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第一章 火蓋を切って新たな時代への狼煙を上げよ
第三話 魔王の城へ(3)
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◆◆◆
「そこの曲がり角の前で少し待機だ」
狭い路地裏にか細い声が響く。
しかしその声は路地裏の薄暗さに吸い込まれるかのように消えた。
「「「了解」」」
声の主の後ろに並んでついている者達が、ただの吐息と間違えそうなほどに小さな返事を返す。
その歩みはまるで猫のよう。
積もった雪を大きく踏み鳴らさないように慎重に足裏を下ろす。
そして最前を行く者は、再びその口を開いた。
「我が隊が合図役だ。他の部隊は我等の突撃に続く」
喋っているうちに曲がり角が近づいてくる。
そして直前で先頭の者は、背後に続く者達のほうに向き直り、緊迫した表情を見せつけながら口を開いた。
「他の部隊が配置についたのを見計らってから飛び出すぞ、わかったな?」
だが、それが間違いだった。
前を向き続けていなければならなかったのだ。
真後ろの兵士は返事どころか、「あ」という驚きの声すら出せなかった。
曲がり角の陰から何者かが飛び出してきたのが見えた直後、
「あぐっ?!」
先頭の者は背後から長く尖った何かに胸を貫かれた。
生じた血しぶきが二番目の兵士の目に当たり、その視界を赤く滲ませる。
その突然の異常事態に、三番目以降の兵士達が体を「びくり」と跳ねさせながら身構え始める。
だがそこまでだった。
「うぁっ?!」「がっ?!」「ぎゃっ?!」
全員の体に同時に紫電が走ったのだ。
そしてその感電の痛みの中で三番目の兵士は見た。
隊長の胸を貫いた物の正体を。
それは長く太い針。
それで順番に串刺していくのだろう、と兵士は思った。
しかし感電のせいで身動きが取れない。
ゆえに、目前に迫った死の恐怖から逃れるために目を閉じるくらいしか、兵士に出来ることは無かった。
「そこの曲がり角の前で少し待機だ」
狭い路地裏にか細い声が響く。
しかしその声は路地裏の薄暗さに吸い込まれるかのように消えた。
「「「了解」」」
声の主の後ろに並んでついている者達が、ただの吐息と間違えそうなほどに小さな返事を返す。
その歩みはまるで猫のよう。
積もった雪を大きく踏み鳴らさないように慎重に足裏を下ろす。
そして最前を行く者は、再びその口を開いた。
「我が隊が合図役だ。他の部隊は我等の突撃に続く」
喋っているうちに曲がり角が近づいてくる。
そして直前で先頭の者は、背後に続く者達のほうに向き直り、緊迫した表情を見せつけながら口を開いた。
「他の部隊が配置についたのを見計らってから飛び出すぞ、わかったな?」
だが、それが間違いだった。
前を向き続けていなければならなかったのだ。
真後ろの兵士は返事どころか、「あ」という驚きの声すら出せなかった。
曲がり角の陰から何者かが飛び出してきたのが見えた直後、
「あぐっ?!」
先頭の者は背後から長く尖った何かに胸を貫かれた。
生じた血しぶきが二番目の兵士の目に当たり、その視界を赤く滲ませる。
その突然の異常事態に、三番目以降の兵士達が体を「びくり」と跳ねさせながら身構え始める。
だがそこまでだった。
「うぁっ?!」「がっ?!」「ぎゃっ?!」
全員の体に同時に紫電が走ったのだ。
そしてその感電の痛みの中で三番目の兵士は見た。
隊長の胸を貫いた物の正体を。
それは長く太い針。
それで順番に串刺していくのだろう、と兵士は思った。
しかし感電のせいで身動きが取れない。
ゆえに、目前に迫った死の恐怖から逃れるために目を閉じるくらいしか、兵士に出来ることは無かった。
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