上 下
37 / 55

Ep3 あの時こうしていれば、そんな二人の章(6)

しおりを挟む

   ◆◆◆

 その後はいろいろと大変だった。
 手足を動かす力が尽きかけた頃、あなたと友人はようやくオーナーが気絶していることに気付いた。
 そしてあなたと友人は二人でロープやらガムテープやら、細長いタオルやら、使えるものはなんでも使ってオーナーを縛り上げ、そのあとに警察を呼んだ。
 あなたと友人の心が本当の意味で落ち着いたのは、サイレンの音が聞こえ始めてからのことであった。

   ◆◆◆

 一週間後――

「次のニュースです」

 あなたは実際に当事者となったその事件のニュースをディスプレイで見ていた。
 画面の中にいる女性が喋り始める。

「山奥にある宿泊施設で、とても凄惨な事件が発生しました」

 ドローンからの撮影だと思われる、上空からのペンションの映像が映し出される。

「警察は私情のもつれではないかという線で捜査を進めており――」

 うさんくさい有識者の勝手な推測などを聞きながら、あなたは思った。

 もしも、ボタンを掛け間違えるように、選択を少し間違えていただけで、悲惨な結末をむかえていたのではないか、と。
 もしかしたら、もっと違う結末もあったのではないか、と。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

401号室

ツヨシ
ホラー
その部屋は人が死ぬ

Mパーキングの幽霊

色白ゆうじろう
ホラー
怪異調査ものです。 グロなし とある高速道路上で頻発する死亡事故 「Mパーキングエリア」というパーキングエリアにおいて、どこからか現れる「頭の小さな男」と会話をした後、必ず事故死をするという噂が広まる。 その「頭の小さな男」をドライバーたちは『Mパーキングの幽霊』と呼んだ。 あまりの死亡事故の連続性に、怪異調査エージェントと助っ人のオカルト作家が調査に乗り出すが…

夜の闇を少しだけ、深く

猫パンチ三世
ホラー
日常に潜む嘘のような話。 あなたはそれをありえない事だと。 作り話だと、そう言い切れるだろうか。

追っかけ

山吹
ホラー
小説を書いてみよう!という流れになって友達にどんなジャンルにしたらいいか聞いたらホラーがいいと言われたので生まれた作品です。ご愛読ありがとうございました。先生の次回作にご期待ください。

コルチカム

白キツネ
ホラー
都会から遠く、遠く離れた自然が多い田舎町。そんな場所に父親の都合で転校することになった綾香は3人の友人ができる。 少し肌寒く感じるようになった季節、綾香は季節外れの肝試しに誘われた。 4人で旧校舎に足を踏み入れると、綾香たちに不思議な現象が襲い掛かる。 微ホラーです。 他小説投稿サイト様にも掲載しております。

無名の電話

愛原有子
ホラー
このお話は意味がわかると怖い話です。

怨念板

コメディアンホラーニシヤマ
ホラー
怨念板それは死霊などが集まってできた動く板。

とあるSCP財団職員のちょっとした話。

スチィー
ホラー
SCP財団の職員として働く男は、 今日も今日とて様々な SCPの調査をしていくというお話。 「必ずホームランになるバット」 「閉めると景色が見えるカーテン」 「ジョークを言うと飛んでくるトマト」 などを調査していく 主人公だったが、、、? ※初投稿の作品です。

処理中です...