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Ep5 コモリガミ様の章(6)

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   ◆◆◆

「やめろぉ!」

 やはり、その悲鳴は台所から響いていた。
 しかしあなたと友人は台所のドアの前で立ち止まり、耳をすまして中の様子をうかがった。

「うああああぁぁっ!」

 まるで熊にでも襲われているかのようなオーナーの悲鳴が響き続けている。
 それだけでは無い。まるで格闘でもしているかのような騒音も聞こえてくる。
 それでも、あなたと友人は入るべきかの決断を迷っていた。
 自分達の安全だけを考えるならば、今すぐに車のほうに走りだすのが正解だ。
 が、

「誰かぁっ! 助けてくれえっ!」

 直後に響いた助けを請う悲鳴に、友人はドアを開けた。

「!?」

 そしてそれを見たあなたと友人はその身を強張らせた。
 それはまるで悪ふざけのようにすら見えた。
 微妙でチープな演出、予算の無いB級ホラー映画によくあるワンシーンにそれは見えた。
 大きな黒いゴミ袋がオーナーにのしかかっていた。それはそうとしか表現出来なかった。
 だが、直後、

「!」

 ビニールが破れる音と共に、中から二本の腕が飛び出した。
 その両腕は真っ赤に染まっていた。
 だが、あなたはその瞬間、恐怖では無く違和感を抱いた。
 その両腕は何かがおかしい、そう思えた。
 だからあなたは動けなかった。
 が、

「おらぁっ!」

 友人はそれに向かって踏み込み、サッカーボールを蹴る時と同じ要領でそれを蹴飛ばした。
 そして友人は倒れているオーナーの腕を掴んで引き起こしながら叫んだ。

「逃げるぞ!」
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