラスは夢を見ていた。

　それは良い夢では無かった。
　されど悪夢というわけでも無かった。
　サイラスにとっては見慣れたものだったからだ。
　映っているのは、魔法使いが無能力者を奴隷として使役している場面であった。
　魔法使いが無能力者達を鞭で打っている。
　そしてその奴隷達の中には若き頃の自分の姿もあった。
　だから昔の自分は魔法使いが嫌いだった。
　もっと強くなりたい、もっと力を、そう願い続けていた。

　自分はこの残酷な関係を覆したかった。そのために奴隷達を束ねて魔法使い達に戦いを挑んだことがあった。
　だがその時は負けた。そして自分はその失敗から学び、進む道を少し変えた。
　だからだろうか。魔王にケンカを売るなんていう戦いに身を投じたのは。シャロンからの危険な誘いに二つ返事で乗ったのは。

　いや、違う。昔の自分ならその答えで終わりだったが、今の自分は違う。

（なぜなら、自分は――）

　サイラスがその答えを夢の中で紡ごうとした瞬間、夢の世界は急速にその形を失っていった。