Iron Maiden Queen

稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)

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第一章 火蓋を切って新たな時代への狼煙を上げよ

第五話 最後の晩餐?(1)

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   ◆◆◆

  最後の晩餐?

   ◆◆◆

 魔王は数多の獣を従える魔法使いの王であった。
 その代表たるものは狼と豹と熊の三種。
 だが、獣達のすべてが魔王に忠誠を誓っていたわけでは無かった。
 種を束ねる頭領達だけに関して言えば、心からの忠誠を誓っている者は誰もいなかった。
 三人とも善人であった。ある者は魔王に生理的な嫌悪感を抱き、ある者はやむを得ず従い、またある者は本心を隠していた。
 だが、そのうち狼の頭領は戦いの中で死んだ。
 善たる象徴を失った狼の群れは、文字通り強いものに従うだけのただの獣の群れになりさがった。
 そして熊と豹は去り、魔王のもとには狼だけが残った。

 では、その熊と豹はいまどこに?

   ◆◆◆

「さて、これからどうする?」

 残党を始末した後、サイラスは応接間らしき一室でシャロンに尋ねた。
 両者ともほぼ裸。
 男女として営んでいたわけでは無い。互いの傷を治療しあっていただけだ。
 だが、二人の心に照れや恥じらいは無かった。
 もう互いに見慣れているからだ。
 そしてシャロンは上着を身に纏いながら答えた。

「ここを拠点にするための修復作業を……と言いたいところだけど、今日は兵達を休ませるわ」

 それについてはサイラスも同意見だった。

「ああ、そうすべきだと私も思っていた。ここまでほぼ休み無しの強行軍だったからな。十分な睡眠がとれている者は一人もいないかもしれない」

 ゆえにこの後の予定は決まっていた。
 シャロンはそれを述べた。

「幸いなことに、食料庫にはたっぷりとごちそうが残っていたわ。早速調理させて兵達に大判振る舞いしましょう」
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