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Ep2 友人とオーナーの章(6)
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そしてオーナーは裏口である台所のドアを開けた。
目的である大きなゴミ袋を掴んで引っ張る。
「……っ」
既に経験してわかっていたことだがやはり重い。
裏口のドアへと引き摺っていく。
が、途中、
「!?」
床とこすれている部分が裂けたと思われる音に、オーナーの体は硬直した。
しかしそれは一瞬。
こうなったらもう引っ張り続けるしかないと、オーナーは力を込め直した。
裂け目から漏れたと思われる赤色が床に尾を引くように描かれる。
これにオーナーはますます焦ったが、拭くのはあとだと引っ張り続けた。
外に出ると同時に裏口のドアを閉める。
すると間も無く、台所の入り口が開く音が聞こえた。
「オーナーさん?」
あなたの呼び声が中からオーナーの耳に響く。
当然、オーナーはそれを無視した。
雪の上に移動し、ゴミ袋を投げ落とす。
とりあえずいまはこれでいい。ちゃんと処理するのはあとだ。
とにかく、今はすぐにやるべきことがある。
あの赤い線は絶対に見られたはずだ。ならばやるべきことは一つしか無い。
だからオーナーは走り、裏口のとなりにある分電盤に向かって斧を振り下ろした。
耳障りな音と共に、屋内から光が消える。
とりあえずこれでいい、オーナーはそう思った。
こうなったらどれだけ日和見なやつでも何が起きているのか察しただろう。
ならばあとは直接対決だ、そう思ったオーナーは音を立てないように裏口のドアを開けた。
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