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Ep5 コモリガミ様の章(5)
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そしてあなたと友人は夕食を食べ終え、客室に戻ってきた。
ここならたぶん聞こえない。だから早速あなたは正直な感想を述べた。
酷くない? と。
これには友人も同意せざるを得なかった。
まるで今日始めて料理した素人が作ったような味だった。
だからあなたは尋ねた。
ここって、料理がおいしいことで評判だったのでは? と。
これに友人は答えた。
「ブログにはそう書いてあったんだけどなあ。騙されたのかなあ」
そして友人は言葉を続けた。
「予約の電話に出た女の人も、俺達が来る日は得意料理を披露するから楽しみにしていてくださいって言ってたし」
友人のその言葉と、食堂で見た写真は一瞬で繋がった。
まさか、その女の人がオーナーなのでは? じゃああの男は誰なんだ? と、あなたは思った。
それをあなたが尋ねると、
「さあ? オーナーの息子とか、そういうのじゃないのか?」
などという適当な言葉を友人は返してきたため、あなたは言った。
ちょっと調べてみよう、と。
早速携帯を操作する。
すると、欲しい情報はすぐに見つかった。
やはり、あの写真に写っていた老女がオーナーだった。
そして同時に独り身であることも判明した。
ならば当然のように同じ疑問が浮き上がる。
あの料理が下手な男は何者なのか。
その疑問はあることと繋がり、新たな疑問を生んだ。
友人はそれを声に出した。
「そういえば、駐車場には他に『二台』停まってたよな? 一つはあの男の車だとして、もう一台は誰のものだ?」
その可能性はあなたには一つしか思いつかなかった。
直前にキャンセルしたっていう男女のものなのでは、と。
あなたがそれを言葉にすると、やはり友人も同じ意見だった。
だが、友人はさらに一つの予想を付け加えた。
「もしかして、その二人はキャンセルなんてしてなくて、しかもまだチェックアウトしてないんじゃないか?」
それは言葉通りの意味では無く、チェックアウト出来ないから、という意味であることは聞き返すまでも無かった。
どうして? その疑問から浮かぶ連想はどれも恐怖でしか無かった。
だからあなたと友人は「逃げよう」と、同時に提案しようとした。
が、瞬間、
「うわああああぁっ!」
突如下の階から響いた悲鳴に、あなたと友人の提案は遮られた。
その声は聞き間違える要素が無かった。オーナーの声だった。
だがあなたは、何があったのか見に行こう、とはすぐには切り出せなかった。
あの男は危険人物である可能性が高い。
それは友人も同じだったらしく、友人も同じように言葉を詰まらせた。
だから、友人は真ん中を狙うことにした。
「とりあえず様子を見に行こう。いつでも逃げられるようにしておいて、な」
そう言って、友人は防寒用のジャケットを羽織り、車のキーと携帯、それに財布をポケットに突っ込んだ。
それを見たあなたは同じように準備し、友人のあとに続いて部屋を出た。
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