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Ep4 真相の章(7)
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怪我人を背負って、しかも靴下一枚で深い新雪の中を進むのは重労働以外のなにものでも無かった。
あっという間に足の感覚がなくなる。
しかしそれは逆にありがたかった。あなたにとっては痛いよりはマシだった。凍傷で壊死するかもしれない、という恐怖はこの時のあなたには無かった。
人の気配を求めて足を進める。
しばらくして、それは一つ耳に届いた。
自分のものでは無い、雪を踏みしめる足音。
だが、それはあなたが望んでいたものでは無かった。
なぜなら、その足音は後ろから追ってきているからだ。
だから、その足音が誰のものかなんてことは考えるまでも無かった。
自然とあなたの足が早歩きになる。
本当は走りたかった。だが出来なかった。それがあなたの精一杯だった。
そして、あなたが早歩きを始めたのとほぼ同時に、追いかけてくる足音も速くなった。
さらに悪いことに、向こうのほうが明らかに速い。
距離を徐々に詰められ、耳に届く足音が大きくなってくる。
もうダメだ、捕まる、そんなあきらめがあなたの心を侵食し始めた直後、
「!?」
新たに耳に届いた別の足音に、あなたは振り向いた。
それは人間のものでは無いように思えた。
その小さく軽快な足取りから想像できる動物は一つだけだった。
それは直後に正解であることが明らかになった。
「バウ!」「ワンワン!」
あっという間に距離を詰めてきた複数の犬に囲まれる。
そしてその鳴き声を恐れたかのように、追いかけてきていた足音は離れ始めていた。
「バウバウ!」
逃げ始めたその足音を一匹の犬が追い始める。
残りの犬はあなたのそばから離れず、何かを呼ぶように吠え続けた。
しばらくして、彼らの主はあなたの前に姿を現した。
レスキュー部隊と思われる服装をしたその男は、あなたを見つけるなり、無線機を口元に当てた。
「通報者と思われる人物を発見。重症を負っているように見える。至急、救急車の手配を頼む」
あっという間に足の感覚がなくなる。
しかしそれは逆にありがたかった。あなたにとっては痛いよりはマシだった。凍傷で壊死するかもしれない、という恐怖はこの時のあなたには無かった。
人の気配を求めて足を進める。
しばらくして、それは一つ耳に届いた。
自分のものでは無い、雪を踏みしめる足音。
だが、それはあなたが望んでいたものでは無かった。
なぜなら、その足音は後ろから追ってきているからだ。
だから、その足音が誰のものかなんてことは考えるまでも無かった。
自然とあなたの足が早歩きになる。
本当は走りたかった。だが出来なかった。それがあなたの精一杯だった。
そして、あなたが早歩きを始めたのとほぼ同時に、追いかけてくる足音も速くなった。
さらに悪いことに、向こうのほうが明らかに速い。
距離を徐々に詰められ、耳に届く足音が大きくなってくる。
もうダメだ、捕まる、そんなあきらめがあなたの心を侵食し始めた直後、
「!?」
新たに耳に届いた別の足音に、あなたは振り向いた。
それは人間のものでは無いように思えた。
その小さく軽快な足取りから想像できる動物は一つだけだった。
それは直後に正解であることが明らかになった。
「バウ!」「ワンワン!」
あっという間に距離を詰めてきた複数の犬に囲まれる。
そしてその鳴き声を恐れたかのように、追いかけてきていた足音は離れ始めていた。
「バウバウ!」
逃げ始めたその足音を一匹の犬が追い始める。
残りの犬はあなたのそばから離れず、何かを呼ぶように吠え続けた。
しばらくして、彼らの主はあなたの前に姿を現した。
レスキュー部隊と思われる服装をしたその男は、あなたを見つけるなり、無線機を口元に当てた。
「通報者と思われる人物を発見。重症を負っているように見える。至急、救急車の手配を頼む」
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