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Ep4 真相の章(1)
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◆◆◆
真相の章
◆◆◆
「着いたぞ」
そう言って、友人は駐車場の適当な場所に車をとめた。
駐車場には他に二つの車が止まっていた。
友人と同時にドアを開けて車から降りる。
ざくり、と靴が雪を踏みしめる音が響く。
直後、友人はあなたに声をかけてきた。
「助手席に忘れ物は無いよな?」
大丈夫、あなたはそう答えたが、それでも友人は念を押してきた。
「夜になったらたぶん取りに来れなくなるぞ。予報では今日はけっこう降るらしいからな。朝には車は埋まってると思う」
念を押すに足るその理由に、あなたはもう一度助手席を見直した。
やはり忘れ物は無い、大丈夫、あなたが再び同じ答えを返すと、
「そうか。じゃあ行こう」
友人は雪を踏みしめる音を響かせた。
車のトランクを開け、荷物を取り出す。
そして友人と並んで歩き出すと、ペンションから一人の男が出てきた。
「ようこそおいでくださいました!」
ペンションのオーナーかな? あなたはそう思った。
それはどうやら正解だったようだ。
なぜなら、笑顔と共に近寄ってきたその男はこう言ったからだ。
「お荷物、お持ちしますよ」
そして差し出されたオーナーの手に対し、あなたと友人は「どうも」という軽いお礼と共に荷物を手渡した。
その時、友人はオーナーに尋ねた。
「予約していた時間よりも遅かったですか?」
何を言いたいのか、察したオーナーは答えた。
「いえいえ、エンジン音が中まで響きますので。誰か来ればすぐにわかります」
なるほど。友人は言葉にはしなかったがそんな表情と小さな頷きを返した。
そしてそんな話をしている間に三人は玄関の前に到着した。
ドアの真横の壁にボードが立てかけてある。
そこには自分達の名前が書いてあった。
今週の来客者とそのチェックイン予定時刻を示したものだ。
ボードには自分達以外にも、一組の男女らしき名前があった。
「さあ、どうぞ中へ」
そしてあなたと友人はオーナーにうながされるまま、中に入った。
真相の章
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「着いたぞ」
そう言って、友人は駐車場の適当な場所に車をとめた。
駐車場には他に二つの車が止まっていた。
友人と同時にドアを開けて車から降りる。
ざくり、と靴が雪を踏みしめる音が響く。
直後、友人はあなたに声をかけてきた。
「助手席に忘れ物は無いよな?」
大丈夫、あなたはそう答えたが、それでも友人は念を押してきた。
「夜になったらたぶん取りに来れなくなるぞ。予報では今日はけっこう降るらしいからな。朝には車は埋まってると思う」
念を押すに足るその理由に、あなたはもう一度助手席を見直した。
やはり忘れ物は無い、大丈夫、あなたが再び同じ答えを返すと、
「そうか。じゃあ行こう」
友人は雪を踏みしめる音を響かせた。
車のトランクを開け、荷物を取り出す。
そして友人と並んで歩き出すと、ペンションから一人の男が出てきた。
「ようこそおいでくださいました!」
ペンションのオーナーかな? あなたはそう思った。
それはどうやら正解だったようだ。
なぜなら、笑顔と共に近寄ってきたその男はこう言ったからだ。
「お荷物、お持ちしますよ」
そして差し出されたオーナーの手に対し、あなたと友人は「どうも」という軽いお礼と共に荷物を手渡した。
その時、友人はオーナーに尋ねた。
「予約していた時間よりも遅かったですか?」
何を言いたいのか、察したオーナーは答えた。
「いえいえ、エンジン音が中まで響きますので。誰か来ればすぐにわかります」
なるほど。友人は言葉にはしなかったがそんな表情と小さな頷きを返した。
そしてそんな話をしている間に三人は玄関の前に到着した。
ドアの真横の壁にボードが立てかけてある。
そこには自分達の名前が書いてあった。
今週の来客者とそのチェックイン予定時刻を示したものだ。
ボードには自分達以外にも、一組の男女らしき名前があった。
「さあ、どうぞ中へ」
そしてあなたと友人はオーナーにうながされるまま、中に入った。
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