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第一章 火蓋を切って新たな時代への狼煙を上げよ

第二話 魔王軍主力戦(2)

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   ◆◆◆

 シャロン達が再び進軍を開始してから一週間後――

「ようやく見えるところまで来れたな」

 白い丘の上から、サイラスは遠方を見下ろしながらそう言った。
 その言葉は二つのものを指していた。
 一つは魔王の城。
 その外観は異様かつ壮大、そして威圧的。
 山をくりぬいて作られた巨大で堅牢な城。
 下に広がる城下町の広さも魔王の力の大きさを表している。
 そしてサイラスが指し示したもう一つのものは、その城下町を守るように展開された魔王の軍勢であった。
 それに対し、サイラスは口を開いた。

「やはり対策してきたな」

 魔王軍の最前列にわかりやすくそれは並んでいた。
 先の戦いでシャロン達が活用した大盾だ。
 十分な数の魔法使いを有する魔王軍には珍しい装備。
 銃弾は並の魔法使いの防御魔法を貫通する。ならばより硬い盾を、と考えるのは至極当然。
 なのでこれは既に予想出来ていた。ゆえに、隣にいるシャロンは特に表情を変えることも無く、別のことに対して口を開いた。

「魔王の姿は見えないわね」

 軍を指揮している気配は無い。
 城に篭っていると考えるのが妥当。
 そしてそれも十分に予想出来ていたことだった。
 ゆえに、シャロン達はある物の到着を待っていた。
 その輸送は、

「大将!」

 直後に背後から響いたある男の声によって完了が告げられた。
 その声にシャロンとサイラスが振り返ると、そこには二人の男がいた。
 そして先の「大将」という呼び名はサイラスを指したものであった。
 ゆえに返事をしたのはサイラスであった。

「問題は無かったようだな、フレディ」



 これにフレディと呼ばれた男は意外な答えを返した。

「まったく、ってわけでは無かったですけどね」

 何かあったのか、サイラスがそう尋ね返すよりも早く、もう一人の男が答えた。



「途中で敵と戦闘になってしまってな。それで遅れた」

 男はそう言った後、シャロンとサイラス、二人の顔を見ながら一言付け加えた。

「待たせてしまったようだな、二人とも」

 これにシャロンが口を開いた。

「そうでも無いわ、ルイス。それより大丈夫だったの?」

 ルイスと呼ばれた男は頷きを返し、答えた。

「少し撃つだけで追い払えたよ。品物は無事だ」

 言いながら、ルイスは丘の下にあるそれの方に視線を向けた。
 そこには牛車があった。
 荷台には布がかぶせられており、品物は見えない。
 だが、確認せずとも感じ取れたシャロンはルイスに尋ねた。

「今すぐ使える?」

 これにルイスが「ああ」と肯定の返事を返すと、シャロンは即座に決断した。

「なら、戦闘開始よ」
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