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Ep1 あなたひとりの章(10)

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   ◆◆◆

「あれ? ご友人はどちらへ?」

 友人が玄関から出たのとほぼ同時に、飲み物を持ってきたオーナーはあなたに尋ねた。
 友人はコンビニに行ったことをあなたが答えると、オーナーは少し悩ましそうな顔で口を開いた。

「うぅん、ちょっと困りましたね。私も買い物に出ないといけないのですよ」

 だからオーナーはあなたに尋ねた。

「申し訳ありませんが、お一人で留守をお任せしてよろしいでしょうか?」

 これにあなたが「いいですよ」と答えると、オーナーは笑顔を見せ、

「ああ、よかった! では、申し訳ありませんがよろしくお願いしますね!」

 そう言って、廊下の奥に消えていった。
 重そうな玄関のドアの開閉音が響く。
 そしてペンションから人の気配が無くなったのを感じたあなたは、正面のディスプレイのほうに意識を戻した。
 いま観ているのはアクション映画。
 もう既に何度か観たことがある映画だったので興奮は無かったが、それでも退屈しのぎにはなった。

「~~……っ」

 ゆえに、あなたの口からはあくびが漏れた。
 スキー疲れのせいだろう。少々眠い。
 だからあなたはソファーの上に横になった。
 睡魔が強くなってくるのを感じる。
 このままだと確実に寝てしまうだろうなと、あなたは思ったが、別に寝てしまっても問題無いだろうとも思った。
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