Iron Maiden Queen

第一章 火蓋を切って新たな時代への狼煙を上げよ

第四話 魔王戦(1)

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　　　魔王戦

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　魔王の存在はおとぎ話という形で予言されていた。
　だが、その預言者は神秘的な存在でもなんでも無い。強い者が弱い者を従える、ならば強い魔法使いがこの世に生まれたならば――そんな至極普通の考え方から産み出された空想だ。
　そのおとぎ話では、魔王とは圧倒的な魔力を持ち、様々な獣を従える魔法使いの王と書かれている。
　それはまさに今の魔王を正しく示した内容であった。
　だから魔王はそのおとぎ話が好きであった。
　しかし一つ気に食わない内容があった。
　最後は勇者に倒されるという部分だ。
　しかしその不満と不安は途中で消えた。
　魔王はその勇者すら味方にしたのだ。
　ゆえに我は無敵、魔王はそう思っていた。
　だが勇者は一人では無かった。世界各地にそれはいた。
　魔王と同じ側にいた勇者は、別の国の勇者に敗れた。
　さらには、魔王の足元にまで勇者は潜んでいた。
　それは魔王が産み出した地獄の中から這い上がってきた者。
　いま、その新たな勇者が魔王の喉元に針の先端を突きつけていた。