上 下
27 / 55

Ep2 友人とオーナーの章(6)

しおりを挟む

   ◆◆◆

 そしてオーナーは裏口である台所のドアを開けた。
 目的である大きなゴミ袋を掴んで引っ張る。

「……っ」

 既に経験してわかっていたことだがやはり重い。
 裏口のドアへと引き摺っていく。
 が、途中、

「!?」

 床とこすれている部分が裂けたと思われる音に、オーナーの体は硬直した。
 しかしそれは一瞬。
 こうなったらもう引っ張り続けるしかないと、オーナーは力を込め直した。
 裂け目から漏れたと思われる赤色が床に尾を引くように描かれる。
 これにオーナーはますます焦ったが、拭くのはあとだと引っ張り続けた。
 外に出ると同時に裏口のドアを閉める。
 すると間も無く、台所の入り口が開く音が聞こえた。

「オーナーさん?」

 あなたの呼び声が中からオーナーの耳に響く。
 当然、オーナーはそれを無視した。
 雪の上に移動し、ゴミ袋を投げ落とす。
 とりあえずいまはこれでいい。ちゃんと処理するのはあとだ。
 とにかく、今はすぐにやるべきことがある。
 あの赤い線は絶対に見られたはずだ。ならばやるべきことは一つしか無い。
 だからオーナーは走り、裏口のとなりにある分電盤に向かって斧を振り下ろした。
 耳障りな音と共に、屋内から光が消える。
 とりあえずこれでいい、オーナーはそう思った。
 こうなったらどれだけ日和見なやつでも何が起きているのか察しただろう。
 ならばあとは直接対決だ、そう思ったオーナーは音を立てないように裏口のドアを開けた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

呪詛人形

斉木 京
ホラー
大学生のユウコは意中のタイチに近づくため、親友のミナに仲を取り持つように頼んだ。 だが皮肉にも、その事でタイチとミナは付き合う事になってしまう。 逆恨みしたユウコはインターネットのあるサイトで、贈った相手を確実に破滅させるという人形を偶然見つける。 ユウコは人形を購入し、ミナに送り付けるが・・・

狙われた女

ツヨシ
ホラー
私は誰かに狙われている

催眠アプリを手に入れたエロガキの末路

夜光虫
ホラー
タイトルそのまんまです 微エロ注意

友達アプリ

せいら
ホラー
絶対に友達を断ってはいけない。友達に断られてはいけない。 【これは友達を作るアプリです。ダウンロードしますか?→YES NO】

Please Love Me

稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)
ホラー
それは宇宙で愛を叫び続けていた。与え続け、求め続けていた。 そしてそれはついにヒトと出会った。 ヒトは彼女が求め続けていたものをすべて持っていた。 しかし彼女はヒトとはあまりにかけ離れた存在であった。 これはそんな彼女と一人の男から始まる物語であり、残酷であるが切ない、そんなお話である。 (宇宙を舞台にしたSFホラーです。内臓が飛び散るようなグロはありません。また、画像は配布サイトの規約に従って使用しています)

マネキンの首

ツヨシ
ホラー
どこかの会社の倉庫にマネキンがあった。

村の愛玩動物

ツヨシ
ホラー
営業で走り回っていると小さな村に着いた。

猫屋敷

ツヨシ
ホラー
私の家は猫屋敷になりました。

処理中です...