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Ep5 コモリガミ様の章(6)
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「やめろぉ!」
やはり、その悲鳴は台所から響いていた。
しかしあなたと友人は台所のドアの前で立ち止まり、耳をすまして中の様子をうかがった。
「うああああぁぁっ!」
まるで熊にでも襲われているかのようなオーナーの悲鳴が響き続けている。
それだけでは無い。まるで格闘でもしているかのような騒音も聞こえてくる。
それでも、あなたと友人は入るべきかの決断を迷っていた。
自分達の安全だけを考えるならば、今すぐに車のほうに走りだすのが正解だ。
が、
「誰かぁっ! 助けてくれえっ!」
直後に響いた助けを請う悲鳴に、友人はドアを開けた。
「!?」
そしてそれを見たあなたと友人はその身を強張らせた。
それはまるで悪ふざけのようにすら見えた。
微妙でチープな演出、予算の無いB級ホラー映画によくあるワンシーンにそれは見えた。
大きな黒いゴミ袋がオーナーにのしかかっていた。それはそうとしか表現出来なかった。
だが、直後、
「!」
ビニールが破れる音と共に、中から二本の腕が飛び出した。
その両腕は真っ赤に染まっていた。
だが、あなたはその瞬間、恐怖では無く違和感を抱いた。
その両腕は何かがおかしい、そう思えた。
だからあなたは動けなかった。
が、
「おらぁっ!」
友人はそれに向かって踏み込み、サッカーボールを蹴る時と同じ要領でそれを蹴飛ばした。
そして友人は倒れているオーナーの腕を掴んで引き起こしながら叫んだ。
「逃げるぞ!」
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