雪山のペンションで、あなたひとり

稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)

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Ep2 友人とオーナーの章(5)

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   ◆◆◆

 そしてオーナーは斧を片手に持ったまま、光がこぼれる窓のそばに近寄り、中の様子を覗き込んだ。
 中では、あなたがほうきで床を掃除していたのが見えた。
 ほうきを片付けた後、二階に上がっていく。
 それを窓の外から見ていたオーナーは焦った。
 何をしに客室に戻ったのか、と。
 まさか、警察に連絡を入れるため?
 いや、それならそこにある電話を使えばいい。
 しかしならなぜ二階に? いまが何時なのかは分かっているはずだ。夕食の時間はとくに過ぎていることは分かっているはずだ。
 誰かが帰ってくるまで寝るつもりなのだろうか?
 いや、そんな楽観的な人間がいるとは思えない。
 ……だめだ、わからない。
 ならば確認に行くしかない、そう思ったオーナーは足を動かし始めた。

   ◆◆◆

 そしてオーナーは壁を伝いながら坂を登り、あなたの部屋の窓の外にまで来た。
 だが、ここのカーテンには隙間が無かった。見えなかった。

(何をしている……?)

 幸いなことに、室内の照明のおかげで、カーテンにはあなたの影絵が写っていた。
 携帯を触っている、それはそのように見えた。
 まさか警察か?! オーナーは焦った。
 だが、その焦りはしばらくして静まった。
 何度も何度もかけなおしているように見えるからだ。
 あの友人と連絡を取ろうとしている、そうとしか思えなかった。
 そして相手が出ないということは、あいつは遭難しているのかもしれない。
 もう死んでいる可能性もありえる。
 証拠は無いが、その連想はオーナーにとって希望とり、勇気となった。
 だからオーナーは気付いた。
 台所にある「アレ」を片付けるならば今がチャンスなのではないか、と。
 そう思ったオーナーは早速行動を開始した。
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